プディングとプリンの違いとは?徹底比較!夏にぴったりのイギリス菓子「サマープディング」のレシピをご紹介

フルーツ

こんにちは。洋菓子講師の舘野です。今回は「プディング」と「プリン」をご紹介します。
プディングは「パンプディング」などのお菓子の名前で聞いたことがある方もいらっしゃるでしょうか。プリンはもちろんお馴染みですね。
少し似た雰囲気を持つ、2つの言葉。表すのは同じもの?それとも別のもの?詳しくご紹介します。
冷やして食べる「サマープディング」をはじめとした、これからの季節におすすめのプディングやプリンのレシピもご紹介します。ぜひ読んでいただき、夏のスイーツ作りを楽しみましょう。

プディングとは

「Pudding・プディング」は主にイギリスで使われる言葉です。
何か一つの食べ物を表すのではなく「いくつかの材料を混ぜ、蒸して固めたイギリスの料理やお菓子全般」に使われる言葉です。プディングの中にはお肉を使った腸詰(ソーセージ)も、甘いデザートも含まれるので、イギリスには料理・お菓子を問わずたくさんの「プディング」が存在しています。
蒸す他にも、茹でる・オーブンで焼くといった他の調理方法が用いられることもありますが、総じて、何かに包むか型に入れて調理するので水分や油分が残った柔らかな食べ物です。
また「デザート」という意味でも使われます。レストランで「本日のプディング(=本日のデザート)」という風に書かれていることがあります。

プリンとは、プディングとの違いは?

名称としての「プリン」は「プディング」が元になっているようです。
プディングが西洋から日本に伝わった際に、日本には馴染みのない言葉だった為、「プリン」という呼び名に変わっていったのだとか。
味わいとしての「プリン」はフランスのデザート「Crème caramel ・クレームカラメル」や「Crème renversée・クレームランヴェルセ」が源流と言われています。
この2つは基本的には同じもので、容器の底にカラメルを敷き、卵・牛乳・砂糖で作った液体を流して焼き固めます。私たちに馴染みのある「カスタードプリン」と同じ作りですね。
「ランヴェルセ」は「逆さまの」という意味のフランス語です。食べる時には、容器を逆さまにしてお皿に取り出し、カラメルを上にして食べるのでそのような名前がついたと言われています。
プリンは世界中で親しまれているお菓子ですが、国ごとに呼び名や材料が少しずつ違っているとてもユニークな存在です。ちなみにイギリスではフランス語をそのままに「クレームカラメル」として販売されているようです。

プディングにはどんな種類がある?

先ほどご紹介したように、イギリスで親しまれているプディング。甘いものだけでもその種類は膨大です。代表的なものをいくつかご紹介します。

ブレッド&バタープディング(パンプディング)

こちらは先ほどご紹介した「プリン」と同じくらい世界中で食べられているプディングの一つ。食事で残った少し乾燥したパンにバターを塗って、プリン液を注いで焼くのがオーソドックスなレシピ。フルーツを加えたり、カラメルソースやマーマレードをかけたり色々なアレンジも楽しめます。

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サマープディング

夏にたくさん採れるベリーをたっぷり詰め込んだ夏のプディングです。ベリーとお砂糖を軽く煮たら実とシロップに分けて、薄く切ったパンをシロップに浸して型に敷き、実を中に詰め込んでよく冷やしたら出来上がり。油脂をほとんど使わないのでとても軽やかに食べられます。次の項でレシピを詳しくご紹介しますね。

クリスマスプディング

名前の通りクリスマスに食べるプディングです。レーズンをはじめとするたっぷりのドライフルーツが主役。パン粉・スエット(牛の脂)・卵などをつなぎに、洋酒やスパイスで風味漬けをした生地をゆっくりと(5時間以上!)蒸したあと、1ヶ月以上熟成させます。伝統的には秋に準備を始め、クリスマス当日に温めていただきます。

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材料は3つだけ!夏にぴったりのサマープディングを作ってみよう!

ご紹介した中から、あたたかい季節にぴったりの、爽やかなサマープディングのレシピをご紹介します。コラムでは手軽に作っていただけるレシピをご紹介。
中に詰めるベリーによって味や色が変わります。ミックスベリーにはブルーベリー、レッドカラント、ラズベリー、ブラックベリーが入っていますが、他のベリーをブレンドしてお作りいただくこともできます。

サマープディングの材料 【容量300mlのボール1個分

サマープディングの作り方

1.材料を用意したら、ボールにラップを敷きます。型とラップの間に隙間がないようぴったりと型に沿わせます。パンは長い方を縦にして台形に切ります。


2.鍋に冷凍ミックスベリー、グラニュー糖を入れ、蓋をして極弱火にかけます。時々、ゴムベラでベリーを崩さないようにやさしく混ぜます。だんだん果汁が出てくるので、ベリーがシロップに浸ったようになれば火を止めます。(目安は5分前後)火力が強すぎるとベリーが煮崩れるので、ごく弱い火で解凍するようなイメージです。


3.ザルに上げベリーとシロップに分けたら、パンを1枚ずつシロップに浸します。少しだけ重ねながら型に敷いていきます。シロップに浸しすぎるとパンが崩れてしまうので、さっと浸けるだけで大丈夫です。


4.ベリーを詰めこみ、飛び出ているパンを順に重ねて蓋をします。長さが足りず中央が覆えないので、飛び出ているパンの1箇所をカットして覆いましょう。ラップで閉じて、重しをして冷蔵庫で一晩置きます。ボールの高さより上までプディングが出ていれば平らなお皿と重しを、ボールの高さより下ならボールの径に近い大きさの重石を乗せましょう。


5.ラップを開き、お皿の上でひっくり返して型から外したら出来上がり。


この後の飾りはお好みで(以下分量外です)。写真ではナパージュに2〜3割の水を入れてゆるめたものに、冷凍ミックスベリーをさっとくぐらせたものをトッピング。ミントとエディブルフラワーを飾りました。

カットするときは波刃包丁がおすすめ。柔らかくて少し切りにくいので、綺麗な断面にしたい!という方は1時間ほど冷凍庫に入れて半冷凍状態にすると切りやすいです。

そのままでも美味しいですが、写真ではさっぱりとしたヨーグルト生クリームを添えました。水切りして半分の重量にしたヨーグルトと8分立ての生クリームを1:1で合わせ、グラニュー糖を1割加えました。サマープディングと相性抜群でデザート感がUPするおすすめの組み合わせです。

パンは量販店のものを使っても十分美味しいですが、ベーカリーのパンや手作りのパンで作るとパンが口に残らずより良い仕上がりになります。12枚切りくらいの厚みがおすすめですが、10枚切りでもお作りいただけます。手に入るもので試してみてください。

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夏にぴったりのイギリスのデザートとプリンのレシピ

プディングに関連して、暖かい季節におすすめのイギリスのデザートやプリンのレシピをいくつかご紹介します。

終わりに

サマープディングというお菓子があることは以前から知っていたのですが、食パンをびちゃびちゃにしたお菓子だなんて美味しいのかな?と懐疑的で作ってみようとは思いませんでした。今回実際に作ってみても、試食するまでは実は半信半疑…。デコレーションをして、クリームを添えて、いざ食べて…びっくり。とっても簡単に出来たのに十分に美味しいデザートとして完成していました。今回は量販店のパンで作ったので、食感が少しぬるっとした感じが出ていたのですが、それでも十分なおいしさでした。近年、夏は自宅で採れるブルーベリーとブラックベリーの使い道に頭を悩ませていたので、今年はサマープディングを作ってみようと思いました。皆さんもよかったら一度試してみてくださいね。

コラム執筆:舘野真里さん

舘野真里さん
舘野真里さん

製菓学校を卒業後、食品メーカーでの企画開発を経て、富澤商店×クオカスタジオをはじめ各地で洋菓子講師・レシピ開発をしています。