ライ麦とは?| パン以外にも美味しく使える!おすすめレシピをご紹介

基本・初心者

こんにちは!オフィシャルクリエイターのけいちょんです。
今回は、パン作りをする方ならきっと一度は耳にしたことがある「ライ麦」についてご紹介しようと思います。
また、いざライ麦を買ってみたはいいけれど、なかなかパン作りには使わずに余らせてしまっている方や、パン作りはできないけどライ麦レシピを試してみたい!という方向けに、ライ麦を使った簡単レシピも新しく作りましたのでご紹介します!

ライ麦とは?

ライ麦は小麦と同じイネ科の植物で“ライ”や“黒麦”とも呼ばれます。主に食用・飼料用として栽培されており、寒冷な気候や痩せた土壌でも育つことができるため、小麦の栽培に向かない寒冷地で主に栽培されています。
小麦と比較すると、ビタミンB群や食物繊維が豊富なので最近では健康を意識している方にも注目されてる食品ですが、食感や食味の観点では小麦に劣るため生産量は小麦ほど多くはありません。

ライ麦はグルテンフリー?

ライ麦はグルテンを含まないと言われることもありますが、実際にはグルテンを形成する成分と似た成分が微量に含まれており、グルテンフリーではありません。なので、グルテンアレルギーの方は注意が必要です。

富澤商店で扱う、ライ麦4種のご紹介

左から有機ライフレーク、ライ麦全粒粉 ヘルゴラント(中挽)、ライ麦全粒粉 ヴァンガーラント(細挽)、北海道産 ライ麦全粒粉

富澤商店で扱っているライ麦をピックアップしてみました。
どの写真も左から順に、有機ライフレークライ麦全粒粉 ヘルゴラント(中挽)ライ麦全粒粉 ヴァンガーラント(細挽)北海道産 ライ麦全粒粉です。

有機ライフレーク / 150g
押し麦状のライ麦粒です。シリアルに混ぜたりトッピングや練り込みに使っても美味しいです。

ライ麦全粒粉 ヘルゴラント(中挽) / 500g
ライ麦を丸ごと全粒粉にしています。粒が大きめに残っているので混ぜ込むとプチプチとした全粒粉独特の食感が楽しめます。粒が大きいため、パンにたくさん混ぜ込むとグルテンが繋がりにくくずっしりと重めの食感になります。

ライ麦全粒粉 ヴァンガーラント(細挽) / 500g
細挽きのライ麦全粒粉なので、小麦粉に混ぜ込みやすく中挽きに比べるとふんわりと仕上がります。また食感もプチプチ感が少なく滑らかな生地になります。ただし、ライ麦はグルテンが生成されないため沢山混ぜ込むと重い食感になりますのでふんわりさせたい場合は多くても30%くらいまでがおすすめです。
北海道産 ライ麦全粒粉 / 500g
珍しい国産(北海道)のライ麦です。ほぼ外国産が主流のライ麦ですが、希少な国産でしかも高品質の北海道産ライ麦で、風味が良いです。粗挽きなので、全粒粉らしいプチプチ食感が楽しめます。

左から有機ライフレーク、ライ麦全粒粉 ヘルゴラント(中挽)、ライ麦全粒粉 ヴァンガーラント(細挽)、北海道産 ライ麦全粒粉
左から有機ライフレーク、ライ麦全粒粉 ヘルゴラント(中挽)、ライ麦全粒粉 ヴァンガーラント(細挽)、北海道産 ライ麦全粒粉

並べて比較すると、北海道産ライ麦の色が濃いのがわかります。
中挽きと粗挽きの見た目の差はあまりありませんが、どちらも大きめの粒が混ざっているのがわかります。それに比べ、細挽きはほとんど目に見える粒はないほど細かく製粉されています。

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知っておきたいライ麦のいいところ

実際にライ麦のみでパンを作ると、水溶性食物繊維の多さとグルテンの弱さにより膨らみが少なく、重くずっしりしたパンになります。
日本で多く好まれるのは白くふんわりしたパンなので、ライ麦が高配合のパンは苦手という方もいらっしゃるでしょう。しかし、先ほどからも触れているように健康的であることは注目すべきポイントです。
ライ麦は食後の血糖値の上昇が緩やかな低GIの食品である点です。また食物繊維が豊富で、不足しがちな食物繊維を美味しくパンで摂取できることも魅力的ですね。
健康面でも大注目のライ麦を使ってぜひパン作り・お菓子作りを楽しんでください。

ライ麦のクッキーとスコーンのレシピをご紹介

今回のコラムを執筆するにあたって、ライ麦をパン以外で美味しく召し上がることのできる、クッキーとスコーンのレシピを作りました!
それぞれ素朴な美味しさが楽しめるレシピです。コーヒーや紅茶とご一緒にぜひ。

ライ麦とオートミールのクッキー

ライ麦とオートミールのクッキーの材料 (12枚分)

準備
・フィリングのミックスナッツ、オレンジピール、チョコレートはオートミールと同じくらいのサイズに刻んでおく。
・オーブンを150度に予熱開始。

1. クッキー生地

ボウルに薄力粉、オートミール、ライ麦全粒粉、ベーキングパウダー、塩を入れ満遍なく混ぜておく。

2.
別のボウルに卵、アガベシロップ、グラニュー糖、米油を合わせて乳化するまでホイッパーで混ぜる。

3.
1のボウルに準備したフィリングを入れ、2の液体を加える。

4.
ゴムベラで粉っぽさがなくなり全体が均一になるよう混ぜ合わせる。

5. 成形

天板にクッキングシートを敷き、生地を約30gずつ12個に分けて丸めて天板にのせる。
クッキングシートを小さくカットしたものを生地にのせてその上からマッシャーやスプーンなどで厚さ5~8mmほどに広げる。

6.
形が歪んでいる場合は、手にオイルをつけて形を整える。

7. 焼成
150度に予熱したオーブンで22分〜しっかり焼き込んで完成。

ライ麦スコーン

ライ麦スコーンの材料 (8個分)

準備
・材料を計量する。
・バターとヨーグルト、全卵は冷たいものを使う。
・ヨーグルトは卵の大きさにより調整する。
・焼くタイミングに合わせて、オーブンを200度に予熱しておく。

1.スコーン生地

全卵とヨーグルトを軽くボウルで合わせる。

2.
フードプロセッサー(無ければボウル)に薄力粉・ライ麦・グラニュー糖・塩・ベーキングパウダーを合わせて軽く混ぜ合わせる。

3.
冷たいバターを加えてサラサラになるまでフードプロセッサーを回す。
ボウルの場合は手ですり合わせてサラサラにする。

4.

ボウルへ移し、そこへ合わせておいた卵とヨーグルトを加えて少し粉っぽさが残る程度にカードで切るように混ぜる。

5.

粉っぽさが残った状態でフィリングを加えてさらに切り混ぜる。

6.

台に取り出して上から体重をかけるようにしながら集めてまとめていく。

7.

まとめたら半分に切り重ね、上から押さえるを繰り返しながらまとめる。

8.

5〜6回繰り返すと徐々に粉っぽさがなくなる。

9.

まとまったら15cm×10cmほどの長方形に整える。

10.

ラップに包み、冷凍庫で20分ほど休ませる。

11.

強力粉の打ち粉(分量外)を両面にしっかり目にふる。

12.

めん棒で縦40cmほどにのばす。

13.

3等分にカットして重ねる。

14.

方向を90度回転させて同じように40cmほどにめん棒でのばす。

15.

三等分にカットして重ねる。

16.

ラップに包み、めん棒でのばしながら17cm×12cmに整え、冷凍庫で20分休ませる。

17. 成形

各辺を1cm幅で切り落とし、15cm×10cmにする。

18.

各辺5cmでカットし6等分にする。

19.

切り落とした生地を集めてまとめ、5cm×10cmほどに整えて二等分にカットする。

20.

シルパンやオーブンのシートを天板にセットし生地を並べ、好みで牛乳(分量外)を表面に塗る(艶出し)。

21.

200度に予熱したオーブンで22〜25分焼いて、完成。

ライ麦使用の【基本のイーストカンパーニュ】のレシピ

ライ麦を使ったパンのレシピの中でも、使用するライ麦と全粒粉の粒子が細かいもので作られた、「基本のイーストカンパーニュ」をご紹介します。
あえて細かい粒子のものを使うことで、口当たりは滑らかで食べやすくハードパン作りに慣れない人でもグルテンが繋がりやすい配合にしています。

計量
材料を計量する。イーストは極微量で誤差が出やすいので何度か計量し直して確認しておくとより良い。

1.生地作り(捏ね)
4種の粉類にイースト、砂糖を加えてホイッパーで均一になるよう混ぜる。

2.
水を注ぎゴムベラでひとまとまりになるまで混ぜ、ラップをかけてそのまま90分室温におく。この間に自然とグルテンが繋がり水和も進みます。

3.
塩を満遍なく振りかけてボウルの中で捏ねる。

4.
周囲の生地を中心に織り込むように約60回ほど捏ねる。
グルテン膜は気にせず塩が均一になるのを意識する。

5.
ぷるんとまとまったらラップをかけて30分間休ませる。

6.パンチ1回目
パンチを入れる。
パンチはガスを抜く方法ではなく、生地を引っ張って折りたたむ方法。

7.
1回目。上下左右と順番に四方向から同じようにパンチを入れたら再びラップをかけて30分休ませる。
(写真では都合上片手で行っているパンチですが両手で丁寧に行うとより良い)

8.パンチ2回目
2回目のパンチも同じように行う。
再びラップをかけ60分休ませる。

9.パンチ3回目
3回目のパンチも同じように行う。
生地がよく繋がり最初よりもグルテンが強くなっている状態。
引っ張りにくいので持ち上げて両手で巻くようにパンチを入れてもいい。
ラップをかけて室温(23〜25度)で一次発酵をとる。
ここから約2時間。オートリーズ開始から発酵完了までは約5.5時間。

10.一次発酵
生地が緩み2倍ほどに広がりながら大きく発酵した状態。

11.
発酵の見極めは大きさとボウルの底からのぞく気泡の状態を見る。
一次発酵前は所々にポツポツとした気泡ができている状態。

12.
発酵完了は気泡が全体的に無数にできた状態。
この時、生地が柔らかいのでフィンガーチェックはしなくて良い。

13.成形
打ち粉をした台に生地を取り出す。
生地の周囲からドレッジを一周抜き差しし、丁寧に取り出す。無理やり引っ張ったりしない。

14.
上下左右に丁寧に折り畳み、飛び出してきたガスは潰して形を整えボウルを被せてベンチタイムを30分とる。
この時、均一になるよう丁寧に折りたたむのがきれいな形に成形するポイント。

15.
発酵カゴに布巾やカバーをかけ打ち粉をたっぷりと振っておく。
布巾等を使用するのは長時間発酵の途中でカゴに生地がくっつき取れなくなる事態を防ぐため。

16.
底からすくうように上下を返し、丸く整えながら大きな気泡をつぶすようにガス抜きをする。中心が高く周囲が薄くなるように。

17.
手前の生地を両手で優しく底から持ち上げ折り畳み手前に5センチほど引きながら表面をぷっくり張らせる。
出てきた大きなガスはつぶす。

18.
左右の生地を引っ張って真ん中で合わせるように折りたたむ。
その都度大きなガスは指でつまむようにつぶす。

19.
この時、横幅が長いと細長い焼き上がりに。短いと丸っこい焼き上がりになるので好みで調整する。ただし真ん中は必ず重なるように。

20.
芯を作るように手前から奥側へくるりと巻いては引きながら俵型に成形する。とじ目は手刀を切るように軽く押さえる。

21.
とじ目を上にしてくっ付いていない部分があれば優しくつまんでとじる。

22.二次発酵
とじ目は上のまま、発酵カゴに生地を優しく移してビニール袋やシャワーキャップ等で乾燥しないように包み冷蔵庫の上段に入れて二次発酵をとる。
8〜15時間ほど。

23.複温
焼成30分前に冷蔵庫から取り出し、袋を外して複温しながら発酵完了させる。
もし発酵があまり進んでいなければ複温させながら1時間ほど発酵を進める。

24.
横から見たところ。ふっくらと発酵している。

25.焼成
オーブンをスチームありで天板ごと250度〜300度に予熱する。

26.
予熱が完了したらオーブンシートを敷いた取り板の上に発酵カゴごとひっくり返す。

27.
カゴと布を優しく外し、表面の粉を手で優しく撫でて整えて中心にクープを入れる。クープの深さは4〜5mm。

28.
クープを入れたら軽く霧吹きをしてすぐに予熱したオーブンにオーブンペーパーを滑らせるように生地を入れて、約7分しっかりクープが開くまでスチーム有りで250度焼成。
その後スチームなしで230度に落とし15〜18分焼いて完成。

ポイント1.
しっかり生地作りができているとふっくらと腰高に焼き上がる。
パンチはよく伸ばし丁寧にするのがポイント。

ポイント2.
じっくりと発酵をとることで芯まで水和が進み艶々と瑞々しく、ふっくらと膨らみ軽い食感のクラムになる。

<おすすめの食べ方>
厚切りトーストやサンドイッチがおすすめ。

※所要時間=発酵時間や冷やし固める時間など、環境や設備などによって差が大きく出るものは除く

他にもライ麦を使ったおすすめレシピはこちら


まとめ

今回はライ麦についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか?
これまでに掲載されていたレシピに加え、今回コラムを執筆するにあたり新しくライ麦を使ったレシピをたくさん作りました!
今まで使い方に困っていた方、新しい食べ方がないか探していた方にも喜んでいただけるかと思います。これからもライ麦を使ったレシピも含め、沢山ご提案していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

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コラム執筆:けいちょんさん

けいちょんさん
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イーストだけでなく数種類の自家製酵母を使い、完全独学ながらお家で作れる「簡単だけど本当に美味しい家族が喜ぶパン」を日々研究中です。

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