こんにちは。富澤商店にてレシピ著者をしておりますマスダアイミです。
寒くなってくると、我が家ではそろそろ味噌や醤油仕込みの季節が到来。来年食べる為の味噌を仕込みます。
手作りの味噌は仕込む楽しさもありながら、何より美味しいのが魅力。毎日のお味噌汁がとびきり美味しい。それだけで毎日幸せな気持ちになれます。
今回は、忙しい方でも仕込みやすい手軽な「麹と混ぜるだけ 手作りみその素」を使い、手作りならではの贅沢な合わせ味噌の作り方を詳しく解説します。
この「手作りみその素」は富山県産大豆を丁寧にすりつぶし、赤穂の天塩を加えたペーストで、別売りの麹を混ぜるだけで味噌作りを始められる、富澤商店の新商品です。
どうして「寒仕込み」がおすすめ?
寒仕込み味噌とは、一般的には冬の「寒」の季節に仕込む味噌のことをいいます。
私は大体1月頃の「大寒」の時期(1月下旬)を目安に、「立春」(2月上旬)までに仕込むことが多いです。最近は暖かくなるのが早いのもあり、12月頃から仕込み始める時もあります。
何故寒仕込みの味噌がおすすめかというと、以下の理由からです。
- 雑菌リスクを抑えやすい(カビが生えにくい)
- 発酵のバトンタッチがスムーズ
- ゆっくりと時間をかけて発酵・熟成させることが出来るので味に深みが出やすい
冬の季節は、暖かい季節と比べて食中毒菌や腐敗菌が増えにくい環境なので、仕込んだ味噌の雑菌汚染リスクを減らすことが出来ます。
そして、寒い季節から仕込む事で発酵の過程がスムーズに、クリーンに進みやすくなります。
これはどういうことかと言うと、
まず、寒い季節に仕込んだ味噌の中で、麹の酵素が大豆のでんぷんやたんぱく質を分解していきます。
そこへ分解した生成物をエサに、寒い季節でも動ける乳酸菌が活動します。乳酸菌が働くと味噌の中の状態が酸性化して、他の菌を寄せ付けない、クリーンな環境の土台を作ってくれます。
そして暖かくなってきた頃に、酵母菌が遅れて活動を始めます。酵母菌は味噌の中に香りやアルコールを生み、味噌を美味しくしてくれます。
この発酵のバトンタッチが寒仕込みだとスムーズに進みやすく、安定した味噌が作れます。
寒い季節に土台をしっかり作り、暖かくなってきたら香りや甘味、旨味を作ってもらうというイメージです。
急いで発酵させるよりも、経過した温度や時間による生成物も多くなるので味に深みとコクが生まれるのもメリット。時間をかけてじっくり発酵させます。
実際に味噌を仕込んでみよう!使う材料や道具など
今回は、通常よりも麹をたっぷり使った「倍麹」の米麹と麦麹を合わせた、合わせ味噌を仕込みます。
市販の味噌ではなかなか出会えない、手作りならではの味わいです。
倍麹の味噌とは?
大豆の量に対して、麹が倍量入る味噌になります。大豆と麹を1対1で仕込んでいく味噌よりも、高級志向の、旨味と甘味が強い味噌になります。
米麹と麦麹の合わせ味噌とは?

米味噌と麦味噌の特徴を掛け合わせた味噌になります。
甘味と旨味、まろやかさが特徴の米味噌に、麦の香ばしさや甘味が加わります。味の幅が増え、甘味、旨味が複層的になった美味しい味噌になります。
それでは早速味噌を仕込んでいきましょう。まず、材料です。
材料

手作りみその素、米麹、麦麹、塩、浄水を用意します。
- 手作りみその素 一袋(625g)
- 米麹 250g
- 麦麹 250g
- 粗塩 45g
- 浄水 120g
手作りみその素にはある程度の塩分が含まれている為、足りない塩分を足して味噌全体の塩分量を調整します。今回の塩分量は約11%にしています。
味噌づくりでいちばん大変なのは、大豆を一晩浸水させ、その後茹でて潰す工程です。その作業を省けるのは、手間が減ってとてもありがたいことです。
道具

次に道具です。
道具使用時の注意点ですが、必ず清潔なものを使いましょう。ボウルは大きいものを選ぶと良いです。味噌を入れる袋はチャック袋を使用します。消毒液も用意しておきます。
味噌の仕込み方

まず麹をぱらぱらにほぐしていきます。塊のまま残ってしまうと出来上がった味噌にムラが出来る原因になるので、必ず細かくほぐしましょう。

次に塩を入れます。

塩を入れたら、麹と一緒に混ぜ合わせます。均一に麹と塩が散らばるように混ぜます。
これは「塩切り麹」といって、味噌づくりではまず塩切り麹を作る事が基本の流れです。

そこへ手作りみその素を入れます。
手作りみその素を入れたら、揉むようににて大豆と塩切り麹を合わせていきます。少し手の力がいる作業です。

そこへかたさ調整をするために浄水を加えていきます。一般的に麦麹はとても水を吸う性質があるため、麦麹の水吸い分を計算してかたさ調整をします。

水を加えながらよく揉み込み、均一な固さにしていきます。固さの目安は「ハンバーグのたねが少しかために仕上がったくらい」です。

麹と塩、大豆が均一に混ざったら、味噌玉を作っていきます。空気を抜くようにぎゅっとお団子状に丸めます。
味噌は出来るだけ空気を入れないように仕込むかがとっても大事です。味噌玉をつくることで空気の混入を防ぎます。

ここから容器に入れていきますが、容器が綺麗かどうか?確認しましょう。
消毒液を使い、しっかりと除菌してから使用すると良いです。チャック袋の場合、口を少し折り返しておきます。


味噌玉を投げ入れるように入れ、都度上からぎゅっと空気を抜くように味噌玉をつぶしていきます。空気が混入すると、そこからカビが生えるリスクがありますので、しっかりぎゅっと押し込みます。

全て入れ終わったら、容器の口や周辺を消毒液を吹きかけたキッチンペーパーなどでしっかりと拭き取って除菌しましょう。


最後は空気を抜きながら封をしていきます。何度も言いますが、空気は混入させないこと!逆さまにして空気を押し出して封をします。

これで仕込み完了です。
私は仕込んだ味噌の状態が安定するまでは、写真のように口を下に向けて逆さまに置いています。
どうしても口部分は空気を抜き切れていない部分もあるため、下に向けて置くことで空気混入部分にカビが生えるリスクを減らしています。
保管方法は?
保管場所は「日が当たらない、風通しの良い冷暗所」に置いておくと良いです。
リビングなど、人が居て空調管理されている場所よりは、季節の温度変化を自然に受けられる場所が良いです。
私は階段下に置いています。目につく場所でもあるので、変化を観察することも出来るのでおすすめです。
暖かくなってきたら冷えた場所に移す方が良いですか?との質問をいただくこともありますが、そのまま自然の温度下に置いてあげましょう。暖かくなると酵母の動きが活発になり、香りや深みをつくる時期になります。夏は35℃以下の室内であれば置いておいて問題ありません。
熟成の見極め

半年経って、色が濃く変わり熟成されてきたら、味見をしてみます。

ここで自分好みの味になっていれば完成。塩角を強く感じたり、甘味や旨味が弱く感じたのであれば、そのまましばらく置いておきます。完成した際は保存容器に入れ、冷蔵庫に入れて保管します。
私は寒仕込みの味噌は、だいたい夏が明けるまでは置いています。夏の気温で最後にぐっと美味しくなるので、秋には新米のご飯と、出来上がったお味噌で作ったお味噌汁を一緒にいただくのが最高の楽しみとなっています。
手前味噌のある生活、始めましょう

昔は、自分の家で味噌を仕込むのが当たり前でした。
「手前味噌」という言葉があるように、自分で仕込んだ味噌を「うちの今年の味噌はおいしいわよ」と言って、自慢し合う―― そんな暮らしを、日本人は長く送ってきました。
しかし、世の中がどんどん便利になるにつれ、いつしか味噌は「買うもの」へと変わっていきました。
今では、わざわざ時間をかけて仕込まなくても、手軽においしい味噌が手に入ります。さらに、フリーズドライの味噌汁も登場し、お湯を注ぐだけで簡単に味噌汁を楽しめるようになりました。
便利なものが生まれるのは素晴らしいことですし、積極的に活用すべきだと思います。ただ一方で、ひと椀の味噌汁を口にして、「ああ、おいしい」としみじみ感動する瞬間は、昔より少なくなっているのではないでしょうか。
「おいしい」という感覚は、良い材料や調理法だけで生まれるものではありません。作ったときの思い出や、その過程もまた、「おいしさ」につながっていると思うのです。
家族で楽しく仕込んだ記憶や、「ちゃんとおいしくなっているかな」と様子を眺める時間―― そうしたひとつひとつの過程も、大切な「おいしさの要素」です。
その積み重ねによって、何気ない日常のお味噌汁が、特別な一杯に変わります。
人は「食べること」で生きています。
だからこそ、食を大切にし、豊かにしていくことは、自分自身を大切にすることにもつながります。そしてそれは、いちばん身近で、いちばん簡単に幸せになれる方法かもしれません。
今年は是非、お味噌仕込んでみましょう!来年の自分へのプレゼントになる筈です。
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