こんにちは。富澤商店にてレシピ著者をしておりますマスダアイミです。
私が冬になるとわくわくした気持ちで仕込むもの…それは「味噌」です。寒い季節に味噌を仕込むと雑菌の繁殖を抑えつつ、ゆっくりと発酵・熟成が進む為味わい深い味噌が仕上がります。
「味噌」といっても様々な種類がありますね。米味噌・麦味噌・豆味噌など…、地域によって好まれる味噌も違いがあります。
今回は、米味噌と豆味噌についての違いをお話したいと思います。米味噌と豆味噌ってどう違うの?
作り方の違いは?など是非参考にしてください。
米味噌・豆味噌について~地域によって違う特色~
一般的に全国で使われていて、流通量が最も多いのが「米味噌」です。誰もが1度は手に取ったことがあるのではないでしょうか?同じ米味噌でも、地域によって色や味に違いがあります。
赤い(濃い茶色)・淡色・甘い・辛いなどの分類があります。
基本的に北に行くほど辛口味噌で、南に行くほど甘口味噌になります。
北海道・東北地方では赤い辛口味噌が好まれ、
長野など信州地方では辛口の淡色味噌が好まれます。
南下すると甘口味噌の傾向が強くなり関西地方での白味噌、四国地方は徳島県では赤い甘口味噌、香川県の淡色の甘味噌などが有名です。
一方、豆味噌は主に東海地方で流通している味噌になります。
三州味噌・八丁味噌などの銘柄・呼称があり濃厚な旨味・赤い色(濃い茶色)が特徴の味噌です。
「八丁味噌」は愛知県発祥の味噌で、岡崎城から八丁(約870m)離れた八丁村(現在の八丁町)で作られたのが始まりです。
東海地方の味噌煮込みうどんや味噌おでん、味噌カツなど・・風味が濃厚でとても美味しいですよね
米味噌と豆味噌の違いって?
米味噌と豆味噌は、原料に違いがあります。
名前の通り、米味噌は「米」を使って仕込む味噌で、豆味噌は「豆」を使って仕込む味噌です。
米味噌を作る際に必要なのが一般的に「大豆・塩・米麹・水」で、
豆味噌を作る際に必要なのが「大豆(豆麹)・塩・水」です。豆味噌は豆のみで発酵熟成させます。
味噌を作る際に必要不可欠なのが「麹」です。
味噌は大豆が原料!ここは皆さんご存知だと思います。ただ、大豆と塩と水を混ぜ合わせて置いておいても中々味噌は出来ません。麹を入れることで、麹が大豆を分解。大豆が溶かされ美味しい成分や風味が生まれ、味噌はつくられます。
米味噌は原料の大豆に米麹を混ぜ合わせて仕込みます。米麹の酵素が大豆やお米を分解し、旨味や甘味になり酵母や乳酸菌がはたらくことで発酵ならではの複雑な風味が生まれます。
豆味噌は原料の豆自体が麹になります。豆(主に大豆)に麹菌を振りかけ、豆麹をつくり
そこへ塩、水を入れて合わせ、発酵熟成させます。(追加で大豆を加えることもあります)
豆自体が麹なので、豆のみで味噌ができるという訳です。
私は自家製麹をしているので麹を自宅で作れるのですが、豆麹ってとってもかわいいのですよ。
お豆がモコモコしていて癒されます。これに塩と水を混ぜるだけで味噌になるなんて驚きですよね。
味噌もですが、醤油、味醂、日本酒…すべて麹が関わってつくられる発酵食品です。
麹は日本人にとって必要不可欠なものであることが分かります。
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味や熟成期間の違いは??
米味噌は淡い色や赤い色の味噌など、種類が豊富です。
味噌は基本的に熟成期間が短いと淡い色をしていて熟成期間が長くなると赤い色に変化していきます。
これは味噌の中でメイラード反応が起こり褐色化していくのですが、その進行具合で色が変化していきます。
熟成期間が短いとあっさりとしていて風味は弱いですが、出汁の味を生かしたお料理などに使えます。
熟成期間が長いと濃厚な旨味と香りを得ることができます。そして米味噌の味は、大豆に対して米麹をどれくらい入れているか?塩をどのくらい入れているか?でも変わってきます。甘味噌は大豆に対して麹の割合が多く、塩も少な目。辛味噌は麹の割合が大豆と同程度で、塩も多め。
麹が増えると甘味が増え、塩を増やすと辛口になるということです。
一方、豆味噌は熟成期間が長いのが特徴です。米味噌が大体1年未満から1年くらいの熟成期間なのに対して、豆味噌は1年~3年程熟成させるので赤い濃い色をしています。
甘味は米味噌に対して少なくはありますが、豆の配合が多い為濃厚な旨味を感じることができます。
そして豆味噌は塩っ辛い!と思われがちなのですが、そこまで塩分濃度は高くありません。
米味噌は米由来の甘さが含まれている為、比べると米味噌の方が塩味を強く感じづらく、豆味噌はダイレクトに塩味を感じるのかと思います。
そして豆味噌の最大の利点は「加熱しても風味が飛びづらい」こと。
米味噌は加熱すると風味が飛んでしまう為、味噌汁を作る際も火を止めてから味噌を入れるようにしますが、豆味噌は加熱しても旨味や香りが飛びづらいため、煮込み料理などにお勧めです。
濃厚な旨味を生かしてお料理のソースとして使うのも楽しそうです。
日本の様々な地域で愛される、それぞれの味噌
味噌は日本人にとって必要不可欠な調味料ですが、日本国内でこんなに地域によって特徴が分かれているものなんて、興味深く面白いですよね。
私はずっと関東在住なので米味噌づかいが通常で、豆味噌や麦味噌(九州地方の味噌)はあまり馴染みがなかったのですが、現在は様々な種類の味噌を仕込んで毎日の生活を楽しんでいます。
味噌ははるか昔から日本人の食生活を支えてきました。
寒い季節、あたたかい一杯のお味噌汁で幸せな気持ちになれるのは日本の伝統あってこそ。
様々な地域の味噌を試してみて、自分にぴったりな味噌を探してみるのも楽しそうですね。