ゼラチンの使い方!板ゼラチンと粉ゼラチンの違いとは?徹底比較

比較・検証

こんにちは。富澤商店クオカスタジオ等で洋菓子講師をしている舘野です。

今回はゼラチンがテーマです。
大きく分けて板ゼラチンと粉ゼラチンがありますが、レシピによって使い分けられていることが多く「粉ゼラチンは持っているけど、板ゼラチンの代わりに使えるのかな?」など迷われた経験はありませんか。今回はそれぞれの特徴や違い、同じ分量で代用できるのかを調べてみました。

特徴

まずはゼラチンごとの特徴の紹介です。

板ゼラチン

板ゼラチン / 50g

*リーフゼラチンゴールドの小分け商品です。

  • 板状で1枚約2.5g
  • 氷水でふやかしてから使用する
  • 1000mlにつき21g(2.1%)がメーカー推奨の使用量

ゼラチンニューシルバー顆粒

数種類取り扱いがある中から「ゼラチンニューシルバー顆粒」を紹介します。

  • 細かな顆粒状
  • 水でふやかさずに使える、クイックタイプのゼラチン
    *粒子が細かくダマになることがある。砂糖と混ぜてから使うのがオススメ
  • 1000mlにつき25〜30g(2.5〜3%)がメーカー推奨の使用量

板ゼラチンの方が少ない量で固まることから、透明度が高い・なめらかな食感になりやすいと言われています。実際にはどうなのでしょう。お菓子にして比較してみたいと思います。

ゼリーでの比較①

違いが分かりやすく出るように水・砂糖・ゼラチンのみでゼリーを作りました。
2種類のゼラチン、それぞれの推奨量を基準に4パターンです。

A板ゼラチン2.1%(推奨量)
Bニューシルバー顆粒2.1%
Cニューシルバー顆粒2.8%(推奨量の中央値)
D板ゼラチン2.8%

まず板ゼラチンの推奨量である、2.1%での比較です。
Aはふだん食べ慣れているゼリーの食感、Bはジュレのような柔らかい食感です。どちらも型抜きはできましたが、かたまり方がゆるい為、広がります。
Bの方がゆるく、室温28℃下ではみるみるうちに溶けていきました。

28℃で15分経過した状態の写真

次にニューシルバー顆粒の推奨量である、2.8%での比較です。
C・Dどちらも細かく刻めそうなほど硬めのゼリーです。型の大きさ通りに抜けました。
食感の違いはあまり感じませんが、Cはゼラチン特有の後味が気になりました。
また、Dは透明感のある仕上がりですが、Cはやや黄色味がかっています。
味・見た目の違いは添加量が多いほど分かりやすく、食感・固まり方の違いは添加量が少ないほど分かりやすそうです。

ゼリーでの比較②

①の結果を受けて、今度は同じ硬さで比較するために量を調整しました。Aが普段食べるゼリーの食感に近かったので、それを基準に粉ゼラチンを1.2倍の量で作りました。

Eニューシルバー顆粒2.5%(Aの1.2倍量)
F板ゼラチン2.1%(推奨量)

今度はかなり近い仕上がりで、型抜き後の大きさはほぼ同じ。固まり方もほぼ同じに感じます。
食べてみるとEの方がわずかに歯応えを感じるので、板ゼラチンの方が口当たりがなめらかに感じるのかもしれません。

ババロアでの比較

最後に富澤商店HPのレシピを使って比較をしてみます。

こちらはニューシルバー顆粒を全体の1.2%使ったレシピです。
②のテストでは板ゼラチンの量を基準にして粉ゼラチンを1.2倍にして比較しました。同じ比率を活かして、今回は板ゼラチンを0.8倍(80%)にして作ります。

Gニューシルバー顆粒1.2%(レシピどおり)
H板ゼラチン0.9%(Aの約0.8倍量)

②のテストよりも違いが出ました。ゼラチンの添加量が少ないからだと思います。

Gは生クリームの泡のふんわり感をゼラチンでキープしたような食感。型抜きはスムーズです。HはGよりもなめらかで、わずかに柔らかいです。型抜きは少し難しいですが、グラスデザートならばなめらかで美味しそうです。型抜き後の広がりがGよりもわずかに大きかったです。

上記はゼラチンの種類だけでなく、添加量による違いにも感じました。
このレシピの場合は0.9倍(90%)ほどだと状態が近そうです。また、ババロアは卵やバニラの味・色があるため、粉ゼラチンで気になった後味や黄色味は分かりませんでした。

まとめ

以上のテストをもとにゼラチンの違いをまとめます。
(板ゼラチン=リーフゼラチンゴールド、粉ゼラチン=ゼラチンニューシルバー顆粒)

まず、板ゼラチンは透明度が高く、ゼラチン特有の後味も控えめです。しかし、粉ゼラチンも果汁などの他の風味が入ると気にならない程度だと思います。

そして、食感は板ゼラチンの方がなめらかで、粉ゼラチンの方がやや歯応えを感じる傾向がありました。ただし食感はゼラチンの添加量によっても大きく変わってきます。

代用を考える場合は下記の調整が目安になりそうです。

レシピ代用するゼラチン使用する量
板ゼラチンのレシピ粉ゼラチン少し増やす(1.2倍程度)
粉ゼラチンのレシピ板ゼラチン少し減らす(0.8〜0.9倍程度)

注意点として、ゼラチンは添加量を間違えると「固まらない!」「溶けてしまった!」という悲しい事態が起こることがあり得ます。
その為、代用は上級者さん向けだと感じました。型抜きのレシピや、夏場に持ち歩くお菓子は特に注意が必要です。

また、今回のテストは商品の比較であって、他の粉ゼラチン・板ゼラチンに全く同じことが言えるわけではありません。
代用の場合のポイントは「水1000mlに対してゼラチンを何グラム加えることが推奨されている商品か」という点で、レシピで使われている商品と代用したい商品を比較・計算すればダイナミックな違いは恐らく発生しにくいかと思います。

いかがでしたか?
ゼラチンは少ない量で大きな違いが出るのでちょっと小難しく感じることがあるかもしれません。一方、その大きな違いは「面白い」ととらえることもできます。
添加量やゼラチンの種類が変わっただけで、まるで別のレシピのように食感や味の違いを感じることがあり、思わぬところからお気に入りのレシピが生まれるかもしれません。
もしアレンジや代用に挑戦してみたいなと思われたら、カップに入れたまま食べるムースやババロア、持ち歩かず家の中で食べ切るお菓子などから試してみてくださいね。

コラム執筆:舘野真里さん

舘野真里さん
舘野真里さん

製菓学校を卒業後、食品メーカーでの企画開発を経て、富澤商店×クオカスタジオをはじめ各地で洋菓子講師・レシピ開発をしています。

こちらもあわせてご覧ください。

暑い日に食べたい!アガーゼラチン寒天 基本レシピ12選
error:Content is protected !!