米油とは?米油とバターはお菓子にするとどう違う?徹底比較 米油を使ったお菓子レシピもご紹介

お菓子作り

こんにちは。富澤商店クオカスタジオで洋菓子講師をしている舘野です。
今回のコラムテーマは「米油 × お菓子」です。

近頃、バターが思うように買えないことがあったり、自分や家族のからだのことを考えたりと、オイル(植物油脂)を使ったお菓子作りへの関心が高まっている方が多いのではないでしょうか。
米油は風味にクセがなく軽やかに仕上がるので料理にはもちろん、お菓子作りにも使える万能な油です。国産原料の商品が多いこともうれしく、我が家では大活躍しています。
今回のコラムでは米油の紹介から、バターや太白ごま油との比較、おすすめのお菓子のレシピもご紹介します。お役に立てる内容が一つでもありますように。

米油ってどんな油?

米油は玄米を精米したときにできる米ぬかから作られる油のことです。
植物油脂の原料(ごま、なたね等)は外国産であるか国産は格段に高価になることが多いなか、米油は国産原料の商品が多く、価格的にも選びやすいこともうれしいポイントです。

特徴

  • 風味にクセがないので(ほとんど無味・無香)、他の材料の風味を活かしオイルのコクだけ加えられます。
  • 揚げ物をしても油っぽい香りがしにくくカラっと揚がると言われており、高温加熱に向いています。酸化に強いので美味しさが長持ちします。
  • 抗酸化作用を持つビタミンE、γ‐オリザノールなどの栄養素や、植物ステロールを含んでいます。(※商品によって、成分は多少異なります)

ほかのオイルやバターとの違いは?

お菓子作りによく使われる「バター」「製菓用 太白胡麻油」と比較してみましょう。

味わい・香り

米油と太白胡麻油はオイルのコクを感じるのみで、ほとんど味や香りはありませんが、太白胡麻油にだけ少しスッキリとした胡麻の甘みを感じます。バターは乳の芳醇な味と香りが感じられます。

状態

オイル(米油・太白胡麻油)は温めても冷やしても固まることはなく、液状です。バターは温まると溶けて液状になり、常温~冷たい状態では固形です。このことから、オイルを使ったお菓子は冷やしてもソフトなままと言われています。
また、固形のバターには起泡性(=泡立てれば空気を抱えられる性質)があり、お菓子をふくらませることができます。液状のオイルには起泡性がないのでふくらませるには膨張剤や卵の起泡性を利用します。
見た目には米油はやや黄色が強く、太白胡麻油は薄っすらと黄みがかった程度です。粘度の差は感じません。

組成・栄養素

オイルは100%近くが脂質ですが、バターは脂質のほかに15%前後の水分を含みます。
脂質の組成は、米油・太白胡麻油は不飽和脂肪酸、バターは飽和脂肪酸を含みます。

まとめ

米油と太白胡麻油は色や風味に若干の違いはありますが、お菓子にしたときに見た目や味に違いはほとんど出ないと想像できます。原料の産地や栄養面など好みで選んだり、代用していただくことができると思います。
これらのオイルとバターでは風味も状態も大きく異なりました。実際にお菓子にして違いを確認していきます。

おすすめの商品

米油とバターお菓子にするとどう違う?

米油とバターを使ってそれぞれマドレーヌを焼き、焼いた当日と翌日に確認・比較しました。総括は「どちらもおいしい!けれど風味も食感も全然違う」です。詳しくご紹介していきます。

味わい・香り

違いを感じます。
米油のマドレーヌは米油の香り・味は主張しません。コクはありますが軽やかな味わいです。
バターのマドレーヌはバターの風味が強く主張します。コクがあって重厚な味わいです。米油は他に加える材料の味わいを活かし、バターはその風味自体を楽しんだり、他に加える材料との相性が楽しめそうです。

食感

米油はやわらかさが持続するのに対し、バターの方は翌日に少し締まった印象でした。また、耳の部分にも食感の違いが出て、こちらはクッキーを作った場合の結果に通じそうです。

米油のマドレーヌ

当日しっとりとやわらかく、周囲の耳の部分はカリカリ
翌日ややしっかりしたが変化は少なく、やわらかいまま

バターのマドレーヌ

当日米油よりもややしっかりしているが、やわらかい。周囲の耳の部分はサクサク。
翌日変化がやや大きく、少し締まった食感(しっかりした)。

見た目

体積や断面の様子はあまり違いを感じません。
米油のマドレーヌは全体的にふわっと膨らみ、焼色が全体的に濃いです。
バターのマドレーヌは中央のおヘソの部分が勢いよく膨らんでおり、その周辺は焼色が薄いです。

焼成前の状態

米油の生地は型に絞ると目一杯広がります。バターの生地は型に絞っても広がりません(型をトントンと台に打ち付ければ米油の生地と同様に広がります。)。
生地の温度によってバターは固まりやすく生地が締まるので扱いに注意が必要と言えます。また、クッキーなど手で触って成型する生地では特に注意が必要そうです。

番外編:米粉との相性は?

今回の比較は薄力粉を使用して行いましたが、米粉を使用して同様にテストを行いました。米粉を使用したお菓子は翌日以降にパサつき感が気になるところですが、米油を使用したものは翌日以降のパサつき感が感じにくく、やわらかく感じました。
また、米油は風味の主張が控えめな分、米粉の甘みをしっかり感じられ、米粉×米油は好相性と実感しました。(さすが米同士!でしょうか)

まとめ

米油とバターのお菓子を比較してみると大きく違いが出ることが分かりました。バターの代用に米油を使えるか?というと、実はなかなか一言では言い表せません。焼いた後の風味の違いもさることながら、焼成前の状態も大きく違いが出ます。

マドレーヌのような溶かしバターのケーキは比較的代用しても生地作りに問題ありませんが、例えばクッキーでは生地がべたついたり、うまくまとまらないことがあるでしょう。そしてパウンドケーキのようなバターの起泡性を活かしたケーキの場合うまく膨らみません。
逆に、米油を使うシフォンケーキをバターで作るとメレンゲの泡が潰れやすくなり生地づくりが難しく感じるはずで、このように米油とバターを使ったお菓子ではレシピのつくりが異なっています。

今回のコラムで米油を使ったお菓子作りに興味を持っていただけたら、バターの代用ではなく米油のレシピを探して作っていただくと、魅力を実感しやすいと思います。

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米油を使うおすすめお菓子レシピ

米油使ったおすすめのお菓子レシピをご紹介します。特徴ごとにご紹介しますので、気になった物があればぜひ試してみてくださいね。

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終わりに

オイルは酸化しにくい商品も多いですが、開封したあとはボトルに空気が入るぶん、できれば早めに使い切りたいものです。お料理にお菓子にとオールマイティーに使える米油なら使い切り易く安心だと思います。
また、私は夏場にバターのお菓子を少し重たく感じるので、これからの季節は米油を使ったお菓子作りも楽しみたいなと思います。最後まで読んでくださりありがとうございました。

コラム執筆:舘野真里さん

舘野真里さん
舘野真里さん

製菓学校を卒業後、食品メーカーでの企画開発を経て、富澤商店×クオカスタジオをはじめ各地で洋菓子講師・レシピ開発をしています。

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