くるみとは?栄養価徹底解剖|人気のお菓子レシピ20選

お菓子作り

こんにちは!お菓子教室主催の熊谷裕子です。
お菓子屋さんやパン屋さんに行けば必ず並んでいるくるみのお菓子&パン。手作りする人でもお気に入りレシピにくるみを使ったものがきっとあるはずです。ナッツの中でもくるみは人気の素材。そのままでもおいしいですが、お菓子やパンに使うとよりおいしくなるのはなぜでしょう。今回はそんなくるみのおいしいお菓子作りのコツについてご紹介します。

くるみの産地とお菓子の名前について

世界的に生産量が多いのは主に北米と中国。ほかにも各国で栽培されていますが、日本でも少量ではありますが信州などで生産されています。

ところで「エンガディーナ」「ドフィノワ」「グルノーブル」という名前。ちょっとお菓子に詳しい方なら、ピンとくる? かもしれません。実はどれもくるみを使ったお菓子につけられる名前です。

もちろんくるみはヨーロッパでも生産されていて、エンガディーナ(エンガディヌ地方)はスイス、ドフィノワ(ドフィネ地方)とグルノーブルはフランスの地名に由来し、どこもくるみの名産地なのです。おいしいくるみの銘菓には、くるみが採れる地名がつけられているのですね。

くるみとは?くるみは美容・健康に良い?

私たちが「くるみ」として食用としているのは、くるみの果実の中にある「核果」とよばれる部分の固い殻を割ると出てくる種子(仁)の部分です。固すぎず程よい柔らかさ、濃厚な味わい、強すぎない風味はアーモンドやピーナッツと並んで人気のあるナッツです。

くるみには他のナッツに比べ、オメガ3が多く含まれています。またくるみに含まれる体に良い脂肪、食物繊維、タンパク質は、体重管理を続けるのに重要な満腹感を与えてくれるので、ダイエットや体調維持にもよい効果が期待されるそう。ただし脂肪分も豊富に含まれるので、「適量」が大事。おいしくても食べすぎには気をつけましょう。

くるみの種類・くるみ製品のご紹介

日本で市場に出回るくるみのほとんどがカリフォルニア産のものですが、その中にもいくつか品種があります。代表的なものをご紹介すると、、

チャンドラー種

カリフォルニア州で最も多く栽培されているくるみ。チャンドラー種のくるみは大きく、殻が滑らかな楕円形で、中の実は明るい色をしています。

ハワード種

チャンドラー種より新しい品種で、色みは濃いめですが苦味・渋みも少なく、栄養価が高く濃厚でリッチな味わい。

またくるみ製品には二つ割にした状態(割れ含む)のものや、カット、パウダーにしたものなど、使いやすいサイズに加工されたものがあります。

大きくごろっと焼きこみたいときや飾りとしてトッピングに使うときはホールタイプを、細かくしてザクザク焼きこみたいときはカットタイプを使うと便利です。パウダータイプはクッキーやフィリングに練りこみ、ナッツの香ばしさを生かしたいときに。

そのまま食べたいときは生で食べれるタイプもあり、またローストする手間を省きたいときはローストタイプと、多種多様なくるみ製品があるので、上手に使い分けましょう。

くるみの親戚・ピーカンナッツ

見た目がくるみに似ているピーカンナッツ(ペカンナッツと表記されることも)、それもそのはず、くるみの親戚なのです。ローストされたピーカンナッツはメープルシロップやキャラメルを思わせる独特の香りがあり、アメリカではブラウニーやピーカンパイなどの人気メニューに欠かせない存在。くるみよりも苦味が弱く、脂肪分が多いためサクサクした軽い食感が特徴です。お菓子の生地に焼きこんでもよし、形を生かしてトッピングに使うもよし、です。

くるみの保存方法は?

ナッツ類は腐ったりカビが生えることはあまりありませんが、たっぷりと含まれる油脂が酸化してくると、酸化臭が出て油くさくなります。健康に良いナッツも酸化したものは逆に体に良くない成分に変化してしまうので、冷暗所か冷蔵庫で保管しましょう。

また長く保管するときは冷凍も可能です。特にカットタイプやパウダーなど、細かくしてあるものは表面積が増えるので、より酸化しやすくなります。しっかりとビニール袋と密閉袋で二重にしてから冷凍しましょう。材料名のラベルや冷凍日の記入も忘れずに。冷凍するといつまでも大丈夫、、!と思いがちですが、やはり徐々においしさが失われていくので、早めに頂きましょう。使うときは冷凍庫から出し、そのままロースト(後に記載)して。
※冷凍保存など詳しい解説はこちらもコラムでぜひご確認ください。

くるみを使ったお菓子作りのコツは?

おいしくて身体にも良いくるみをお菓子作りに上手に使うコツは3つ「新鮮なくるみ」「ロースト」「相性のいい組み合わせの素材」です。詳しく見ていきましょう。

1.新鮮なくるみを使う

先述したようにくるみは古くなると風味が抜けるだけでなく、油分が酸化して酸化臭が出てしまいます。くるみは新鮮なものを使うように、使える量だけ購入するようにするのがおすすめです。

2.ローストして使う

くるみは生のままだと柔らかい食感ですが、お菓子に焼き入れたりするときはローストするのが基本。「どうせ生地に混ぜて焼いてしまうなら、生のまま入れても良いのでは?」と思いがちですが、ナッツ類は生地に混ぜてしまうと焼いても香ばしさが出ません。まずはくるみだけで香ばしくローストしておくとその風味と香ばしさが格段に変わるので、必ずローストしてくださいね(生地の上にトッピングして焼くときはそのままのせ、一緒に焼いてしまう時もあります)。

※ロースト方法

オーブンでローストするときは天板にくるみを平らに広げ、160~170度程度の設定したオーブンで8~10分程(くるみのサイズによって調節してください)ローストします。途中全体を混ぜてまんべんなくローストしましょう。ナッツを割ったときまだ白っぽかったらもう数分ローストし、薄い茶色がかっていたら焼き上がりです。生地に混ぜるときは冷ましてから。ローストしたものはなるべく早く使い切りましょう。

※苦味・えぐみが気になるときは?

くるみを覆っている薄皮には鉄分やタンニン成分が含まれ、ほんの少し苦味やえぐみを感じることがあります。これが甘いお菓子に入ると程よい苦味のエッセンスともなりますが、もし苦手な方はこの薄皮を少し取り除くとよいでしょう。ローストした後は薄皮がはがれやすくなっているので、乾いた布巾でつつみ、布巾越しに軽くこすり合わせるようにすると薄皮がはがれやすくなります。

3.くるみと相性の良い素材を合わせる

お菓子作りで大事なことの一つは「素材の組み合わせ」。くるみと相性の良い素材を組み合わせて、よりくるみのおいしさを引き出しましょう。

例えば「くるみのパウンドケーキ」を作るときも、白い砂糖を使ってプレーンなバターケーキ生地にくるみを混ぜ込んでもおいしく焼きあがりますが、くるみと相性の良いキャラメルパウダーやインスタントコーヒーなどほのかにほろ苦さのあるフレーバーで生地を風味づけたり、ブラウンシュガーや黒糖などの風味のある砂糖を使えば、よりおいしく仕上がること間違いなしです。

※くるみと相性の良い素材例
  • キャラメル、ブラウンシュガー、黒糖、はちみつ

香ばしい風味の砂糖類やキャラメルはくるみの香ばしさを引き立てます。はちみつはくるみと絡めたり、はちみつ漬けにするだけでもおいしい組み合わせ。

参考レシピ
  • コーヒー、チョコレート(ビター、スイート、ミルク)

芳しいフレーバーと程よいビター感を持つコーヒーやチョコレートもくるみの持つ濃厚さや風味に負けず、相性の良い組み合わせに。

参考レシピ
  • フルーツ、ドライフルーツ

りんごの焼きこみケーキや、ドライプルーン、デーツ、レーズンなどのドライフルーツとも相性抜群です。個人的には酸味の強いベリーやトロピカルフルーツよりも、フルーツのおいしさをぎゅっと濃縮した甘さ濃厚のドライフルーツのほうがおすすめです。

参考レシピ

くるみを使ったおすすめのお菓子レシピ

くるみは強い酸味や味わいがなく、食感も固すぎないので比較的どんなお菓子にも合わせやすいナッツです。香ばしい風味と濃厚な味わい、ざくっとした食感はリッチなバターケーキに入れたり、ザクザク香ばしいクッキーにもぴったりです。

バターケーキの参考レシピ
クッキーの参考レシピ
くるみのパウダーを使った参考レシピ

くるみのNewレシピ

ここでくるみを使ったNEWレシピをご紹介します。

グルノーブル

くるみと相性の良いカフェとココアのしっとりマーブルケーキにくるみを加え、クグロフ型で焼き上げます。ほんのりシナモンを香らせて大人のケーキに。より濃厚な仕上がりがお好きな方は、ビターチョコレートでトッピングするのもおすすめです。

グルノーブル

森のくるみのエンガディーナ

くるみとラムレーズン、たっぷりのキャラメルをレモン風味のサクサク生地で包み、じっくりと焼き上げたエンガディーナです。くるみだけでなくラムレーズンもアクセントに加えることで風味が増したり、適度なジューシーさが生まれます。

森のくるみのエンガディーナ

最後に

いかがでしたか?なんだかすぐにでもくるみが食べたくなりましたよね! 今回はくるみのお菓子についてご紹介しましたが、パン作りにも、お料理にも活躍するくるみ。ポイントは「新鮮なもの」と
「ロースト」でしたね。私はローストくるみがほんのちょっぴり余ってしまった時もサラダのトッピングにしたりと無駄なく使うようにしています。是非皆さんもおいしいくるみのお菓子作りにトライしてみてくださいね。

コラム執筆:熊谷裕子(くまがいゆうこ)先生

熊谷裕子(くまがいゆうこ)先生
熊谷裕子(くまがい ゆうこ)

葉山「サンルイ島」横浜「レジオン」世田谷「ル・パティシェ・タカギ」を経て、神奈川・中央林間でお菓子教室「クレーヴスイーツキッチン」主催。 文京区 にて「アトリエルカド」 も開講。著作に「デコレーションテクニック」「チョコレート菓子のテクニック」など多数。

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