こんにちはTOMIZ×CUOCA STUDIOの馬渡です。
今回コラムでは、キャラメリゼ(カラメリゼ)とはどんな調理法なのかをくわしく解説させていただきます。お砂糖の特徴に触れていただき、お菓子作りの参考にしてくださいね。
「キャラメリゼ」とは?
「キャラメリゼ」とは、フランス語で「carameliser」、英語では「caramelization(キャラメゼーション)」と表記します。
フロランタン、クレームブリュレ、クイニーアマン・・・
キャラメリゼの技法を使っておいしく作り上げるお菓子やパンはたくさんありますよ。
「キャラメリゼ」とは、砂糖を加熱した際、糖分が酸化するときに起こる現象を指します。この現象は「カラメル化反応」と呼ばれ、砂糖自体の温度が165°Cを超えると特有の香気成分が生じ、何とも言えない香ばしく幸せな香りが漂います。
しかし、それ以上温度が上がると、いずれは香ばしさから苦みとなり、食用には向かない香りに変化してしまいます。
温度の上昇によるキャラメルの変化とは?
実際に砂糖を熱したときの状態の変化について【砂糖100g:水40g】で検証してみました。
100~105°C
シロップ状 水に砂糖が溶けてサラサラした透明な状態
ガムシロップなどに使用できる
110~120°C
水分が蒸発し、ドロドロとした状態。まだ透明
ナッツの糖衣がけなどに使用するときは、このタイミングでナッツを加えて混ぜ合わせると砂糖が再結晶しナッツに絡まり、カリッとした食感に仕上がる
140~150°C
わずかに黄色くなる ドロドロとした状態
キャンディーなどを作る時はこのタイミングで色粉や香料などを加えて冷ます
160~165°C
黄褐色 サラサラになり、冷ますと飴状になる
冷まして「べっこう飴」として食べられる
165~180°C
茶褐色となり、香ばしい香りが広がる
プリンなどに使用するときは、この程度の焦がし具合が最適
190°C以上
濃い褐色、香ばしいというよりは苦い焦げの香りが強く感じられる
ソースや醤油、コーラなどの着色料として使用される
このように温度によって砂糖はどんどん変化していき、使用に適したお菓子の種類も変わります。
「キャラメリゼ」の種類について
「キャラメリゼ」の技法を使ったお菓子がたくさんあるとご紹介しましたが、このお砂糖をキャラメル化させる現象を活かしたテクニックにもいくつかの種類があります。
バーナーや焼きごてを使った「キャラメリゼ」
例:クレームブリュレやシブースト、サンマルクなど
ある程度完成されたお菓子の表面に砂糖をかけて、ガスバーナーや熱した焼きごてを使用してキャラメリゼする方法
オーブンを使った「キャラメリゼ」
例:パイやクイニーアマン、フロランタンなど
砂糖を生地にかけてオーブンの中でじっくり焦がしたり、砂糖と生クリームなどを合わせたアパレイユをオーブンでキャラメリゼする方法
鍋を使った「キャラメリゼ」
例:お水で固さを調整して作るプリン用のキャラメルソースやリンゴやバナナなどのフルーツのキャラメルがけなど
鍋などの中で砂糖を焦がしてカラメルを作り、砂糖以外の材料を加えて作る方法
お砂糖はもちろんお菓子作りの基本材料ですが、このように使用する道具によっても仕上がりや食感が変化します。
「キャラメリゼ」の技法を使って作る、お菓子のおすすめレシピ
それでは、さまざまな「キャラメリゼ」のテクニックを使ったお菓子のレシピをご紹介していきます。それぞれの失敗を避けるためのポイントもチェックしてみてくださいね。
キャラメルと言えばまずこれ!みんな大好きな定番レシピ
全卵と牛乳、グラニュー糖でつくる、しっかりかための昔ながらのカスタードプリンです。 カラメルは濃いめが好相性です。
紅茶の香りに癒される!ひと味違うアレンジプリン
つるんと食感の良いプリンをアールグレイ風味に作りました。香りが良くて優雅な気持ちになれますよ。しっかり冷やしておやつにどうぞ。作り方は、紅茶の葉を牛乳と一緒に煮出すだけで簡単!一味違うプリンをぜひお試しください。16cmマンケ型で焼くと仕上がりが可愛くておすすめです!
プリンに使用するカラメルソースを作る際は分量外のお水を準備し、良い色になったらそのお水を入れて「色止め」します。色止めをしないとお砂糖の温度がどんどん上がり、焦げてしまうので注意してくださいね。
使用するお水が冷たすぎるとカラメルがすぐに固まってしまうのでなるべく熱いお湯を使い耐熱のゴムベラなどですぐに混ぜ合わせましょう。
そうすると失敗せずに綺麗なカラメルソースができあがります。
TOMIZAWAシリコンスパチュラ(ホワイト)
「フロランタン」のバリエーション
キャラメルが光る表面も映える!ギフトにもぴったりレシピ
皮付きのアーモンドスライスで作る、とっても香ばしいフロランタンです。プレゼントにしても喜ばれます。上にのせるキャラメルアーモンドがもし余ってしまったら、はじっこで一緒に焼いてみてください。カリッとおいしいナイショのおやつを味わえるのは、作った人だけの特権ですよ !
人気のフロランタンをアレンジ!フランス産カカオで大人の味わい
プレゼントにもピッタリ!フロランタンショコラ(鍋田 幸宏 シェフ)
フランス産カカオパウダーを加えた香ばしい生地にキャラメルがけしたアーモンドとカカオニブがたっぷりのった贅沢な味わい。バレンタインの贈り物にも!
フロランタンはクッキー生地の上に砂糖や生クリームなどと和えたスライスアーモンドをのせ、170~200°C程度のオーブンで焼くことにより、徐々に砂糖の温度が上がって色付きます。さまざまな材料と合わせてあるために急激に温度が上がるのではなく、少しずつ温度が上がるのでちょうど良い焼き色に調整することができます。
アパレイユの厚さが不均一だと焼き色がまばらになりがちです。クッキー生地の上に流した後にスケッパーなど使ってなるべく均一に伸ばし広げてください。アパレイユは熱いので火傷に気をつけてくださいね。
cuocaオリジナルスケッパー(ブラウン)
パリッとした表面がたまらない!食後のデザートにもぴったり
表面に焦げ目を付けて外はパリパリ、中はとろとろのデザートです。
チョコレートにもこだわって!大人の味わいのクレームブリュレ
フランス産チョコレートが香る、濃厚で贅沢な味わいのブリュレ。特別な日のデザートとして、バレンタインなどにもおすすめです。
ブリュレを作る時に最後にバーナーで表面を焦がしますがバーナーの温度は約1800°C。
そのため、すぐに砂糖の温度は180°Cを超え、一瞬でカリッとしたキャラメルができあがります。
ブリュレの上にかける砂糖はカソナードをおススメします。カソナードは溶けやすいため、均一にキャラメリゼするのに適しています。
ひと手間で数段おいしくなる!お鍋でフルーツキャラメリゼ
焼成済のタルトを使用したお手軽レシピ!ひと手間加えることで、簡単なのにプロのように本格的な味わいのタルトを作りましょう!キャラメルでソテーしたバナナとゴロゴロと入れたチョコレートの相性は抜群。濃厚な味わいに仕上がりますよ。
キャラメルソース作りをマスターすればアレンジも広がる!
スイスメレンゲを使用したしっかりとした食感のマカロン生地にコーヒー、コーヒーキャラメルとバタークリームをサンドした大人っぽい味わいの本格マカロンです。
フルーツキャラメリゼをさらにキャラメルで仕上げる罪なおいしさ!
フランス・ブルターニュの伝統菓子として有名なクイニーアマンをご家庭でも作りましょう!!有塩バターを折り込んだ生地にキャラメリゼしたリンゴを閉じ込めて焼き上げます。
キャラメリゼしたパイの美しさが際立つ!
オーブンから漂う香りも幸せな、風味豊かでサクサクのパイ。間にはりんごとカスタードクリーム、ナッツをたっぷりとはさみました。粉糖でおめかししてチョコプレートで飾ったら、みんなで楽しめるおしゃれなバースデーケーキに。アップルプレザーブを使うと、紅玉の季節ではなくてもお楽しみいただけますよ。