基本のカヌレレシピ&ラッピング|おいしいカヌレは外カリッ中もっちり

お菓子作り

こんにちは。富澤商店スタッフの三谷です。

一番好きなお菓子って何?って聞かれたら、なんて答えますか?好きなお菓子がありすぎてこれは難問なんですが、間違いなく五本の指に入るお菓子のひとつが「カヌレ」です。外はパリッと香ばしくほろ苦く、中はねっとりと甘いコントラストのはっきりしたフランスの焼き菓子。今回はその「カヌレ」について、ご紹介していきます。

「カヌレ」とは?名前の由来と、その歴史

カヌレとは、フランスの伝統的な地方菓子のひとつ。
正式な名称はカヌレ・ド・ボルドー(cannelé de Bordeaux)と言います。
もともとカヌレ(cannelé)とは、フランス語で「溝のついた、ぎざぎざの」という意味。
例えばお菓子作りでよく使う、切込みの入った星口金(花口金)を、フランス語では「douille cannelée(ドゥーユ・カヌレ)」と言ったりします。「カヌレ・ド・ボルドー」という正式名称は、「ボルドー地方の、溝をつけたお菓子」といった意味合いなのですね。

▼カヌレの形を見ると、確かにギザギザです

フランス・ボルドー地方と言えば、やはりイメージするのはワインですが、カヌレというお菓子が生まれた背景にも実はワインが関わっています。醸造しているワインの澱(おり)を取り除く際に、大量の卵白を使用して「コラージュ」という作業を行います。このとき使用する分量が1樽あたり5~6個分必要なのだとか。そうなると、醸造するワインの樽の数が多いほどに大量の卵黄が余ってしまうことになります。この余った卵黄を活用しようと生まれたのが、「カヌレ・ド・ボルドー」と言われています。

ワイン造りが盛んな地方ならではのエピソードですが、お菓子作りをしていると「卵黄が余ってしまった」「卵白が余ってしまってどうしよう」といったシーン、結構ありますよね。何百年も昔のフランスでも、私たちと同じような悩みからレシピのアイデアが生まれたと考えると、なんだか親しみを感じます。

もともとは修道院で修道女たちが作り始め、のちに菓子職人たちの手によって現在の形に作り上げられたのですが、そのカヌレの一番の特徴が「蜜ろう」を使用すること。これによってカヌレならではのカリッとした表面の食感と、もっちりねっとりとした中身のコントラストが生まれるのです。

▼「蜜ろう」を使用したカヌレは表面がパリッ!

それでは改めて、基本のカヌレのレシピをおさらいしてみましょう。

絶対おいしい!基本のカヌレ・ド・ボルドーの作り方

基本のカヌレとして、今回はTOMIZレシピのこちらをご紹介します。

絶対美味しい!カヌレ・ド・ボルドー


中級レベル
所要時間:90分(生地を休ませる時間を除く)

伝統的な製法では必ず使用されている「蜜ろう」を使用したレシピです。
「蜜ろう」と言えばミツバチの巣の主成分で、ミツバチが体内で作り出す天然の「蝋(ろう)」。リップクリームやハンドクリーム、ろうそくの原料としても使用されるものですが、カヌレのもっとも特徴的な材料がこちら。富澤商店では少量で取り扱いがあるので、1袋あればOK!型にコーティングして使用します。

蜜ろう / 50g

●材料(フルール型 5個分)
【生地】
薄力粉(スーパーバイオレット(日清製粉)) 38g
強力粉(スーパーカメリヤ(日清製粉)) 17g
微粒子グラニュー糖 97g
牛乳 212g
ドーバーラム45度 25g
オーガニックバニラビーンズペースト 8g
明治バター(食塩不使用) 17g
全卵 21g
卵黄 17g

【使用する器具・型】
フルール型 5個
蜜ろう 適量
シリコーンクック刷毛(オレンジ) 1本
cuocaオリジナル正角ケーキクーラー 1枚

カヌレの生地を作る

カヌレ作りは、実は2日がかり。
生地をしっかり休ませる必要があるので、焼きたい日の前日に生地を仕込みます。

1.薄力粉と強力粉を合わせてふるい、グラニュー糖を加えてボウルで合わせておく。

2.牛乳、バター、バニラペーストを鍋で40℃程に温める。1の粉類に少しずつ加えていく。

3.溶きほぐした全卵、卵黄、ラム酒を加えてよく混ぜる。生地にラップを密着させた状態で一晩休ませる。

型の準備をする

4.オーブンを120℃に予熱をする。
型の1つに蜜ろうを入れる。空の型も一緒に天板に並べ、120℃オーブンに入れて蜜ろうを溶かす。

5.蜜ろうの入った型を傾けて、刷毛を使いながら型に蜜ろうを均一に塗る。
※高温なので、作業は軍手やミトンを使用して行ってください。

6.余分な蜜ろうは次の型に流す。蜜ろうを塗った型は網の上で逆さにむけて蜜ろうを固める。

7.蜜ろうが固まり、型のふちに蜜ろうが分厚くついている場合はナイフで削る。

生地の流し込みと焼成

ここからが、生地仕込みの翌日の作業。
おいしいカヌレを焼くために、焦る気持ちを抑えて必ず一晩寝かせてから焼きましょう。

8.寝かした生地のラップをはずし、ゴムベラで優しく空気が入らないように全体を混ぜる。
生地を80gずつ型に流し、天板に並べた状態で30分程室温に置いて生地の温度をもどしておく。
※その間にオーブンを200℃に予熱する

9.200℃のオーブンに入れて、約20分焼成。 生地が型よりふくらんだ状態になれば、一度型を打ち付けて生地を下におとしておく。

10.オーブンに戻し、そのまま約40分~50分焼成。合計で約60分~70分焼成する。
型から外して焼き色が浅い場合は型に戻して追加で焼成する。

11.焼成後、すぐに型を外し冷まして完成。

これさえ注意すればOK!失敗しないためのポイント

カヌレ作りのポイントはやはり、生地をしっかりと寝かせること。レシピには一晩とありますが、最低12時間以上寝かせてください。12時間~24時間を目安にしていただくといいでしょう。プロフェッショナルの現場では、丸一日寝かせるために3日かけてカヌレを作るお店もあるようです。

レシピのポイントでもある「蜜ろう」は高温でないと溶けないため、オーブンで型に入れて溶かします。型に塗る際は火傷などしないように注意が必要です。刷毛を使う際は指の動かしやすいオーブン用手袋がとっても便利。

cuocaオリジナル厚地オーブン用手袋(ブラウン) / 1セット

また、蜜ろうを塗るのに使用した刷毛は蜜ろうがこびりついてしまうため、カヌレ専用にしてしまうのがおすすめです。柄の部分が金属やシリコン製の刷毛をお持ちなら、使い終わったあとにオーブンに入れてこびりついた蜜ろうを溶かして落とすことも可能です。

溶かして落とした蜜ろうは次にまた使えるので、集めて取っておいてくださいね。

「蜜ろう」ありと「蜜ろう」なしで、仕上がりはどう違う?

伝統的なレシピでは型に塗る材料として「蜜ろう」を使うのが定番ですが、これを使わずバターを塗るレシピも多数あります。「蜜ろう」を使用するものと、バターを使うもので仕上がりはどう違うのでしょうか?

まず、蜜ろうを使用したカヌレは、焼き上がりの表面の固さが際立ち、モチっとした中の食感とのコントラストを楽しむことができます。見た目としては、上品なマット感のあるツヤが出ます。

一方、バターを使用したカヌレは、型の下準備が手間なくお手軽にできることが魅力。
カリっと食感の表面は、蜜ろうのカヌレよりも薄い膜でできあがり、より繊細な食感で仕上がります。見た目のツヤ感は光沢のある仕上がりになります。

作り比べて、お好みの仕上がりや食感を確かめてみてはいかがでしょうか?

レシピライターさんに教わる、カヌレのバリエーション

今最も人気のカヌレ、まだまだバリエーションがあります。
こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。

チョコをのせて華やかにトッピング、入門編のお手軽レシピ

基本のカヌレ(marimo先生)
フランスのボルドー地方の伝統菓子であるカヌレは、外側は固く香ばしく、内側はもっちり柔らかい食感が特徴のお菓子です。たっぷり使ったバニラビーンズと、芳醇なラム酒の香りがふわりと広がり、豊かな気持ちになれますよ♪本来は型に蜜蝋を塗るのですが、手軽に作るために溶かしバターで代用しています!


初級レベル
所要時間:90分(生地を休ませる時間を除く)

仕上げにチョコを乗せると華やかになります! お好みでトッピングしてみてくださいね♪

人気の米粉でも作れる!しっとり感が持ち味のカヌレ

米粉のカヌレ(海野綾子先生)
近頃パン屋さんでもよく売られるようになった「カヌレ」はフランス、ボルドー地方の焼き菓子です。 パリの大変有名なパン屋さんのレシピを参考に、米粉を使ってアレンジしてみました。


中級レベル
所要時間:30分(生地を休ませる時間を除く)

小麦粉アレルギーの方でも安心して召し上がれます。 米粉を使うことで、味は本場カヌレさながら、しっとり感がよりアップしますよ。

いろんな味のカヌレを食べたい方へ、5つのフレーバーバリエーション!

外はパリと中はモチッと食感のカヌレ(森下優花先生)
フランスの、ボルドーの地方菓子。生地をしっかり寝かせ、高温で焼くことで、外はパリっと中はしっとり食感のカヌレが出来ます。焦がしバターのコクとラム酒の香りがやみつきです。抹茶と紅茶とレモンのフレーバーの他に、ストロベリーとチョコレートのデコレーションも紹介します♪


ラッピングもご紹介しているので、ぜひご覧ください!

どう包む?カヌレのラッピング

上手にカヌレが焼けたら、親しい方にプレゼントしたくなりますよね。
そんなときのラッピングアイデアをご紹介します。

基本のカヌレラッピング(内野 未紗 先生)
紙で包むシンプル包装と、袋に入れたプレゼント包装の2種をご紹介しています。包装して時間が経つと、どうしてもカヌレの中の水分が移行して周りのカリカリ感は失われてしまうので、カリカリ感を味わいたい場合は「シンプルペーパーラッピング」で包み、当日中にお早めにお召し上がりくださいね。


初級レベル
所要時間:20分

ケーキトレーを使ってカヌレをお洒落にラッピング(森下優花 先生)
カヌレの形やお洒落な見た目を活かしたラッピングにしました。
ケーキトレーの色やリボンの色を変えてアレンジを楽しんでください。


初級レベル
所要時間:5分

カジュアルなギフトにはひとつひとつ個別にラッピングして、ちょっとよそゆきなギフトには箱に詰めたラッピングを。おいしく焼けたカヌレ、ぜひ親しい方にもおすそ分けしてくださいね。

カヌレ作りに欠かせない!素材別のカヌレ型

カヌレを作るには、絶対に必要なのがやはり「カヌレ型」。これだけは他の型で代用というわけにはいきません。
素材や大きさ別でお値段も違うので、この機会にチェックしてみてくださいね。

お手頃価格が嬉しい!ステンレスのカヌレ型

比較的手ごろに購入できる、一番人気のカヌレ型はステンレス製のやや大ぶりのもの。
ミニサイズのカヌレも人気ですが、カヌレ独特のもっちり食感をしっかり味わいたい方にはこちらがおすすめ。

フルール型 / 1個 748円 (税込)

もう少し小ぶりなステンレス製のカヌレ型シリーズも登場しました。
中サイズでフルール型の半分程度、さらに小ぶりなのが小サイズになります。

ステンカヌレ型(アスピック兼用)小 / 1個 649円 (税込)
ステンカヌレ型(アスピック兼用)中 / 1個 693円 (税込)

このステンレスカヌレ型シリーズは非常に人気のため、現在メーカーでも品薄だそう(時々品切れしてしまいます、ごめんなさい・・・)。オンラインショップだけでなく、全国の富澤商店の店舗でも取り扱いスタートしましたのでお近くの店舗をぜひチェックしてみてくださいね!

まさに一生モノ!飾っておきたくなる、美しい銅製カヌレ型

本来王道のカヌレ型と言えばやはり銅製のもの。なんと言ってもその抜群に優れた熱伝導で、カヌレ独特の食感を再現するにはこれでなくては、という職人さんもいらっしゃいます。

銅カヌレ型 小 / 1個 2,134円 (税込)
銅カヌレ型 大 / 1個 3,476円 (税込)

銅製品の輝きはうっとりするほど美しいもの。使っていないときは飾っておきたいほどですね。

カヌレの歴史から基本の作り方、ラッピングからおすすめの道具類までを今回はじっくりご紹介しました!
カヌレは何度もブームが訪れている人気のお菓子ですが、もともとフランスの地方で生まれた伝統菓子のひとつ。その歴史にも思いを馳せつつ、ぜひご自宅での手作りにもチャレンジしてみてくださいね。

※記事中に記載の価格は、2021年9月時点のものです。

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