クッキー、サブレ、ビスケットの違いとは?クッキーの種類とサクサク食感のコツ

お菓子作り

こんにちは! お菓子教室主催の熊谷裕子です。今回は「クッキー」についてご紹介します。

サクサクしてバターの風味たっぷり、日持ちもしてみんな大好き!なクッキー。
子供のとき初めて作ったお菓子といえばクッキーだった、という方も多いのでは。
そんな身近で人気のクッキー、サブレやビスケットとは何が違うの?おいしく作るコツは?なども合わせて、クッキーについてちょっと深堀りしてみましょう。

クッキーとは?

「クッキー」は、もともとオランダ語の「koek(クーク)」という「焼き菓子やケーキ」を意味する言葉が語源だそう。それが18世紀ころアメリカに渡り、サクッとした食感のお菓子の総称となりました。
日本では「糖分と脂肪分が全体の40%以上」のもの、と公正競争規約(全国ビスケット協会)で定められているそうです。

ビスケットとは?

「ビスケット」は、イギリスから伝わった焼き菓子の名前で、イギリスでは小麦粉で作られたお菓子の総称です。1度焼いたパンをラスクのように2度焼きし、保存食として日持ちを良くさせたものが「ビスケット」の始まりと言われています。当時はイギリス海軍の保存食として用いられたそう。
日本の公正競争規約では「糖分と脂肪分が全体の40%未満」のものと定められています。

サブレとは?

「サブレ」は、フランスのノルマンディー発祥のバターたっぷりの焼き菓子の名前で、発祥知がサブレという地名に由来する、フランス語で「砂」を意味するSableに由来する、17世紀のサブレ侯爵夫人が考案したことに由来する、など諸説色々。「サブレ」は、小麦粉に対してバターやショートニングがより多く使用されているため、他の2つよりもさっくりとした食感になります。

プティフール・セックはクッキーの仲間?

よくフランス菓子専門のパティスリーに行くと、クッキー類に「プティフール・セック」と表示されています。「プティフール」はひと口で食べられるかわいい大きさのお菓子の総称で、昔はパンや肉類を焼いた煉瓦窯の余熱で焼いたお菓子(プティフール=小さな窯という意味)のことでした。その中でもクッキーのように乾いている、ドライなお菓子を「プティフール・セック(=乾いているという意味)」と呼びます。

今でもフランスではクッキーと呼ぶことはあまりなく、プティフール・セックの一つである「サブレ」として扱われます。

クッキーの代表的な種類

ここでは作り方による種類とその特徴をご紹介します。

1.型抜きクッキー

生地を薄く伸ばし、好みの型で抜いて焼き上げるタイプです。薄く均一に伸ばしたり、抜き型の形のまま焼き上げるには、水分が少なめの固めの生地を使い、また空気を含ませないように生地を合わせることで大きく膨らんだり形がゆがまないようにします。

きれいに型抜きするには、手早く生地を伸ばし、さらにかるく冷蔵庫で冷やすのがコツ。生地がだれていると形がゆがみやすいので、しっかり冷えて固くなっているところを型抜きしましょう。

2.アイスボックスクッキー

アイスボックスの名前のとおり、冷凍庫で生地を冷やして作るタイプのクッキーです。水分が少なく固めの生地を棒状に成形し、冷凍庫で固くなるまで冷やすことできれいな輪切りにすることができます。スライスするまえにグラニュー糖をまぶし、キラキラした見た目と食感をつけることも。中に空洞を作らないように成形しましょう。

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もっとお手軽に、という方に以下の冷凍クッキーもおすすめです。生地まですでにできているので簡単でとてもお手軽にお子様と楽しむのもよいでしょう。それぞれを組み合わせてアレンジするのもよさそうですね。

3.絞り出しクッキー

他の2種の生地に比べ、少しだけ水分を多くして絞り出せるくらいのやわらかな生地を作ります。好みの口金(星口金や波口金など)を使いさまざまな形に焼き上げることができるタイプです。生地は出来あがってから時間がたつと絞りにくくなるのですぐに絞り、生地がだれないうちに焼き上げましょう。

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4.その他、各国で愛されるクッキーいろいろ

代表的な3種以外にも、各国さまざまなクッキーが作られています。

材料を混ぜてスプーンで天板にひと固まりずつ落としてざっくりと焼き上げる「ドロップクッキー」(アメリカ、イギリス)、バターたっぷりの生地を大きな円盤状に焼き上げ、カットして食べるサクサクなビスケットの一種「ショートブレッド」(イギリス)などは日本でも人気のクッキーです。

ほかに卵白を水分として加える柔らかな水だね生地の「ラングドシャ(=猫の舌の意味)」や薄い生地をくるっと巻いた「シガレット」(ともにフランス)、小麦粉を焼いて作るホロホロクッキー「ポルボロン」(スペイン)、さらにはパイ生地を使ったもの、メレンゲ生地のもの、塩味のものなど数限りなくあるのは、やはりクッキーは世界各国で長年愛されているお菓子の証ですね。

クッキーをサクサクおいしい食感に作るコツは?

■バターのショートニング性を生かす

バターには「ショートニング効果」という、クッキーをサクサクした食感に焼き上げる効果があり、バターの割合が多いレシピほどサクサク感が強まります。またバターの油分が薄力粉の粒子を包み込むことで、グルテンが出にくくなる効果もあります。ただしバターを液状に溶かしてしまうとショートニング効果は弱まってしまうので、クッキー作りではバターを溶かしすぎず、練るときもバターを柔らかくするのは最小限に留めるようにします。その点でフードプロセッサーを使う生地作りはバターを固形のまま混ぜ込めるので、簡単にサクサクな生地を作れる便利な方法と言えます。

■砂糖は粉糖がおすすめ

粉糖は純度が高い砂糖の結晶、つまりグラニュー糖を細かくしたもので、サクサクと軽く、上品な甘味に仕上げます。上白糖はしっとりさせる効果のある転化糖がかかっている粒子の大きな砂糖なので、クッキー作りには粉糖のほうが向いています。

■生地を混ぜすぎない

粉のグルテン(粘り)をなるべく出さないようにしましょう。
小麦粉は水分と合わせてこねたり練ったりするとグルテンを形成し、粘りを出します。この粘りは焼いたときに固くガリッとした食感を作ってしまうので、サクッとした軽く歯切れよい食感にするためには、なるべくグルテンを出さないことが大切。生地を混ぜすぎたりこねたりしないように、そして打ち粉は少なめに、がポイントです。

私はサクサク、しっかりした食感のクッキーが好きですが、特に焼き菓子用のフランスの小麦粉「エクリチュール」で作るとより香ばしく、ざっくりサクサク、歯切れのよい焼き上がりになるのでおすすめですよ。

おいしいクッキーづくりにおすすめアイテム

材料やテクニックだけでなく、クッキーをおいしく焼き上げるアイテムもご紹介。

クッキーがサクサクに焼ける網状のベーキングシート

クッキーを焼くときに天板にくっつかないように敷くベーキングシート。何度も使えるタイプや使い捨てのペーパータイプなど色々な種類がありますが、よりサクサクに焼き上げたいときは「網状のベーキングシート」がおすすめ。

網状、つまり穴が開いているシートなのですが、この上にクッキーをのせて焼くと余分な油分が下に落ちることでサクサクに焼きあがります。また焼成中に蒸気が下に逃げれるのでクッキーの底が浮いて形がゆがんだりすることもありません。ちょっとこだわりたい方にはおすすめアイテムです。ただしラングドシャのような柔らかい水だね生地などには不向きなので(網状のシートに入り込んではがれにくくなることも)、型抜きクッキーやアイスボックスクッキータイプにお勧めです。

均等に伸ばせるルーラー

型抜きクッキー生地を均等な厚みに伸ばせない、、、という方はルーラー2本の間で伸ばすと良いです。オーブンシートに挟んで伸ばすと麺棒にくっつきにくくなるのでこちらもおすすめ。

保存・ギフトにぴったりな袋・ケース

クッキーのおいしさを保つには、湿気を遠のけ、なるべく酸化を進めないようにすること。ガス袋や乾燥剤でおいしさを長持ちさせましょう。

ギフトにするときは透明ケースもおすすめ。中身を見せることができると同時に、割れを防ぐこともできます。底にシート状の乾燥剤を入れると見た目もスマートに。

※スリムなものや、ミニサイズも用途に合わせて活用してみましょう。

湿気をしっかり防げるビニールテープ

仕上げにふたをした後、ビニールテープをぴったり巻き、より密閉性を高めましょう。テープをはがすときにわかりやすいように、端に折り返しをつけておくこともお忘れなく。

最後に

いかがでしたか? 各国で長く作られ、愛され続けているクッキーなので、クッキー、サブレ、ビスケットの区別も多少あいまいなところもあるようですが、バター・砂糖の含有量や、発祥地による違いがあることがわかりましたね。またクッキー作りはシンプルですが、ほんの少しのコツや便利アイテムを使えばさらにおいしくなります。是非皆さんもトライしてみてくださいね。

次回は、「クッキー缶を作ろう!詰め方のコツと人気のレシピ7選」としてクッキー缶の作り方とNEWレシピを含めた人気のクッキーレシピをご紹介します。

コラム執筆:熊谷裕子(くまがいゆうこ)先生

熊谷裕子(くまがいゆうこ)先生
熊谷裕子(くまがい ゆうこ)

葉山「サンルイ島」横浜「レジオン」世田谷「ル・パティシェ・タカギ」を経て、神奈川・中央林間でお菓子教室「クレーヴスイーツキッチン」主催。 文京区 にて「アトリエルカド」 も開講。著作に「デコレーションテクニック」「チョコレート菓子のテクニック」など多数。