クリスマスのパウンドケーキ レシピ|なかしましほさんに教わる

お菓子作り

こんにちは。富澤商店スタッフの三谷です。

今回のコラムは、特別編。
料理家のなかしましほさんから、今年のクリスマス向けにパウンドケーキのレシピをいただきました。なかしましほさんが幼いころ、クリスマスの時期に楽しみにしていた特別なケーキ。その思い出のエピソードがあまりに素敵だったので、今回のコラムではそのレシピとエピソードを合わせてご紹介させていただきます。

クリスマスの思い出(なかしましほさんのお手紙から)

もう40年以上昔、毎年クリスマスの時期になるとおばあちゃんの妹が焼いてくれたケーキがやってくるのを、私と姉はとても楽しみにしていた。

アルミホイルにくるまれたパウンドケーキはドライフルーツとナッツでずっしりと重たく、断面はチェリーやアンゼリカが宝石のようにきらきらしていた。たくさんは食べさせてもらえなくて、少しずつ切り分けてもらうのをふたりでじっと見つめていたのを、今でもよく覚えている。

しっかり焼き込まれて、ケーキというよりはケーキとクッキーの中間のような、ふしぎなおいしさのパウンドケーキ。生地はまっしろできめ細かく、今の口溶けのよいパウンドとはまた違う、ぽこっとした食感。ナッツとドライフルーツが贅沢にたっぷり入っていて、あれはきっとレシピ通りではなかったと思う。笑

そんなにラム酒を感じなかったのはちいさい私たちが食べることを想定していたのではないだろうか。

クリスマスのパウンドケーキのレシピ

クリスマスのパウンドケーキ(なかしま しほ さん)

むかし毎年クリスマスの時期になるとおばあちゃんの妹が焼いてくれた思い出のケーキです。
ドライフルーツとナッツでずっしりと重たく、断面はチェリーやアンゼリカが宝石のようにきらきらしています。生地はまっしろできめ細かく、今の口溶けのよいパウンドとはまた違う、ぽこっとした食感が楽しめるケーキとクッキーの中間のようなふしぎなおいしさのパウンドケーキです。


初級レベル
所要時間:60分

材料

◆パウンドケーキ生地
バター(食塩不使用) 100g
卵  100g
上白糖 80g
薄力粉 100g
ベーキングパウダー 小さじ1/3(1.5g)

◆トッピング用
有機レーズン 40g
刻みオレンジピール(選別品) 40g
干いちじく(トルコ産)大粒 40g
アンゼリカ 15g
ドレンチェリー(赤) 15g
*アンゼリカとドレンチェリーは懐かしい色合いを出すために入れました。苦手な方は入れなくても大丈夫です。
くるみロースト 30g

◆仕上げ用
アプリコットジャム 50g
ラム酒 大さじ1

※注意※
・ドレンチェリーは今回赤のみ、緑はアンゼリカです
・分量は基本お好みで、総合計が150gになるよう調整してOK

準備

1.バターはレンジに10秒ずつかけ、溶かさないよう、すっと指が入るくらいの柔らかさにする。
※バターが溶けてしまうと泡立てた時ふんわりせず、膨らみが悪くなるので注意する。

2.いちじく、アンゼリカ、ドレンチェリーはお好みの大きさにカットする。
※フルーツの割合は上記を推奨としますが、自由に変えていただいて問題ありません(全量で150g)。クリスマスカラーを表現するのにアンゼリカとドレンチェリーを使用していますが、苦手な方は抜いていただき、その分レーズンなどお好きなフルーツを増やして作ってみてください。

3.薄力粉とベーキングパウダーをあわせてふるっておく。焼くタイミングに合わせてオーブンを180℃に予熱する。

4.柔らかくした型塗用のバター(分量外)を型に塗り、強力粉(分量外)をふりかけて余分な粉を落として冷蔵庫で冷やしておく。

5.レーズンを小鍋に入れ、お水をひたひたに注ぎ、弱火で水分がなくなるまで煮る。冷まして水けを拭き取っておく。


6.レーズン以外のドライフルーツをざるなどに入れ、熱湯をまわしかけて水けを拭き取っておく。クルミは手で3~4つに割っておく。

7.仕上げ用のアプリコットジャムとラム酒は混ぜ合わせておく。

作り方

ボウルに卵と上白糖を入れ、湯せんにあてながらハンドミキサーの低速で泡立てる。卵が人肌程度になったら湯せんから外し、白っぽくもったりするまで泡立てる。
※温度が上がりすぎないように注意してください(合わせるバターが溶けないように)

別のボウルでクリーム状になるまでバターをゴムべらで練り、ふるった薄力粉、ベーキングパウダーを加え、ゴムべらで押し付けるように混ぜ、粉っぽさがなくなりひとかたまりになるまで混ぜる。ハンドミキサーに持ち替え、低速でふんわりと白っぽくなるまで約1分半程、混ぜ合わせる。※固めの生地なのでゆっくりと

泡立てた卵の生地を、先のバターの生地に4~5回に分けて加え、その都度しっかりとハンドミキサーの低速で混ぜて馴染ませる。※周りに飛んだ生地をゴムべらで何度か綺麗にしましょう
準備しておいたレーズン、ドライフルーツとクルミを加え、さっとへらで混ぜ合わせる。

準備しておいた型にパウンド生地入れ、表面を平らにならし、台に型を2~3回落として、中の空気を抜く。180度に予熱したオーブンに入れ、40~45分焼く。

オーブンに入れてから10分後に一度そっと取り出し、水をつけたナイフで切込みを入れると綺麗に割れて膨らみます。焼き上がったら中心に竹串を入れて、生っぽい生地が付いてこなければ焼き上がり。

型を外し、ケーキクーラーなどの上で冷まし、ラム酒を加えたアプリコットジャムを全体に適量塗る。粗熱が取れたらアルミホイルで包む。

常温の涼しい場所で保管してください。

なかしましほさんからのアドバイス

懐かしい昔のケーキに近づくように、バターと小麦粉を最初に混ぜるフラワーバッター法で作りました。
分離しにくいのでお菓子作りに慣れてない方でも作りやすいと思います。砂糖も上白糖を使うことでしっとりと。ドライフルーツはラム酒漬けにしない代わりに、水分を吸いすぎないよう下準備をします。仕上げにアプリコットジャムとラム酒を混ぜたものを塗ることで風味づけを。準備は多いのですが、作り始めるととても簡単です。

翌日はまだ味が混じり合わないのですが、3日目から、フルーツと生地がしっとりなじんでくるように思いました。レンジで10秒ほどあたためると、生地がほわっとほどけておすすめです。

ぜひクリスマスが近づいたら作ってみてください。

今回のレシピで使用している「フラワーバッター法」とは

なかしましほさんの思い出のレシピ、いかがでしたか?

クリスマスらしい彩りの、きらきらした断面は確かに宝石のよう。幼いころに食べた記憶が、大人になっても思い出として残っているなんて、きっと作ってくださった方にもうれしいことなのではないかなと思います。

今回のレシピで使用した「フラワーバッター法」とは、パウンドケーキ作りの代表的な製法のひとつです。
パウンドケーキを作る際には、まずクリーム状に柔らかくしたバターに砂糖を加え、空気を含ませるようにすり混ぜてから卵を加え、最後に粉を加える「シュガーバッター法」が知られていますが、「フラワーバッター法」ではクリーム状に柔らかくしたバターに、まず粉を加えて、お砂糖と合わせた卵を最後に加えます。

フラワーバッター法」で作るパウンドケーキは初心者の方でも分離して失敗した!ということが少なく、作りやすい製法。生地の粘りが出にくく、口の中でほろっとほどけるような食感に仕上がります。

クリスマスという特別な日に食べる、特別なお菓子。
なかしましほさんのエピソードのように、お子さまや親しい方の思い出になれるようなお菓子作りができたら、それは本当に素敵なことだなと感じます。

ぜひこのクリスマス、パウンドケーキ作りにチャレンジして、大切な方と一緒に召し上がってくださいね。