こんにちは。富澤商店・自由が丘スタジオの馬渡です。
寒い季節が終わり、春を迎えると何か新しいことを始めたくなりますよね。この季節「パン作りを始めてみよう!」と思う方も多くスタジオにも新しいお客様がいらっしゃいます。
ただ、始めてみたけど作ってみたらパンが上手に膨らまない…。
「先生!何で!!」とお悩みを相談してきてくださる方も。
その原因はパンによっても様々。そこで今回は、「食パンが膨らまない理由」にフォーカスして詳しく解説していきます。
そもそもパンはどうやって膨らんでいるの?
大半のパンは小麦粉を主原料として作ります。
小麦粉にはタンパク質が含まれており、そのタンパク質内のグルテニンとグリアジンに水分が加わり「捏ねる・混ぜる」という外的な力が加わるとその2つが結合して網目構造の組織である「グルテン」が生まれます。
食パンのように大きく膨らんだふわふわとした食感のパンの多くはタンパク質の含有量が10%以上含まれている強力粉を使用することが多く、しっかりと捏ね進めるとグルテン同士の結びつきが強くなり、網目が細かくなって薄い膜状になっていきます。
この膜が風船のような状態となり、酵母菌が発生する炭酸ガスやアルコールなどを抱え込んでパンを膨らませていく…というのがパンが膨らむ理屈です。
食パンが膨らまない!5つの原因と解決方法
それでは、「食パンが膨らまない」というよくあるお悩みに対して、どういったことが原因として考えられるのか、確認していきましょう。
原因1.タンパク質量が少ない小麦粉を使用している
解決方法:タンパク質量高めの強力粉を選びましょう
一般的に、食パンに使用する小麦粉は「強力粉」。その中でも12%前後のタンパク質量の小麦粉を使うことをおススメします。タンパク質量の少ない小麦粉を使うと、うまく膨らまないことがあります。
原因2.生地こねが不足している
解決方法:動画をチェックして、しっかりと生地こねしましょう
ご家庭でパンを作る時に、パンこね機やホームベーカリーを使用される方もいらっしゃると思いますが、実際は手ごねで作る方がほとんどなのではないでしょうか。
手ごねで強力粉を使用して食パンのように大きく膨らませるパンを作る場合、「こねすぎ」はほとんどありません。
材料を混ぜる→しっかりとグルテンを形成する→バターなどの油脂を入れる→再度しっかりとこねる
という流れで生地をこねていただくと、大きく膨らみふっくらとした食パンが焼けると思います。
パンのこね方の動画を見てみよう
では、パン生地を手ごねするときはどういったところに気を付ければいいのでしょうか?こちらの動画で詳しく解説していますので、チェックしてみてくださいね。
原因3.水分量が少ない
解決方法:水分量を確認してレシピを選びましょう
食パンのレシピはさまざまです。
水分量が少なめのレシピの方がべたつきは少なくこねやすいと思いますが、固い生地は発酵や焼成時に膨らみづらくなります。レシピにもよるので一概には言えませんが、小麦粉に対して70%程度の水分量のレシピで作っていただけると、膨らみやすい生地になります。
原因4.成型した生地に弾力がない
解決方法:動画をチェックして、弾力が出る成型を目指しましょう
2次発酵まで膨らんだ生地をオーブンに入れたけど、焼く前と大きさが変わらなかった・・・。
という経験がある方も多いのではないでしょうか?
しっかりとこねて発酵も十分に取ったのになぜ?と悩んでしまいますよね。
その場合、ベンチタイム後の成型に理由があることが多いです。
パン生地の扱いに慣れないとなかなか難しいところではありますが、生地中のガスをしっかり抜き、ハリがある状態まで成型できたかどうか?というところが焼成時の膨らみに影響します。
食パンの成型の動画を見てみよう
しっかり膨らむ成型とは?コツをこちらの動画でチェックしてみてください。食パン成型のバリエーションも紹介しています。動画を見ていただき、ぜひ練習してみてくださいね。
原因5.発酵が不足している
解決方法:動画をチェックして、しっかり発酵できているか確認しましょう
一般的に食パンを作る時は、1次発酵、2次発酵と2回発酵時間をとります。
レシピ通りの発酵時間でも生地のこね上がりの温度や発酵機の中の温度などで膨らみ方が変わります。
発酵の見極め方の動画を見てみよう
的確な見極めをするにはある程度の経験が必要ですが、おおよそ判断できる方法を動画で紹介しています。ぜひご覧になってみてくださいね。
もっと膨らみやすい生地を作る!2つのお悩み解決テクニック
食パンが膨らまない、よくある5つの原因と解決方法をご説明してきました。次は逆に「膨らみやすい」生地を作るためのテクニックをご紹介していきます。
1.「パンチ」を入れる
食パンやフランスパンなどのレシピでたまに出てくる「パンチ」という工程。
主に「大きく膨らませたいパンを作りたい時」、「膨らみづらい生地でパンを作る時」に出てくる工程です。
パンチの目的は?
「パンチ」の工程を入れるのは、大きく分けて・・・
- グルテンを強化することによって膨らみやすい生地を作る。
- 生地を薄く伸ばすことで生地の内外温度差を無くし、生地中にたまったガスを抜くことで発酵を促進する。
という2つの目的があります。
どちらも膨らみやすい生地を作ることを目的としていて、食パンを作る上ではとても効果的です。
「パンチ」の工程が入った食パンレシピ
それでは、「パンチ」の工程が入った食パンレシピをチェックしてみましょう。
春よ恋(高加水用) で作る ミミまで柔らか生食パン(TOMIZレシピ)
生クリームやバターを贅沢に使用したそのまま食べたい生食パンのレシピ。α化した小麦入りで吸水が安定する「春よ恋(高加水用)」を使っているので、もちもち&しっとりに仕上がります。水分が多く入ることで、モチっとした食感がより長持ちしておいしく召し上がれます。
たっぷりの干しぶどうを入れた食パンです。干しぶどうは、熱湯につけることで柔らかくおいしくなりますが、ぶどうのおいしさが抜けてしまうのでつけ過ぎないように注意しましょう。ぶどうをつけた汁をパン生地に使うことで、生地がさらにおいしくなります!
食パン生地は、ふわりとしたパンになるようにしっかりと練って生地を仕込みます。レーズンパンがお好きな方はぜひ試してみてください。レーズンの種類を変えてみても楽しめます!
2.中種を使ったレシピを選ぶ
パンを作るのにはさまざまな製法がありますが、生地こねを2回に分けて作る「中種法」を用いたレシピは、食パンを膨らませる上でとても効果的です。
色々な「中種法」がありますが、使用する小麦粉全量の内の30~70%と酵母菌、水のみを使用して作る比較的ポピュラーな中種法をおススメします。
中種を使用することでしなやかなグルテンが形成され、オーブンでの窯伸び(オーブンに入れた後の膨らみ)が良くなる効果があります。
それに加え、焼いた後のしっとりとした食感が長続きしたり、大きく膨らむ分パンがふわふわに焼き上がったり…と、毎日の朝食に食べたい食パンにはとても向いた製法です。
「中種法」を使用した食パンのレシピ
それでは、「中種法」を使用した食パンレシピをチェックしてみましょう。
国内産の小麦粉をメインに、ライ麦を配合した生地の食パン。表面にライ麦の押し麦をトッピングして、本格的なライ麦食パンに仕上げます。
食パンが膨らまない!お悩み解決まとめ
毎日の朝食やサンドイッチなど、さまざまなシーンで活躍する食パンはぜひ自分で作れるようになりたいですよね!今回は、食パンが膨らまないよくある5つの原因と解決方法、そしてもっと膨らむための2つのテクニックをご紹介しました。
成形や生地こねなど、テクニックが必要になってくる内容は練習あるのみ!ですが、膨らみやすい小麦粉やレシピの選び方はすぐに役立てられる情報です。ぜひ今回のコラムを参考にしていただき、みなさんのパン作りのお手伝いになれれば嬉しいです。
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