小麦粉(薄力粉)と米粉は置き換えできる?米粉のお菓子の特徴や違いとは?パウンドケーキとクッキーで徹底比較

お菓子作り

こんにちは。富澤商店クオカスタジオ等で洋菓子講師をしている舘野です。

今回は米粉がテーマです。体にやさしいお菓子作りなどで近年人気の素材「米粉」使ってみたいけれど、小麦粉を使ったお菓子作りに比べて難しそうに感じたり、どんな米粉を使えば良いか迷ったりしていませんか?

今回は2種類の米粉と小麦粉(薄力粉)でクッキーとパウンドケーキを作って比較し、それぞれの特徴や違い、置き換えできるのかについて調べてみました。

使った材料

熊本県産米(ミズホチカラ)製菓用米粉

熊本県産米(ミズホチカラ)製菓用米粉 / 1kg

*以下、ミズホチカラと表記

  • 熊本県産のうるち米(ミズホチカラ)100%
  • 粒子が細かいお菓子向けの米粉。ソフトでしっとりした食感に

製菓用米粉 

製菓用米粉 / 1kg

*以下、製菓用米粉と表記

  • 新潟県産のうるち米100%
  • 粒子が細かいお菓子向けの米粉。軽くさっくりとした食感に

スーパーバイオレット(薄力小麦粉)

スーパーバイオレット(日清製粉) / 1kg

*以下、小麦粉と表記

  • お菓子屋さんでよく使われている定番の薄力粉
  • 蛋白量が少なくふわっと軽く仕上がる。粉の風味は主張せず他の素材を活かす

以上3種類、同じ量を取り分けて見比べてみました。

米粉は白く小麦粉は少し黄味がかっています。特筆すべきはミズホチカラのふんわり感。空気を含みやすい性質なのか、かさ(体積)が大きいです。製菓用米粉は小麦粉と同じくらいのかさで、サラサラとしています。では、お菓子にして比べていきます。

クッキーを作って比較

小麦粉を使った基本の型抜きクッキーのレシピで比較します。同じ分量で粉だけ置き換えて作ります。

下の写真は焼く前の生地です。小麦粉→製菓用米粉→ミズホチカラの順に生地がまとまりやすく柔らかいです。米粉を使った生地は小麦粉と比較すると硬めですが、作業性に問題はありませんでした。

続いて、3種類を同じ時間焼いた際の写真です。米粉を使った2種類は焼き色がまだ薄いです。

その後、米粉を使ったクッキーのみ3〜5分ほど長く焼いて色を合わせました。こちらを食べ比べてみます。

食感

小麦粉はサクッと軽快なかみごたえ。米粉は2種類ともホロホロとほぐれるような食感です。特に製菓用米粉の方が特徴が強く、ミズホチカラはサクッとした感じも少しあります。

状態

見た目に違いは感じません。触ってみると、小麦粉は手でサクッと割れる固さ。米粉は2種類ともやや壊れやすく、特に製菓用米粉の方が顕著です。

味わい

小麦粉・ミズホチカラは粉自体のおいしさと共にバター・卵の風味も感じます。
製菓用米粉は他の素材の味は控えめに感じます。また、後口に粉の粒子を少し感じます。

今回のレシピの場合、材料の置き換えは、米粉の2種ともに作業面での問題はなさそうです。
壊れやすい=ホロホロ食感は米粉を使ったお菓子の特徴の一つです。
特に製菓用米粉はその特徴が強く出ており、小麦粉で作ったクッキーとは異なる新しい食感です。ミズホチカラは米粉の特徴を持ちつつも小麦粉で作られた元のお菓子の特徴も活きているように感じます。

まとめ

 焼き時間食感状態味わい
小麦粉標準サクサクしっかりしている他の素材の風味も感じる
製菓用米粉やや長めホロホロやや壊れやすい米粉の風味が強い
ミズホチカラ長めサクホロやや壊れやすい他の素材の風味も感じる

パウンドケーキを作って比較

次に、小麦粉を使った基本のパウンドケーキのレシピで比較します。同じ分量で粉だけ置き換えて作ります。

基本のパウンドケーキ

※レシピは特宝笠ですが、比較のためにクッキーと同様にスーパーバイオレットを使用しました

下の写真は焼く前の生地の状態です。小麦粉の生地には多少粘りがあり、米粉の生地には粘りがないというくらいであまり違いは感じません。

同じ条件で焼成し、一番高く盛り上がった部分をスライスして並べたのが下の写真です。焼いて半日ほど経ってから食べ比べをしました。

食感

小麦粉はソフトでしっとり感もあります。製菓用米粉はほぐれるようなほろりとした食感ですが、パサついた感じはありません。
ミズホチカラは2つの中間で、ソフトでありながら、ややほろりとした食感もあります。

状態

小麦粉を使ったものは一番ボリュームがありふんわりしています。次にミズホチカラが膨らんでおり、製菓用米粉は一番ボリュームはないもののキメ細やかで密な仕上がりです。

味わい

おおむね、クッキーと同じ傾向でした。
小麦粉・ミズホチカラは粉自体のおいしさと共にバター・卵の風味も感じ、製菓用米粉は他の素材の味は控えめに感じます。パウンドケーキでは後口に粉の粒子は感じませんでした。
大まかな特徴はクッキーと同様でした。膨らむお菓子なので焼いたボリューム感の差が分かりやすいです。

まとめ

 食感状態味わい
小麦粉ソフトでしっとりふんわりボリュームがある他の素材の風味も感じる
製菓用米粉ほろりとほぐれるキメ細かく密米粉の風味が強い
ミズホチカラソフト&ほろり中間くらい他の素材の風味も感じる

補足:翌日の変化

焼いた翌日も食べ比べをしたところ、小麦粉はあまり変化を感じませんでしたが、米粉は2種類とも少しパサつきを感じました。炊いたご飯が時間が経つとかたくなる原理と似ているようです。

クッキーは水分量が少ないので変化を感じませんでしたが、パウンドケーキは一定の水分が含まれるので変化が生じたようです。
これを防ぐには、焼いた当日に1切れづつにカットしてOPP袋やラップなどで包んでから冷凍し、食べる前に自然解凍するのがおすすめです。パサつきを感じず、美味しくいただけました。

まとめ

今回はどちらもシュガーバッター法といって、バターをベースに砂糖、卵を加え粉でまとめていく製法のお菓子で比較しました。テストで使ったレシピでは小麦粉を米粉に置き換えても作業性に問題はなく、米粉特有の美味しいお菓子が出来上がりました。

クッキー・パウンドケーキは粉の割合が比較的多いので、米粉特有のホロホロ食感、じんわりと優しい甘みが実感できました。

米粉の2種類を比べると、製菓用米粉は米粉の味わい・特徴を強く出したい時におすすめです。

ミズホチカラは小麦粉を使ったお菓子の魅力を持ちながら、米粉の良さが実感できる、良いとこどりで使いやすい粉だと思いました。ミズホチカラの風味はバターや卵との相性が良いと思います。

一方、米粉を使ったお菓子は保存方法に留意が必要だったり、壊れやすさという特徴もあるので、プレゼントにしたい時などは注意が必要です。また、小麦粉とは粒子の大きさ、吸水・吸油の具合も異なるので、レシピによっては難しく感じることもあるかもしれません。

そういったことから、初めて米粉のお菓子を作る方は、小麦粉のレシピを置き換えるのでなく、ぜひ米粉のレシピで作って欲しいと思います。
米粉のお菓子に慣れてきて「お気に入りのレシピを米粉で作るとどうなるのかな?」などの興味が湧いた際に、今回のコラムをご参考いただき、違いを想像した上で作っていただくのはとても愉しいことだと思います。

いかがでしたでしょうか?
私自身、これまで米粉のお菓子はほとんど作ったことがありませんでしたが、今回のテストを通して米粉の味わい・特徴に魅せられて、シフォンケーキやスポンジケーキなど他のお菓子も作ってみたい!とわくわくしています。

ぜひ、一緒に米粉のお菓子を楽しみましょう!

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