パウンド型ができるまで|gemomogeさんと新潟訪問!

パン・お菓子作り

2022年9月下旬、ある晴れた日。
gemomogeさんと富澤商店スタッフは、新潟県燕市のタイガークラウンさんに訪問してきました!

おかげさまで多くの方にお買い求めいただいている「gemomogeさん監修 パンも焼ける大きめパウンド型」。この型を一緒に開発してくださったタイガークラウンさんにお礼をお伝えし、製造の現場を視察させていただくのが今回の目的でした。

「gemomogeさん監修 パンも焼ける大きめパウンド型」とは?

gemomogeさん監修 パンも焼ける大きめパウンド型」とは、SNSフォロワーが13万人を超える人気インスタグラマーのgemomogeさんと富澤商店が、新潟県の製菓器具メーカーであるタイガークラウンさんと共同で開発したパウンドケーキ型。

365日オーブンを使用しない日はないというgemomogeさんのこだわりが随所に詰まったパウンドケーキ型は、型選びに悩む初心者さんにもぜひ使っていただきたい「これさえあればずっと楽しめる」工夫をこらした型なのです。

▼開発秘話も満載!のご紹介ページはこちら

gemomogeさん、新潟へ行く。

この日は驚くほどの晴天。
新潟の抜けるような青空が、見渡す限りどこまでも続いています。


私晴れ女なんですよね!と明るくほほ笑むgemomogeさんとともに車に乗り込み、はやる気持ちを抑えながらパウンド型の製造工場に向かいました。

お邪魔したのは新潟県三条市にある、タイガークラウンさんの契約工場のひとつ。のどかな田園風景の中に溶け込むように、その工場は静かに佇んでいました。

gemomogeさん、パウンド型の現場に潜入する。

工場はまるで大きなガレージのよう。「ここがパウンド型の生まれる場所…」と感慨深く足を踏み入れると、契約工場の社長さんがにこにこと特大の笑顔で出迎えてくださいました。

「ここまで見に来てくれる人ってなかなかいないからね!」

社長さんはそう仰るものの、お菓子やパン作りに携わる方は、もし機会さえあればきっと型作りの現場を見てみたいと思う方が多いはず。私たちもとても貴重な機会をいただけたことに興奮を抑えきれませんでした。

外からの光が差し込む工場内部へご案内いただくと、一人の職人さんが黙々と作業をされているところでした。

「今作ってるのが、ちょうどgemomogeさんのパウンド型ですよ。」

ガシャン、ガシャン、と機械を扱う金属音が規則的に響いてきます。
もっと近づいて見たい!と思いながらも、お邪魔しないように…としばらく離れたところから見守ってしまう私たち。この音を聞いているだけでも気持ちが高まり、思わず無言になってしまいます。

「せっかく来ていただいたので、製造工程の流れを説明していただきましょうか。」とタイガークラウンの担当さんが助け舟を出してくださいました。

gemomogeさん、パウンド型の作り方を学ぶ。

改めて、契約工場の社長さんに「大きめパウンド型」の製造工程を教えていただきました。

「まず最初は、金属板をカットするところから始まるんです。」

「これが本体の部分。これを後の工程で折り曲げると、パウンドの型になっていきます」

「こっちが型の側面の部分ですね。型を折り曲げたあとにはめ込んで、溶接でくっつけるんです。」

工場内をツアーのように移動して、別の機械の前に。先ほどとは別の女性の職人さんが、こちらでも次々と機械に金属板を差し入れる作業をされていました。

「ここで板の端を折り曲げます。型のフチの部分ですよね。」

続々と積みあがっていく金属板。まだ平たい状態だけど、完成形に一歩ずつ近づいているのがなんとなくわかります。そして再び、先ほどの職人さんのもとへ。

「ここでいよいよ板を折り曲げていくわけです。知ってる形に近づいてきたでしょう?」

まっすぐ歪みのないようにセットして…

職人さんがぐっと足元のレバーを踏み込むと、板がくいっと曲がります。ガシャン。
先ほどから聞こえていた金属音は、職人さんがレバーから足を離したときに鳴る音でした。

「だから、実はこの板を曲げるのもひとつひとつ人力なんですよね。」

「こうしてひとつの工程をまとめて終えたら、次の工程へと進んでいくわけです。」

gemomogeさん監修大きめパウンド型の本体は、全部で11工程あるそう。本体を作り、側板を作り、組み上げて溶接し、仕上げていく。その工程はすべて人の手で行われています。

通常この作業はひとつの工程を終えたら次の工程へと進んでいきますが、仮に全工程を1日でやるとしたら、1日あたりできる数は約50個から100個できるかどうかかな、とのことでした。

gemomogeさん、パウンド型作りを体験する。

この金属板を曲げる作業を、私たちも体験させていただきました。
まずは機械に金属板を押し当てて、歪まないように手でしっかりと固定します。

「えっ!?これでいいの?いいの??」

「大丈夫大丈夫!足はしっかり最後まで踏み込んでね。」

「あ!意外と重い!?」

「そうそう、はい、ぐっと踏み込んで!」

ぐっ。ガシャン。

「合格!!」

「うわー、ありがとうございます。こうやってできるんだ。感動!」

gemomogeさんに続いて富澤商店スタッフも体験。踏み込んだレバーは想像より重く、一日にこの作業を何度も何度も繰り返す職人さんの脚力に驚きを禁じ得ません。

折り曲げた型。もうパウンド型っぽい!
※商品としてお届けしている型は、もちろん職人さんが作られたものです。私たちの体験したものは記念に持ち帰らせていただきました!

gemomogeさん、パウンド型の仕上げを体験する。

パウンド型作りの工程はこれで終わりではありません。
折り曲げた本体と、側板がずれないように、一点一点溶接していきます。

溶接する瞬間、接地面が小さく赤く輝き、シュッと細く白い煙が上ります。

「ここはさすがに、危ないからね。体験させてあげられないんだけど。」

ひとつの側面につき、9か所を手際よく溶接していく職人さん。反対側面も手早く溶接すると、私たちのよく知るパウンド型の形に仕上がりました。ここで完成かと思ったら、まだ続きがあるのです。

「ここ、型の角の部分が鋭利でしょう。使う方が触ったときにケガをされたらいけないので、ひとつひとつ角を潰してやるんです。」

小さな金属ハンマーをカンカンカンと軽く打ち付け、様子を見ながらすべての角をやさしく潰していきます。

「せっかくだから、さっき曲げる工程を体験した型でやってみましょう。」

gemomogeさんとスタッフも、さっそく挑戦してみました。軽く手首のスナップをきかせながら、角を叩いていきます。力が弱すぎても、強すぎてもダメ。この工程を終えて、やっと型は完成。その後は検品と出荷のための包装へと進んでいきます。

gemomogeさん、記念撮影する。

大きなガレージのような工場は、現在所属する職人さんは5名とのこと。
15年ほど前には10名以上いらっしゃった職人さんたちが引退され、今は御年76歳の川村工場長(私たちの師匠!)が中心となって製造現場を支えられているそうです。

私たちがお邪魔した9月下旬は快適な気候でしたが、冬本番の2月は朝晩氷点下になることもある三条市。工場内も5℃前後の室温の中、石油ストーブをたきながら作業をされているとのこと。(夏は40℃近い室温になるそう!)

改めて製造現場を拝見すると、ひとつひとつ本当に丁寧に手作業で作られていることを実感します。

パウンド型作りをご指導くださった師匠、職人歴約50年の川村工場長の写真も記念に撮らせていただきました。今回のコラムに掲載してもよいかお伺いすると、

「俺の写真が載っちゃうの?いいよ!」と即答。

川村工場長、お約束通り掲載させていただきました。
やさしくご指導くださり、本当にありがとうございました!

gemomogeさん、「専用フタ」をお願いする。

そして今回、タイガークラウンさんへお願いしていた「gemomogeさん監修 パンも焼ける大きめパウンド型」の「専用フタ」がついにデビューします。

パンも焼ける、というからには、ぜひ角食パンを焼くためのフタが欲しい。
gemomogeさんのSNSでもフォロワーさん方から熱いご要望をいただいていました。
※実はgemomogeさんとスタッフが工場にお邪魔して「こんなフタが欲しい」とお願いした日のすぐ翌日に、社長さんが試作品を届けてくださったのです…!

gemomogeさんに試作とレシピ開発を繰り返していただき、ようやく今回の発売を迎えることとなりました。「専用フタ」は限定数のみの販売になりますが、今後は「パウンド型(本体のみ)」と「フタ付セット」の2バージョンでお届けしていきます。

いずれも、gemomogeさん入魂の型専用レシピがふたつ付いてきます!
ふたつのうち片方は、ご購入いただいた方だけのシークレットレシピです。

お菓子作りやパン作りにチャレンジしたいけど、型は何を選んだらいいかわからない…と悩んでいる方にもぜひおすすめしたいgemomogeさんの型。お伝えしてきた通り、ひとつひとつが職人さんの手作りです。

丈夫なアルスター材のパウンド型は、使い込むほどに油がなじんで「育って」いきます。ぜひ長くご愛用いただき、型を育てる感覚も体験してみていただけたら嬉しいです。

▼専用フタは2023年2月20日いよいよ発売!特集ページはこちらから

コラム協力:gemomoge さん


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この著者のレシピ一覧

フードフォトグラファー・調理師

2016年からブログでカナダやアメリカ在住時に習得した現地の焼き菓子などのレシピを公開
ブログやInstagramでは日々お菓子作りや日常のできごとを発信中
定期的に行う週末の長時間インスタライブも大人気!
SNS総フォロワーは13万人をこえるインフルエンサー
2021年には著書『味わいリッチな焼き菓子レシピ』『味わいリッチなチーズケーキ』を発売
2023年3月9日発売の新刊『おやつの時間 毎日作れる秘密のレシピ』はAmazon予約受付中!