コーンスターチとは?片栗粉で代用できるの?片栗粉との違いは?実際に作ってみた!4つのレシピで徹底比較

比較・検証

こんにちは。自宅教室Nina kitchenを運営している三谷です。
今回は、「コーンスターチ」について、深堀りしてみました。コーンスターチが家にない場合、片栗粉で代用できるの?そもそもコーンスターチと片栗粉はどこが違うの?薄力粉でも作れるの?実際に作って様々な角度から比較してみます!

コーンスターチとは?

「トウモロコシ」のでんぷんです。スターチは「でんぷん」の意。
トウモロコシを専用の溶液に漬け粉砕した後、胚芽や外皮、タンパク質などを取り除いて「ろ過」し、でんぷんの成分を乾燥させたものです。でんぷんの粒は小さめ。※表1参照
主にクリームのとろみ付けに使用したり、スポンジケーキ、クッキーに入れてくちどけを良くし、サクッと感を出します。また、料理のとろみ付け、唐揚げの衣などにも使われます。

片栗粉とは?

「ばれいしょ」=「じゃがいも」のでんぷんです。昔は「カタクリ」という植物から作られていました。
ばれいしょを洗浄粉砕し、粕が取り除かれた後、さらに遠心分離機でタンパク質などを分離して脱水し、でんぷんの成分を乾燥させたものです。でんぷんの粒は他のそれと比べてもかなり大きいです。
※表1参照

見た目はコーンスターチとよく似ていますが、しっかりしたとろみがつきます。主に料理でとろみづけに使われたり、唐揚げの衣などにも使われます。

片栗粉とコーンスターチの違いは?

両者ともでんぷんですが、異なる原料からできているので、見た目が似ていても性質は違ってきます。また、でんぷんの種類によって、大きさもかなり違います。
※表1参照

とろみ付けの場合、片栗粉は加熱すると56~66℃で糊化し、無色透明のしっかりしたとろみがつきますが、冷めると水分が分離して粘度が急激に低下します。コーンスターチは62~72℃位で優しいとろみがつき始め白濁し、冷めても粘度は持続します。そのため、温かくしていただくあんかけなどの料理には片栗粉、冷たくして頂くスイーツ、クリームなどにはコーンスターチを使うことが多いのです。とろみの粘度は、片栗粉の方が強いので、コーンスターチでお料理にとろみをつける際は、少し量を増やして使うなど工夫すると良いですね。

※表1
でんぷん一粒の大きさ(1μm=1/1000mm)

馬鈴薯でんぷん
(片栗粉)
トウモロコシでんぷん
(コーンスターチ)
小麦でんぷん
平均30~40μm 大きいもので80μm平均15μm10~30μm 大粒、小粒混在
※参照:でんぷん製品の知識:幸書房(2019年改訂増補)

今回検証する材料の成分も確認しておきましょう。
大きな違いは、片栗粉、コーンスターチは原材料を加工して、でんぷんを分離し製品化したもの、薄力粉は胚乳を粉末状にしたもの(小麦でんぷんそのものではない)であること。(下表の炭水化物の中にでんぷん、食物繊維などが含まれています。)

100gあたりの含有量(一部抜粋)

 片栗粉コーンスターチ薄力粉
炭水化物81.6g86.3g75.8g
タンパク質0.1g0.1g8.0g
水分18.0g12.8g14.0g
参照:日本食品標準成分表

クッキーで比較

では、実際に作って比較してみましょう。焼き菓子の場合は、どうでしょうか?

「松の実のサブレ」の材料

★コーンスターチを片栗粉と薄力粉に置き換えて作ってみました。

生地は薄力粉のものがやや粘りがある程度で、大きな違いはありませんでした。

松の実のサブレ食感で比較

片栗粉コーンスターチ薄力粉
サクホロ くちどけ良いサクホロ くちどけとても良いサクサク やや粉っぽさ残る

焼成後、コーンスターチ、片栗粉のサブレはほとんど差がなく、薄くてサクホロでした。
薄力粉のものはやや厚みがありサクサク。コーンスターチは一番くちどけが良く、薄力粉は食べた後にやや粉っぽさが残る。片栗粉は、その中間位に感じました。

富澤商店レシピ「キッフェルン」で検証。

★ コーンスターチを片栗粉、薄力粉に置き換えて作ってみました。

キッフェルン成型時、コーンスターチ、片栗粉入りの生地はもろく崩れやすく、薄力粉の生地はグルテンの形成が強いためか崩れることはなかった。

キッフェルンの食感で比較

片栗粉コーンスターチ薄力粉
サクホロ
くちどけ良い
サクホロホロ~
くちどけがとても良いボウロのよう
サクホロ
粉っぽさは気にならない

焼成後、食感はいずれもサクホロで、やはりコーンスターチが一番くちどけが良く、次に片栗粉の順。
ただ、生地に「アーモンドパウダー」が配合されているため、グルテンの形成はもともと弱く、コーンスターチを薄力粉に置き換えてもサクサクで前述の「松の実のサブレ」ほど粉っぽさは気にならなかったです。

比較結果

クッキーのレシピの場合、コーンスターチを片栗粉で代用しても問題なく作れそうです。
薄力粉に置き換えても大きな支障はありませんが、片栗粉の方がベターと言えるでしょう。
また、松の実のサブレのように「薄力粉」と「コーンスターチ」(粉全体の25%程度)で作るクッキーの場合、コーンスターチをアーモンドパウダーに置き換えてもサクホロの食感が期待できそうです。

チーズケーキで比較

では、しっとりとしたチーズケーキではどうでしょうか?生クリームやバターを使わず、牛乳、太白胡麻油を使用したヘルシーな胡麻のチーズケーキで検証してみます。

富澤商店レシピ「胡麻のチーズケーキ」

★ コーンスターチを薄力粉、片栗粉に置き換えて作ってみました。
※レシピは18㎝丸型1台分ですが、半分量で12㎝丸型で作っています。

焼成前のチーズクリームの生地にはほとんど差がありませんでした。

胡麻チーズケーキの食感で比較

片栗粉コーンスターチ薄力粉
少しざらつくくちどけ良く滑らか滑らか濃厚

比較結果

チーズケーキの場合は、片栗粉ではなく薄力粉で代用した方が良いようです。
断面を見ても、フォークを入れても、一見どれも同じように見えますが、一番滑らかでくちどけが良いのはコーンスターチでした。次いで薄力粉。片栗粉入りは食感が少しざらついているように感じました。
やはり、「でんぷんの粒の大きさ」の違いというのも一つの理由と言えるでしょう。また、片栗粉のでんぷんは粒も大きく冷めて時間が経つと、水分と分離する性質を持っているので、それもざらつきを感じる原因となるようです。
薄力粉入りのチーズケーキは、焼成中かなり膨らみました。やはり、グルテンの形成が強くなるので生地が伸びやすかったようです。小麦粉に置き換える際は、少し量を減らすなど調節すると良さそうです。

カスタードクリームで比較

カスタードクリームは、薄力粉入りのレシピが多いですが、なかには薄力粉とコーンスターチ半々で作るものもあります。
今回は、富澤商店レシピ「基本のクッキーシュー」のカスタードクリームを作ってみたいと思います。
こちらは、もともと薄力粉で作るレシピですが、コーンスターチや片栗粉で作ると、どのような食感になるのか検証してみました。おまけとして、冷凍したらどうなるのか?!驚きの結果です!

~基本のクッキーシュー「カスタードクリーム」の材料~

★ 薄力粉をコーンスターチ、片栗粉にそれぞれ置き換えて作ってみます。
※生クリームと合わせてディプロマットクリームにするレシピですが、比較のためカスタードクリームのみの状態で検証しています。

できたての様子

片栗粉コーンスターチ薄力粉
ぽてっとしている 粘り、弾力とても強い
とろろ芋のよう
滑らか 粘り弱い
すぐにスプーンから落ちる
滑らか 粘りやや強い
適度な弾力

冷ました後

片栗粉コーンスターチ薄力粉
ぽてっとして 皿にべたつく ツヤはなくマット優しい弾力 皿から剥がれやすい ツヤありぷりんっとして弾力あり 皿からも剥がれやすい ツヤあり

冷ましてほぐした後

片栗粉コーンスターチ薄力粉
かなり強い粘り
もちや求肥に似た弾力 ざらつき感がある
粘りは弱い
滑らか くちどけ良い
適度な粘り
滑らか 濃厚さがある

冷凍保存1日後、解凍したもの

片栗粉コーンスターチ薄力粉
ボロボロ崩れる
ぼそぼそした食感
ボロボロ崩れる
ぼそぼそした食感
粘りはやや弱くなるが ツヤあり
滑らか食感

比較結果

カスタードクリームには、薄力粉が最も適していると言えるでしょう。

滑らかさについては、薄力粉=コーンスターチ>片栗粉。
粘りについては、薄力粉>コーンスターチ=片栗粉。

ただし、今回のカスタードクリームはディプロマットクリーム用なので、少し粘りが強めで、生クリームと合わせた時に最も美味しくいただける配合です。この適度な粘りがクリームの濃厚な美味しさを舌の上にとどめてくれる役割を果たすのでこれも大切な要素です。
一方カスタードクリームをそのままでいただく場合や、くちどけの良さを前面に出したい場合はコーンスターチを使用したり、薄力粉とコーンスターチを合わせて作るレシピを利用すると良いでしょう。

おまけの検証として、冷凍したらどうなるか?

冷凍を前提として作るなら、断然薄力粉が良いですね。
成分がほぼ「でんぷん」のコーンスターチ、片栗粉は水分が分離しボロボロになってしまいました。

まとめ

コーンスターチの代用は「これ!」と一言で言えるものではなく、焼き菓子などの乾きものは片栗粉や薄力粉を使用してもさほど影響はなく、チーズケーキ、カスタードクリームなど水分が多く滑らかさを求めるものには、代用として薄力粉が向いているなど、作るものによって適した代替品があることがわかりました。

今回比較したレシピは、ほんの一例ですが、それぞれの「でんぷんの性質の違い」が少しお分かりいただけたのではないかと思います。お菓子作りは化学(科学)だ、とはよく言ったものですね。
ご自宅でケーキを作る際も、あるものをうまく使いわけることによって、お菓子作りをより身近に感じて楽しんでいただけたら嬉しいです。

また、一つのレシピには、工夫と知識だけでなく「この配合にしたら、より美味しくなる!」という作り手の思いがたくさん込められていることも改めて感じました。
ご紹介したレシピの他にも様々なチーズケーキやカスタードクリームのレシピがありますので、富澤商店のサイトでお気に入りレシピを検索して、ぜひ作ってみてくださいね。

コラム執筆:Nina kitchen三谷さん

三谷さん
Nina kitchen三谷さん

「おうちのキッチンで作るおいしいパン&スイーツ」自宅教室Nina kitchen主宰。
ロースイーツクリエイター認定校。自宅教室にて基本のパン、オリジナル創作パンのレッスン開講中。

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