こんにちは。自宅教室Nina kitchen を運営している三谷です。
今回、日本では、まだあまり見かけないドイツのケーキ「モーンクーヘン」のレシピをご紹介します。 でも「モーン」って何?その意外と身近な食材「モーン」=「ケシの実」についても深掘りしていきますよ。 秋にぴったりの「モーンクーヘン」、コーヒーと一緒にいかがですか?
モーンとは?

「モーン」とはドイツ語で「ケシの実」を指します。英語では「ポピーシード」と言います。日本では、「あんぱん」のトッピングでお馴染みですね!
ケシの実は、ケシ科の植物の種子で、ゴマよりも小さく0.5㎜ほどの大きさです。ナッツのような芳ばし い香りがあり、パンやお菓子、料理などに用いられています。古くは薬用にも使われていたとか。 栄養面でも優れていて、オレイン酸も多く含まれています。
下表でゴマと比較してみましょう。脂質はゴマが上回りますが、食物繊維、カルシウム、鉄などは優って いることがわかりますね。ミネラルも多く摂れることから健康志向の方にも注目されています。
モーンクーヘンとは?

ケシの実を挽いたものを牛乳、砂糖、でんぷんなどと混ぜ加熱し、ペースト状にしたフィリングをタルト生地などに入れて焼いたものです。ケーキの上にはシュトロイゼルをのせたものが最もポピュラーです。
フィリングには牛乳の他にクワルク(ドイツのナチュラルチーズ)を入れることが多く、コクのある味わいでとても美味しいですよ。また、とろみをつける「でんぷん」には、セモリナ粉、またはシュパイゼシュタルケ(コーンスターチ)などを入れますが、薄力粉などでも代用できます。また、ドイツでは、モーンの既製のペーストも売っています。日本の既製の粒あんのようなイメージですね。
ひとことでモーンクーヘンと言っても使う材料や形は、地域やお店によって様々です。ミルクやクリームチーズのクリーミーな味の他、レモン皮のすりおろしや、煮りんごを入れるアレンジバージョンもあります。丸型、タルト型でやいたもの、また、大きい角型や、天板で焼いて切り分けたものなどもあります。
一口食べるとタルト生地やシュトロイゼルのサクサク感と、クリーミーで芳ばしい香りのモーンフィリング、プチプチしたケシの実の食感が味わえて、この上なく幸せな気分になります。
モーンを使った他の焼き菓子、パン、料理
モーンシュネッケン

デニッシュ生地や、ブリオッシュ生地などで、モーンフィリングを巻いて、カットして焼いたスイーツパン。こちらも、渦巻きが上を向いたもの、横に渦巻きがあるものなど、様々です。ねじってパウンド型などに入れて焼いてからカットしたものもあります。似たような焼き菓子で、モーンプルンダー、モーンデニッシュと言われるものもあります。
いずれもアイシングをかけて仕上げています。甘~いですが、コーヒーにはピッタリです。
モーンシュトレン

オレンジピール入りのシュトレンの生地にモーン、バター、卵、アーモンドパウダーなどを入れたモーンフィリングを塗って巻き込み焼いたもの。また、パウンド型に入れることもあります。
写真はパウンド型で焼いたものですが、シュトレンのように天板で焼き、おくるみの形に仕上げるものもあります。
パンのトッピング
ドイツやヨーロッパではカイザーゼンメル、ブロートヒェン、プレッツェル、ハード系のパンに付けて焼いています。日本ではあんぱんなどのトッピングに使われていますね。
その他
レモンとポピーシードのパウンドケーキは日本でも大人気ですね。
また昔ながらの栗饅頭、和菓子、香辛料としては七味唐辛子にも使われています。 インドではカレーなどのスパイスとしても使われているそうです。
日本では、飾りやアクセントに使うことが多いですが、ドイツや中東などでは日本の餡子のように、ケシの実をフィリングとして使うことも多いようですね。
モーンクーヘンを作ってみよう!
ドイツのケーキはサイズが大きめですが、今回は15 ㎝丸型で手軽に作れるようにレシピを考案しました。また、日本では手に入りにくい「クワルク」はクリームチーズを使用し、ご家庭でも作りやすくなっています。
モーンフィリング
- けしの実(青) 70g
- 全卵 20g
- グラニュー糖 50g
- 薄力粉 10g
- コーンスターチ 10g
- 牛乳 200g
- クリームチーズ 65g
- バニラオイル 10 滴
シュトロイゼル
- バター(食塩不使用) 30g
- 薄力粉 25g
- アーモンドパウダー 20g
- グラニュー糖 30g
- 塩 2 つまみ
タルト生地
- バター(食塩不使用) 50g
- グラニュー糖 40g
- 塩 ひとつまみ
- 全卵 15g
- バニラオイル 5 滴
- 薄力粉 100g

下準備
・タルト生地のバターは常温にもどしておく。
・全卵を常温にもどしておく。
・シュトロイゼルの材料はボウルごと冷蔵庫で冷やしておく。
・牛乳は人肌程度に温めておく。
・型の内側側面にバターを塗り、底に丸いペーパーを敷いておく。

モーンフィリング
1.けしの実をフードプロセッサーで挽く。または厚手のビニール袋に入れて木の麺棒で叩いて細かくする

2.ボウルに全卵、グラニュー糖を入れ、白っぽくなるまでホイッパーですり混ぜる。

3.薄力粉、コーンスターチをふるい入れ、さらに混ぜる。

4.温めた牛乳を2回に分けて加え、混ぜる。

5.鍋に移し、ケシの実を入れて中火にかけ、ゴムベラで絶えず混ぜながら炊いていく。

6.とろみが出てきたら、焦がさないように速度を速めて混ぜ、沸騰したら1 分ほどしっかりと炊く。

7.ゴムベラで鍋底をこすって、少し跡が残るくらいの固さになればOK。

8.火を止め、クリームチーズ、バニラを入れ、ムラなく混ぜる。

9.ボウルなどに移し、密着ラップをして常温になるまで冷ます。(必要なら保冷剤をのせる)

タルト生地
10.常温に戻したバターをハンドミキサーですり混ぜる。

11.バターにグラニュー糖、塩を加え、白っぽくなるまですり混ぜる。

12.卵を2~3回に分けて加え混ぜ、バニラオイルを入れ、さらに混ぜる。

13.薄力粉をふるって入れ、ゴムベラで切り混ぜる。

14.ひとまとまりにして、ラップの上に出し、空気を抜くように丸くまとめる。

15.ラップを折りたたみ、スケッパーを使って直径12㎝位の円形になるように平らにする。

16.バットに入れ、冷凍庫で10 分、裏返して冷蔵庫で10 分冷やす。

シュトロイゼル
17.冷やしておいたボウルの中で、グラニュー糖、塩、薄力粉、アーモンドパウダーをバターにまぶしながら、スケッパーでバターを細かく切っていく。

18.バターが米粒大になったら、指で摘みながら、そぼろ状にしていく。 使う直前まで冷蔵庫に入れておく。

組み立て
19.タルト生地をラップに挟み、麺棒で直径21㎝位の円形にのばす。厚みを均一にすると良い。

20.上のラップをはがし、丸型の上にかぶせるように置き、もう片方のラップもはがし、 丸型に敷きこむ。

21.側面の生地の高さは3 ㎝くらいになるように調整する。

22.5~10分冷蔵庫に入れ、だれた生地を冷やす。フォークでピケをする。

23.常温に冷めたモーンフィリングをタルト生地の中に入れ、平らにする。

24.モーンフィリングの上にシュトロイゼルをのせ、180℃のオーブンで50~60 分焼く。 表面が焦げそうな場合はアルミホイルをかぶせて焼く。

25.粉糖を振る。しっかりと冷ましてからカットしましょう。
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素材からお菓子作りの世界を楽しもう

モーンクーヘン、いかがでしたでしょうか?ドイツのお菓子は、素材の味を生かした素朴なものが多い ですよね。シンプルなタルト生地、ほんのり甘くてなめらかなモーンフィリング、そして上にはサクサクの シュトロイゼル、温かいコーヒーにぴったりのケーキ、完璧な組み合わせだと思いませんか?
ゴマにも匹敵する栄養たっぷりのケシの実、これからのお菓子作りの材料としても注目したいです♪ 実は私の主催する教室でも夏のメニューで「レモンとポピ-シードのマカロンクリームパン」というスイー ツパンを考案してレッスンしていました。プチプチした食感と、芳ばしさがレモンクリームにもマッチして、とても喜ばれました!素材のことを知ると、お菓子作りの世界が広がりますよね。
さてさて、今回のモーンクーヘン、日本のご家庭でも作りやすいようにレシピを考案させていただいたの で、ぜひ作ってみてくださいね。
コラム執筆:Nina kitchen三谷さん

「おうちのキッチンで作るおいしいパン&スイーツ」自宅教室Nina kitchen主宰。
ロースイーツクリエイター認定校。自宅教室にて基本のパン、オリジナル創作パンのレッスン開講中。










