「クランベリー」とは?魅惑の赤い果実の物語と最新レシピ

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こんにちは。富澤商店スタッフの三谷です。

パン作り、お菓子作りに取り組む中で欠かせない食材のひとつが「ドライフルーツ」。
味や食感はもちろんのこと、パンやお菓子に彩りを添えてくれる素材でもあります。
富澤商店オンラインショップにも数多くのドライフルーツがありますが、今回はその中でも鮮やかな赤い色味が魅力の「クランベリー」についてご紹介したいと思います!

「クランベリー」とは?赤い果実のルーツを探る

「クランベリー」は、「ブルーベリー」、「コンコードグレープ」と並ぶ、北米原産の三大フルーツのひとつ。


和名では「オオミツルコケモモ」と言い、ツツジ科に属し、沼や湿地に生えるツタに実る果実です。
古くはネイティブアメリカンが食料、医薬品、染料に役立てていた果実で、17世紀、ヨーロッパ移民がアメリカへ入植した際、ネイティブアメリカンよりその活用法を伝授されました。
多年生の植物で、一度植樹すると以降100年間も結実する木も存在します。

クランベリーは、花が鶴の頭に似ていることから、米国最初の入植者に「クレインベリー(鶴の実)」と呼ばれていました。


「クレインベリー」と言う呼び名が次第に変化して、「クランベリー」という名称になったのです。

クランベリー独自の栽培方法

クランベリー栽培には、冷温な環境と、水源が不可欠とされています。
前述の通り沼や湿地に生えるツタに実り、また世界でも主要な原産地である北米では、「ウェットハーベスト」と呼ばれる水を使った特徴的な収穫方法が行われています。
その様子を画像でご紹介していきます。

3~4月、ボグと呼ばれる湿地に生えるツタに、クランベリーの新芽が出始めます。
6月、薄いピンク色の花が咲き始めると、蜜蜂を放ちます。受粉をさせると、花は萎れ、結実します。

7月から8月にかけて、10mm程度に実が成長していきます。
そして9月末~11月、実が赤く色づいた頃、収穫作業が開始されます。

まず収穫の前日、クランベリーを栽培したボグ(湿地)に、50cmほどの高さまで水を張ります。
そして専用の収穫機で、クランベリーの実を蔓から優しく落とします。

成熟したクランベリーは、実の内部に4つの空洞があり、空気の浮力で水に浮かぶのです。
浮かんだクランベリーの実で水面は鮮やかな赤い色で覆われ、美しい光景が広がります。

この水面に浮いたクランベリーを囲い、一か所に集めてから引き揚げて収穫するという一連の作業が「ウェットハーベスト」で、クランベリーのもっとも特徴的な収穫方法と呼ばれるものです。

クランベリーの産地と生産量

クランベリーは健康効果(豊富なポリフェノール量)にも注目が集まり、世界的にも収穫量は増加しています。
生鮮原料としては、収穫量は約70万トン(ドライクランベリーとしては約20万トン)。中でもアメリカ、カナダ産原料が生産量の約8割を占めています。
アメリカ・ウィスコンシン州が世界最大のクランベリーの生産エリアで、2番目がカナダのケベック州になります。

日本での輸入量も近年は増加していて、TOMIZオンラインショップでも取り扱いのある通りにそのまま召し上がっていただくドライフルーツとして、また製菓製パン原料としての用途の他、チョコ掛けされたお菓子や、シリアル系などすでに調理された食品としても目にすることが増えています。

ラトビア産のクランベリーとは?3つのクランベリーの違い

世界最大規模の産地である北米産のクランベリーと異なり、北欧バルト三国に位置する人口約200万人の小さな国「ラトビア」産のクランベリー。北米産のクランベリーに比べて軽く、ふっくらと柔らかい食感が特徴です。

ラトビアってどこ?と思われた方へ、世界地図上ではこのあたり(地図上の右側真ん中)です!

さて、改めて「ドライクランベリー」「ドライクランベリー(ホール)」と「ラトビア産クランベリー」を比較してみます。


ドライクランベリー」と、「ドライクランベリー(ホール)」の原材料名と原産国名をチェックしてみると、どちらも同内容です。

原材料名 クランベリー、砂糖、植物油脂
原産国名 アメリカ

収穫して冷凍した原料のクランベリーを糖液に漬込み、乾燥加工したのちにオイルコートしているため、原材料の最後に「植物油脂」と表示されています。
ドライクランベリー」は約半分にカットされた、もっともスタンダードなクランベリー。「ドライクランベリー(ホール)」の方は、カット加工をしていない、果実そのままの形状です。

ラトビア産クランベリー」の原材料名と原産国名をチェックしてみると、「植物油脂」がありません。
原材料名 クランベリー、砂糖
原産国名 ラトビア

これはオイルコートをしていないということ。無着色で無香料なのはいずれのクランベリーも変わりませんが、ラトビア産クランベリーはノンオイルのドライフルーツなのです。

クランベリーは先述の豊富なポリフェノール量のほか、食物繊維やビタミンC、ビタミンE、ペクチンにも注目が集まり、製パン製菓材料としてだけでなくドライフルーツとしておやつに召し上がる方も増えています。
見た目にも真っ赤な宝石のようなドライフルーツで美しく、ほどよい酸味は特に女性に人気。
オートミールやヨーグルトと組み合わせて召し上がるのもおすすめです!

クランベリーを使ったおすすめレシピをチェック!

クランベリーはさわやかな酸味も特徴ですが、何といってもその鮮やかな赤色が魅力。
クランベリーのおいしさと色味の美しさを楽しめる最新レシピをご紹介します。

クランベリーショコラオランジュ(けいちょん さん)

スティック状のセミハードブレッド、「クランベリーショコラオランジュ」の作り方

●材料(6本分)
【パン生地】
強力粉(キタノカオリ) 150g
サフ(赤)インスタントドライイースト 1g
素焚糖 12g
塩(シママース) 2.5g
水 110g
よつ葉バター(食塩不使用)9g
【フィリング】
ラトビア産クランベリー 50g
クーベルチュールフレーク(エキストラビター) 40g
うめはら 刻みオレンジピール 30g

準備

生地の材料を全て計量し、バターは室温に戻しておく。
クランベリーはサッと蒸し水気を拭いておく。
(ざるにクランベリーを入れ熱湯を500ccほど回しかけ、水気をしっかりと拭き取っておく)
チョコレートと刻みオレンジはそのままで良い。

生地作り

ボウルに水とバター以外の材料を合わせてホイッパーで攪拌する。
水を加えてゴムベラで粉っぽさがなくなるまで混ぜたら30分ラップをかけて放置する。(オートリーズ)
30分経つと少しグルテンが繋がり始めている。ここからしっかり薄いグルテン膜ができるまで捏ねる。

グルテン膜が確認できたらバターを加えてさらに捏ねる。

一次発酵

捏ね上がったらボウルに移しラップをかけて室温(23〜26度前後)で2倍になるまで約2時間発酵させる。
約2時間で2倍程度の大きさになった生地(目安)。

ベンチタイム〜成形

打ち粉をしたパンマットに生地を取り出し、長方形(30×24cm)にのばす。
生地が柔らかいのでめん棒は使わず手で生地を優しく持ち上げながらのばす。

生地を三つ折りにするイメージで、真ん中の部分にフィリングの半量を満遍なくのせる。

左側の生地を被せるように折り重ね、そこへ残り半分のフィリングをのせ、右側の生地を被せる。

最後に重ねた側を下にしてパンマットで畝を作り布取りをしてベンチタイムを15分とる。

スケッパー等で6等分にする。

ひっぱりながら捻って15cmくらいの長さに成形し布取りする。
この時切った面は触らないようにし、表面に出てきたフィリングはなるべく隠れるようにすると焦げにくい。

二次発酵

布取りをしたまま室温で二次発酵を40分(一回りふっくらする程度)とる。(乾ホイロ)
二次発酵完了15分前くらい(オーブンの予熱にかかる時間をあらかじめ逆算して)スチーム有りで250度に予熱する(スチーム機能がない場合は湯を張ったココット等をオーブン庫内に置く)。

焼成

二次発酵が完了したら生地に軽く霧吹きをして250度で12〜15分焼いて完成。(スチーム有り)

クランベリーの魅力を味わう!

クランベリーはチョコレートとの相性も抜群。
ドライフルーツをチョコレートでコーティングしたお菓子もコンビニやドラッグストアなどで購入できますが、お菓子やパンのレシピで組み合わせていただいてもその魅力が存分に味わえます。

またレーズンやオレンジ、その他のドライフルーツと合わせてお酒に漬込んでも、パウンドケーキやシュトーレンにぴったりの漬け込みフルーツに。

クランベリーのルーツを知って、ぜひパン作り&お菓子作りに活用してみてくださいね。