「布取り」とは?パンの仕上がりが変わる!パンマットの上手な使い方

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こんにちは!オフィシャルクリエイターのけいちょんです。
パン作りを続けていると、一度は憧れるのが“ハード系パン”。焼き色のついたクラスト、パリッと割れるクープ…そんな理想の仕上がりに近づくための、見落とせない工程が「布取り」です。
今回のコラムでは、布取りの基本と、うまく使うためのちょっとしたコツなどをご紹介します。
初心者の方から、「なんとなくやってきたけど、実は自信がない…」という中級者の方にも、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

布取りとは?

布取り

布取りとは、成形した生地を焼成前に並べて発酵させるときに、布(パンマット)を使って支える方法のこと。パン屋さんの厨房でよく見かける”折りたたまれた布の谷間にパンが並んでいる様子”がまさにそれです。

生地の形をしっかり保ったまま発酵させることで、

  • 生地が横に広がらず、上に膨らみやすくなる。
  • 焼成時のクープ(切れ込み)がスパッと開きやすくなる。
  • クラストにハリが出て、美しく焼き上がる。

という、うれしい変化が期待できます。

パンマットってどんなもの?

パンマット

布取りに使うパンマットには、キャンバス地などの厚手で通気性の良い素材が適しています。
富澤商店で扱っているパンマットはサイズも厚さもいろいろ。焼く本数やキッチンのスペースに合わせて選ぶのもポイントです。
基本的には使いやすいサイズを選ぶのが一番ですが、よく焼くパンのサイズに合わせて自分でカットして使ってもOKです。ハサミで切りっぱなしでもほつれにくく、そのまま使用して問題ありませんが、もし気になる場合は自分で端を縫えばより快適です。
私が普段使っているパンマットは「キャンパスシート1号」と「パンマットM」です。

(写真左)パンマットM(写真右)キャンパスシート 

左がcuocaのパンマットM、右がキャンパスシートです。同じ大きさにカットし、同じ回数筒状に巻いた写真です。比較すると糸の太さの違いがよくわかると思います。

(写真左)パンマットM(写真右)キャンパスシート

薄手のパンマットMは糸が細めで生地が薄いため比較的柔らかく、生地自体も巻きに合わせて柔軟に波打っています。軽くて取り周りがよく、パンの成形時や乾燥を防ぐために上に軽くかぶせるのにも使っています。1枚が120cmと長さがあるので、使いやすいサイズにカットして使っています。

対して厚手のキャンパスシートは一本一本の糸が太く、生地がしっかりしているのが2枚を比較するとわかると思います。しっかり支えるタイプで高加水生地も安心して布取りができます。 
こちらは長い辺(93cm)を三等分にするようにカットして使っています。一枚買って3枚分です。

布取りの基本的な方法

パンマット 洗濯ばさみなどで留める

①パンマットをしっかりと広げ、使う面に粉(強力粉や全粒粉・ライ麦等)を軽く振ります。
②折り目(山)を作りながら成形した生地を並べます。
③生地が広がらないよう、谷の高さをしっかり作って支えます。
④パンマットが広がらないよう洗濯バサミで留めたり、必要な場合は両端に麺棒やペットボトルを置いてもOK。
⑤乾燥防止のため、上から布などをふんわりとかけます。

マットに振った粉は、生地の張り付き防止になります。
ただし、振りすぎには注意です。特に高加水の柔らかい生地では、振った粉が水分で湿って布がべたつくことがあります。
結果的に、マットが水分を吸ってしまい余計にベタついたり、繊維に生地が張り付いてしまうことも。
そんなときは、パンマットに粉を振るのではなく、生地の底にたっぷり粉をまぶしてから置く方法がおすすめです。
生地離れが良くなり、マットの汚れや湿気も防ぎやすくなります。

生地の底にたっぷり粉をまぶす

布取りをする時のポイント2つ

ポイント ①生地と布の隙間を空けておく。
生地がストレスなく膨らむことができるための隙間を空けて起きましょう。
キツキツに詰めてしまうとくっ付く原因にもなります。

布取りをするときのポイント①生地と布の隙間を空けておく。

ポイント②成型後の形の邪魔にならない支え方をする。
成形後の形を邪魔しないように布で支えます。
例えば写真下のように両端を無理にすぼめると、歪みや発酵の妨げに繋がります。

布取りをする時のポイント②成型後の形の邪魔にならない支え方をする。

より綺麗な仕上がりにするためには?

リュスティック

パンマットの折り目(谷)の深さは、単に「パンがくっつかないようにするため」だけではありません。実はクープの入りやすさやクラストの立ち上がりにも大きく影響しています。谷がしっかり深いと、生地が横にだれずに発酵の力が縦方向に向かいやすくなり、形が整ってクープも開きやすくなります。

リュスティック成形、布取りの様子

パンマットに振る粉や、生地の底に付ける粉を強力粉にプラスしてライ麦粉や粗めの全粒粉を少しブレンドするとよりくっつきにくくなります。また香ばしい風味も加わるので生地にライ麦や全粒粉を使っているときにおすすめです。

パンマットからのパンの移動の仕方

パンマットからパンを移動する

パンマットを広げたら横に取り板(ストレッチスタンドや厚手の段ボールやプラスチック製のまな板などでも代用可能)を添えます。
生地が乗っているパンマットの下に手を添えて支えながら取り板に生地を転がして乗せます。取り板に生地を乗せたまま今度は逆に天板に転がして乗せればOKです。どうしても難しい場合は、布取りの際に生地の底面に合わせてカットしたオーブンペーパーの上に生地を置いておいて、ペーパーごと移動する方法も安心です。
まずは麺棒などを生地に見立てて練習してもいいですね!

麺棒をパンに見立てて、移動の練習

パンマットのお手入れと保管方法

パンマットのお手入れ方法

パンマットを使ったら粉を落として陰干しして収納するのが基本です。洗ってしまうとキャンバス生地独特の風合いがなくなり、パン生地がくっつきやすくなってしまいます。使い終わったら、表面の粉はカードでこそぎ、ある程度粉がなくなったら使った面を下に向けて上から叩くようにはたき落とします。周囲に撒き散らさないように、大きなビニール袋の中ではたいたり、粉のついた面を内側にして筒状に丸め、外側から叩くと広がりにくいです。この状態で上下に揺すってもOKです。
粉が落とせたら、カビやダニを防ぐために湿ったまま収納しないよう、陰干しをしてしっかり乾燥させましょう。湿気が気になる時期は、できるだけ家の中でも乾燥している部屋に干すのがベスト。晴れ間を狙って使っていない日でもちょこちょこと干すとカビの発生も防ぐことができますし衛生的です。

ひと手間を支える道具をこれからのパン作りに

今回は、パンマットを使った布取りの基本から、ちょっとしたコツやお手入れ方法、そして仕上がりをワンランクアップさせるポイントまで、幅広くご紹介しました。
ハードパンを焼くときには特に布取りというひと手間がとても大きな役割を果たしてくれます。
このコラムが、「なんとなくやっていた」布取りの工程を見直すきっかけになったり、ハードパン作りの楽しさをもう一歩深めるヒントになれば嬉しいです。
ぜひ、今日のパン作りから少しずつ試してみてくださいね。

▼合わせてチェック!

上記の布取りの代用になる、フランスパン天板の取り扱いがあります。
詳しくは以下の特集ページをご覧ください!

パン屋さんみたいな仕上がりに フランスパン天板の使い方とレシピ5選
はじめてさんにおすすめ!パン作りの基本の道具

コラム執筆:けいちょんさん

けいちょんさん
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イーストだけでなく数種類の自家製酵母を使い、完全独学ながらお家で作れる「簡単だけど本当に美味しい家族が喜ぶパン」を日々研究中です。

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