分割・成形による仕上がりの違いとは?失敗しないパン作り!

パン作り

こんにちは。オフィシャルクリエイターのけいちょんです。

暖かくなってくると新しいことを始めたくなったり、気持ちも前向きになってくる気がしますね。我が家にも新生活が始まる子がおり、毎日ウキウキわくわくしているようです。
さて、今回はパン作りでは必ず行う分割や丸め方をご紹介したいと思います。レシピでは何気なく「分割する」「丸める」と書かれていますが、実は仕上がりに直接影響する重要な工程です。
そしてその先の「成形」の仕方によっても仕上がりに影響が出てくることがあります。
せっかく手作りのパン、少しでも美味しく・綺麗に作れるようご紹介するポイントを参考にぜひ作ってみてください。

パンの表と裏

パンを分割・成形するときにはまず表と裏を意識します。
ボウルに入れて発酵させていたとき、表面に見えている綺麗な面はパンが仕上がるまで常に表となる面になります。
また、ボウルの底だった方は中に入れたり底面にくるように成形します。そうすることでパンが焼き上がったときに表面がつるんと綺麗に焼き上がります。
逆にしてしまうと表面がボコボコしたり焼きムラができたりします。

(左)ボウルの表面側  (右)ボウルの底に接していた側

また分割した際の切り口もできるだけ内側に折り込むように意識します。

成形を意識した分割

分割はただグラム数を合わせればいいというわけではありません。なるべくカットする回数を少なく成形しやすい形を意識してカットするのがポイントです。
例えば塩パンのように雫型にして成形をするときには三角形に切り出すとその後の成形もスムーズに行えます。

ベーグルを成形するときには俵形にしてから成形をしたいので、四角に切り出すのがおすすめ。

そして、一番多いのがまんまるに丸める方法。
この時はなるべく正方形に切り出すとまんまるに丸めやすいのですが、ボウルをひっくり返して取り出した生地は丸いので正方形に切り出すのは一見難しいのですが切り込みを入れて長方形にしてからカットすると均等に分けやすく、正方形に切り出しやすくなります。
写真のように丸く広げてガスを抜いたら上から2/3ほど切り込みを入れます。

そして切り込みを左右に広げ長方形に整え4等分にカットすると4つとも正方形に近い形で切り出せます。

数が多い時(6個や8個)には切り込み方を写真のようにすると生地が長い一本になるので、この形で切り出すのがおすすめです。

丸めるときは均一に、表と裏を意識して丸める。

四角く切り出した生地を丸めるときに意識するのは、先述した生地の表と裏。そして断面です。
写真の丸め方の場合は裏面(ボウルの底側)を上にしてカットした断面が表側に出ないよう内側へ包み込むように丸めます。
写真のようにカットした断面を内側に折り込むように周囲の生地をまとめていき、一周ぐるりと内側に折り込んだら両手でコロコロ転がすか真ん中(とじ目)をつまんで完成です。

※色々な丸め方があり、これは初心者の方にも簡単に均一に丸められる方法をご紹介しています。
※転がし方は【パン作りのコツ】基本の丸めの動画を参考にしてください。

また、生地量を合わせるために細かくカットした生地は内側に包むようにします。

このように丸めると表面がつるんと綺麗に、また生地量も均一に丸まります。

これは極端な例ですが、カットした細切れの生地を丸めると生地の伸びも悪くなり、なかなか均一に丸めることができません。

二つを並べて見比べると一目瞭然です。

(左)正方形に近い形で切り出し丸めた生地 (右)細切れ分割した生地

成形時に注意したいこと

綺麗に丸めができたら成形もしやすく仕上がりも綺麗になりますが、成形の際に生地に負担をかけると膨らみ方が偏ったり、パンが裂けてくることもあります。

今回は基本のソフトフランス

  1. 綺麗に丸めて生地に負担をかけず均一に成形したもの
  2. 綺麗に丸めたが生地に負担をかけて成形したもの
  3. 細切れ分割で傷んだ生地を綺麗に成形したもの
  4. 細切れ分割で傷んだ生地にさらに負担をかけて成形したもの

とそれぞれ成形や丸めを変えて焼いてみました。
その写真がこちらです。

  1. は分割の時も成形の時も生地に余計な負担がかかっておらず成形がしやすい生地でした。
    クープもほぼ均一に開いて生地もスムーズに伸びたことがわかります。
  2. は初心者の方がやりがちな指先で押さえたり力をかけて成形しました。左右で力のかけ方も変えたので生地の膨らみ方が偏っています。そのせいでクープの開きも不均一で生地割れした部分(一番右のクープ)も見えます。
  3. 分割で細切れにしているので生地の伸びが悪く、成形しづらい生地でした。成形は均一にしているので仕上がりの太さなどは綺麗にできていますが、クープが開いた部分の生地が伸びずに割れてしまっています。(一番左クープ)
  4. 細切れ分割で、かつ成形も不均一に成形していますので焼成の時に膨らみ方が偏って一番形が悪く焼き上がりました。食感も他のものに比べるとコシが出ていました。

このように、分割や成形での生地の扱い方でパンの仕上がりも変わってくることがよくわかると思います。

いかがでしたか?

普段何気なくやっている分割や成形。特に分割は細かく解説されることが少ないので、よくわからずとにかくグラム数を合わせようと細かく分割してしまう方もいると思います。数gの違いにこだわるよりも生地を傷めないように配慮する方がずっと仕上がりが綺麗に、食感も良くなり美味しくなります。

また成形も同じで、無理に張らせたり指先を使って力を加えて生地を傷めてしまうと、二次発酵ではもう傷んだグルテンが直りきらないので食感や仕上がりに影響してしまいます。
指先(点)ではなく手のひら全体(面)や手のひらの骨の当たらない親指の付け根などを使って優しくパン生地を扱うことを意識すると、いつものおうちパンがワンランクアップすると思います!

全部をいきなり参考にするのは難しいかもしれませんが、パン作りを楽しみながら余裕が出てきたら少しずつパン生地の扱い方などにもフォーカスを当てておうちパンのレベルアップにも挑戦してみてはいかがでしょうか?

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コラム執筆:けいちょんさん

けいちょんさん
けいちょんさん

イーストだけでなく数種類の自家製酵母を使い、完全独学ながらお家で作れる「簡単だけど本当に美味しい家族が喜ぶパン」を日々研究中です。