こんにちは。富澤商店でレシピ著者をしているちょりママです。
今月は徹底検証シリーズ。富澤商店で新しく登場した「春よ恋ハードブレッド専用粉」と定番の「春よ恋」の違いを深堀していきます。
「春よ恋」といえば、とりあえず迷ったらこの粉で間違いない!ともいえる定番のパン用強力粉です。
吸水性のよいもちもち食感が特長の「春よ恋(高加水用)」もあり、どれもおいしくて使う粉を迷ってしまうほどです。
さらにハードブレッドに適した粉が出てくるとは・・・。
今回の検証で私が見えたもの。それは、「作り比べるからこそ見えるものがある」の一言です。
さて、みなさんも「春よ恋ハードブレッド」と「春よ恋オリジナル」の違いを探る旅に行きましょう~!
春よ恋 について知る
「春よ恋」は、国産小麦である「はるゆたか」の改良品種で北海道を代表する粉とも言われています。2000年の誕生から富澤商店でも20年以上に渡り扱っていて小麦粉カテゴリの中でも常に1番人気の強力粉だそうです!
吸水性が丁度よく扱いやすいのと、知名度の高さから「春よ恋」はパン作りを始めたときから使い続けているという方も多いことでしょう。
手ごね、ホームベーカリーどちらにも適しているので、幅広い層に親しまれています。
※新ロゴパッケージに変更済(1Kg袋もジッパー付)22.10月より~順次
春よ恋 / 1kg
その絶大な支持を得る春よ恋から新登場したのが「春よ恋 ハードブレッド専用粉」です。
春よ恋100%を使用した、独自製法で製粉した強力粉。
オールマイティーな春よ恋から派生したということもあり、吸水ときめ細かさに加えて、ハードブレッドでも扱いやすい粉になっています。
春よ恋 ハードブレッド専用粉(平和製粉) / 1kg
蛋白と灰分の違い
少し横道にそれますが、パンの粉を選ぶ時に目安とされる「蛋白」と「灰分(カイブン)」について、軽く深堀りしましょう。(軽く深堀・・・笑)
蛋白(タンパク質含有量)とはグルテンとも言われ、水を加えてこねるとグルテンがタンパク質になり、粘着性と弾力が生まれます。強力粉は薄力粉に比べ、タンパク質の含有量が高いため、パンのような弾力のあるふっくらした生地になるのです。
灰分とは、小麦粉の胚芽部分や外皮に含まれるミネラル成分です。焼成した際に、小麦に含まれるタンパク質やデンプンは燃えてなくなり、灰として残ります。それが焼き色と小麦の風味につながっていくのです。灰分が少ないと白くきれいな色になりやすく、灰分が多いと焼き色はくすみ、小麦の風味が強くなります。
蛋白と灰分、粉によってどのくらい違いがあるかみてみましょう。
蛋白 | 灰分 | |
春よ恋オリジナル | 12.0±1.0% | 0.45±0.05% |
春よ恋ハードブレッド専用粉 | 12.0±1.0% | 0.55±0.1% |
春よ恋オリジナルは100gあたり12%入っていて、挽くブレンダーの差異がプラスマイナス1.0%であるという表示です。つまりに、蛋白11~13%、灰分0.4~0.5%となります。
春よ恋ハードブレッド専用粉は、蛋白11~13%、灰分0.45~0.65%になります。
数字上のデータでみると、粘着性や弾力は同じような食感を得られそうですが、焼き色や小麦の風味は違いをより感じられそうです。
参考までに定番とも言われる強力粉と準強力粉をピックアップしてみましょう。
数字上で見ているだけでも、いろんな粉を比較してみたくなりますね。
リーンな丸パンで工程を徹底比較
今回も捏ね方に差異がでないよう、ホームベーカリーで二つの生地を作ります。
丸パンのレシピでA春よ恋(オリジナル)、B春よ恋ハードブレッド専用粉で比較していきましょう。
小麦本来の味を比較するため、油脂の入らないリーンなレシピにしました。
材料
- 強力粉 250g
- 砂糖 17g
- 塩 4g
- ドライイースト 3g
- 水 160ml(ホームベーカリー使用)
ホームベーカリーから出したてのパン生地は水分をたっぷりと含んでいるため、やわらかめの生地に仕上がります。
15分のベンチタイムをおくと、生地がまとまりやすくなり、両者とも吸水性の良さを感じます。
成形して二次発酵、そして焼成。
この間、両者の見た目の違いはありませんでした。
焼き上がりを見ると、灰分の数字通り焼き色に差異が出たように感じれました。
リーンな丸パンで食感を徹底比較
両者写真で左:A(春よ恋オリジナル) 右:B(春よ恋ハードブレッド専用粉)になってます。
A(春よ恋オリジナル)
- ふんわり感と弾力を感じる
- 粉の甘みを感じる
- クラムとクラストは食感の一体感がある
B(春よ恋ハードブレッド専用粉)
- 弾力をより感じる
- 粉の甘みよりも塩味を感じる
- クラストの香ばしさとおいしさをより感じる
オリジナルは弾力を感じつつもふんわりさを感じ、おいしいパン(粉)だなと改めて感じます。
ハードブレッドは弾力と引きを感じ、噛み締めたびにおいしさを感じるパンという言葉が適してるように思います。
クラムと呼ばれる内側とクラストである外側の差異も、パンそれぞれの特長になります。
一体感を感じやすいテーブルパンと差異を感じやすいハードブレッドの特長が出ていました。
いかがでしたでしょうか。
今回は王道ともいえる「春よ恋」に新しく登場した「春よ恋ハードブレッド専用粉」の徹底比較。
作り比べないと正直分からないというのもありますが、やってこそ、今後の粉選びの道に通ずるのを感じ、粉選びの楽しさも同時に得ることができました。
レシピだけでなく、レシピから派生する材料の旅。
作って比べて、食べて比べる楽しみを知った方は、もうパン作りの虜になっている証ですね。
富澤商店で扱う様々な粉の作り比べと食べ比べをみなさんもぜひ楽しんでみてくださいね。
みなさんの富澤商店ライフのお役に立てるとうれしいです。
春よ恋 / 1kg
春よ恋 ハードブレッド専用粉(平和製粉) / 1kg
春よ恋(高加水用) (横山製粉) / 1kg
北海道産全粒粉 春よ恋 / 500g
TOMIZ(赤)インスタントドライイースト 箱入 / 3g×10
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コラム執筆:ちょりママさん
料理家 西山京子(ちょりママ)
公式Webサイト
この著者のレシピ一覧
フードコーディネーター・調理師・食生活/食育アドバイザー。「子どもも大人も一緒のごはん」をコンセプトに簡単レシピを発信。
企業レシピ・メニュー開発、書籍出版のほか、フードスタイリング、食育活動も多数。