製菓用米粉と製パン用米粉の違いとは?徹底比較!

比較・検証

こんにちは。富澤商店にてレシピ著者をしておりますマスダアイミです。

米粉でお菓子やパンを作ったことがある方、またはこれから作ろうと思っている方・・こんな疑問を持ったことはありませんか?

「米粉って色々種類があってどれを選べば良いか分からない」「製菓用米粉製パン用米粉って何が違うの?」「製菓用米粉しか手元に無いのだけれど、米粉パンに代用はできる?」

そんな疑問を解決すべく、同じレシピで製菓用米粉・製パン用米粉を使いそれぞれ焼き比べてみました。結果としてはお菓子には製菓用米粉が良く、パンにはパン用米粉が良い!という当たり前な結果にはなりましたが、面白い実験結果となりました。代用して使う際の注意点などもお伝えしたいと思います。是非参考にしてくださいね。

製菓用米粉とパン用米粉の違いとは??

製菓用米粉とパン用米粉は粒度(粒の大きさ)が違います。

こちらは同じ配合の分量で合わせた粉ですが、製菓用米粉のボウルとパン用米粉のボウルでは見た目で明らかに粒度の差がわかります。

製菓用米粉

製菓用米粉のボウルは粉がさらさらとしているのが分かります。

製パン用米粉

製パン用米粉のボウルは粉が所々ぎゅっとまとまっている様子が分かります。

製菓用米粉は、製パン用米粉よりも粒子が細かいのが特徴です。

また製菓用米粉も製パン用米粉も、それぞれ製粉する前のお米のでんぷんの組成の違いや、挽き方によって吸水の具合や食感の違いがあります。製菓用米粉・製パン用米粉で一括りではなく、その中でもそれぞれ個性があるということです。

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米粉のお菓子を焼き比べてみると・・

米粉のマフィンのレシピで、製菓用米粉・製パン用米粉を使い同条件で焼き比べてみました。

左:製菓用 右:製パン用
左:製菓用 右:製パン用

それぞれの写真の左側が製菓用米粉、右が製パン用米粉で作製したマフィンです。
一見同じように見えますが、比べてみると製菓用米粉で作ったマフィンの方は高さが出ています。
食べてみると食感に大きな違いがありました。

製菓用米粉使用のマフィン

製菓用米粉で作ったマフィンはふんわり感があり、ほろっとした食感で歯切れの良さがあります。

製パン用米粉使用のマフィン

一方、製パン用米粉で作ったマフィンはふんわりしつつも、食感はしっかりしていてどっしり食べ応えがあります。

印象としては、ふんわり軽さを出したいお菓子やホロっとほどける食感をだしたいお菓子には製菓用米粉を使うのが良く(スポンジケーキやシフォンケーキ等)

そして、製パン用米粉でも食感の変化や焼き上がりの変化は多少ありますが、代用は可能だということが分かりました。

米粉のお菓子を製パン用米粉で代用すると食感は多少重くなるので、そこを逆手にとって重さを出したいお菓子(濃厚なバターケーキや、食感をしっかりさせて濃厚さを出したいチョコレートのお菓子等)に敢えて製パン用米粉を合わせるのも良いなと感じました。小麦粉で言う、薄力粉と強力粉の使い分けのようなイメージです。

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米粉のパンを焼き比べてみると・・

米粉の食パンレシピで製菓用米粉・製パン用米粉を使い同条件で焼き比べてみました。

こちらは見た目に顕著な差が現れました・・!

左:製菓用 右:製パン用

左側が製菓用米粉、右が製パン用米粉で作製した食パンです。

製パン用米粉で焼いた米粉パンはしっかり保形しているのに対して、製菓用米粉で焼いたパンは形を維持出来ず陥没しています。焼く前の生地も、製菓用米粉の生地はさらさらとしており、製パン用米粉の生地の方が粘りのある生地でした。

食べてみても食感に大きな差が。

製パン用米粉使用
製菓用米粉使用

製パン用米粉のパンはもっちり、しっとりな食感ですが製菓用米粉のパンはねっちり。お餅のような食感です。

断面を見ると分かりますが生地が骨格を保てずに潰れてしまっているので、潰れたでんぷんが口に入った際にねっちりとした食感になるのかと思います。

グルテンフリーの米粉パンにおいては、生地を膨らませる気泡を抱き込む骨格をつくることがとても大事になってきます。小麦にはグルテンがあり、パン生地を保形してくれますが米粉にはグルテンが無いため、様々な方法で骨格を作ってあげます。その1つが生地の粘りを利用する方法です。

この米粉食パンのレシピでは、指定の製パン用米粉を使うことで生地の粘りを出し膨らませているので、レシピ通りの材料を使って作ると問題なく美味しい米粉パンが焼けますが

製菓用米粉を使用する・あるいは指定以外の米粉を使用した際は生地の粘りが足りなくなり、その状態で焼くと生地は骨格を保てず潰れたように焼きあがる事があります。

米粉パンは使用する米粉により調整が必要な為、レシピ指定の粉を使うのが失敗しづらいとは思いますが、例えば別の方法で骨格を作ってあげると製菓用米粉でも問題なくパンが焼けます。

次にサイリウムを入れて焼く米粉パンでの焼き比べです。

左:製菓用 右:製パン用
左:製菓用 右:製パン用

それぞれの写真、左側が製菓用米粉、右が製パン用米粉で作製した丸パンです。

多少の膨らみの差はありますがどちらも問題なく膨らんでいます。食感はほとんど変わりないですが多少製菓用米粉のパンの方が歯切れの良さがあります。

製菓用

サイリウムが生地の骨格をしっかりと作ってくれているので、製菓用米粉でも問題なくパンを焼くことが出来ました。

このように、米粉パンを製菓用米粉で焼く場合には注意が必要なのが分かります。

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まとめ

製菓用米粉と製パン用米粉の違いは粒度が違うこと、また使用する粉によって特徴があること。それにより仕上がりに差が出ることが分かりました。

米粉のお菓子を焼く際は、軽くふんわりとした食感を出す為に製菓用米粉を使用するのが良く、但し食感や膨らみに変化はありますが製パン用米粉を使っての代用も出来るという事。

米粉でパンを焼く際は、製パン用米粉を使用することで失敗しづらく形を保ったパンが焼けますが粘りを出してあげる、または代わりに骨格となるものを入れる事で他の米粉でもパンを焼く事は可能です。

私が日々米粉のレシピ試作をしていて感じることは、米粉は小麦粉よりも粉を変える・水分量を変える等の変化で出来上がりの状態が変わる印象があるのでレシピ記載の粉を使って作るのが一番失敗が少なくお勧めだと思います。

様々なレシピで、様々な米粉を使ってみて「私はこの米粉が好き!」「このレシピが好き!」を見つけてみるのも楽しいですね。

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コラム執筆:マスダ アイミさん

マスダ アイミさん
マスダ アイミさん

湘南・茅ヶ崎にてパン教室「OVEN 暮らしのパン教室」主宰。

『お家のオーブンから幸せを』をモットーに、
国産小麦や手に入れやすい範囲でのこだわり素材を使い、
作りやすいのに美味しい!と思えるパン作りを提案されています。

天然酵母を使ったレシピを中心としてパンや酵母菓子など、
特に、白神こだま酵母の良さや魅力を提案されています。

2024年には麹や発酵食のスペシャリストである「薬膳麹士」を取得され、同年10月より、『パンと麹をメインに、発酵をふだんの暮らしに取り入れる!』をテーマとした オンライン教室「発酵 暮らしごと」を開催されています。

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