こんにちは。洋菓子講師の舘野です。
今回は「台湾スイーツ」の「豆花(トウファ)」を紹介します。
皆さんは豆花をご存知ですか?豆乳で作るプリンのようなデザートです。
私は台湾旅行中は何軒も食べ歩くほど豆花が大好きで、日本でも本格的なものから手軽なものまで色々なレシピを試しています。
今回は家庭でも簡単に美味しく作れる豆花とトッピングのレシピをいくつか紹介します。優しい味でほっとするデザートなので、ぜひ皆さんも作って召し上がってみてくださいね。
「豆花」とは
台湾スイーツには「台湾カステラ」「パイナップルケーキ」「タピオカドリンク」など有名なものがいくつかありますが「豆花」もその一つ。キングオブ台湾スイーツと言っても過言ではないほど、街の至る所にお店があり、小さな子どもからご年配の方まで日常的に食べています。
その正体は一言で言うと「なめらかな豆乳プリン」です。豆乳を凝固剤で固めて小さめのどんぶりによそい、きび砂糖のシロップや小豆などの様々なトッピングをのせ、レンゲでたっぷりすくって食べます。
冬はシロップを温めて「温豆花」、夏場は氷を乗せて「冰豆花」と1年中楽しめるデザートです。
どんなシロップ・トッピングがあるの?
シロップはきび砂糖や黒糖を使ったものが多く、少し焦がしたカラメルタイプもあります。甘さはかなり控えて、量をたっぷり注ぐのが本場流。「シロップのおかわりできるからね!」と声をかけてくれたり、卓上にシロップのポットを置いているお店もあります。
トッピングは小豆、緑豆、ピーナツ、はと麦、タロ芋、さつま芋、白キクラゲ、タピオカ、芋圓(さつまいものお団子)、ゼリー、フレッシュフルーツなどなど。好きな具材をいくつか選んでのせてくれるお店がほとんどです。
「豆花」は何で固めるの?
豆花をどんな凝固剤で固めて作るかによって、食感や味の感じ方に違いが出ます。台湾では「硫酸カルシウム」+「地瓜粉(さつまいもやキャッサバの澱粉)」を使用するのが伝統的な方法です。硫酸カルシウムは保水力が高いので、なめらかな食感に仕上がりやすいと言われています。その他「にがり」や「アガー」を使うお店もあるようです。
日本の家庭では硫酸カルシウムを使うことは一般的ではないので「ゼラチン」「寒天」「アガー」に「コーンスターチ」「片栗粉」を組み合わせて本場の食感に似せたレシピが多いようです。
簡単!豆花を作ってみよう
まずはベースとなる豆花のレシピを紹介します。「アガー」と「コーンスターチ」を組み合わせて作ることで、なめらかで少しぷるんとした食感になります。
アガーは溶けにくい素材なので、シロップを温めて食べる「温豆花」が楽しめますし、寒天ほどは加熱時間を必要としないので豆乳を加熱しすぎてもろもろとさせてしまう失敗が起きにくいと思います。
<作り方>
1.ぷるるんアガーときび砂糖をボールに入れよく混ぜておく。
2.鍋にコーンスターチを入れ、水、豆乳を順に加えてその都度、泡立て器でよく混ぜる。
3.鍋を中火にかける。ゴムベラでよく混ぜながら沸騰直前まで温める。火を止め、1.に注ぎ入れる(アガーがダマになりやすいので、ボールの中を泡立て器で混ぜながら加える)。
4.鍋に戻し弱火にかける。ゴムベラでよく混ぜながら30秒ほど温め、アガーをしっかり溶かす。すぐに保存容器に注ぎ、上部の泡をスプーンで取り除く。冷蔵庫で冷やし固める。
より手軽に作れるゼラチンを使った豆花のレシピも紹介します。ゼラチンは溶けやすいので「温豆花」はできませんので、冷やしたタイプを楽しんでくださいね。
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シロップ・トッピングの作り方
豆花はシロップをかければデザートとして完成します。それでも十分ですが、市販品や手作りのトッピングがいくつかあるとデザートの時間がより楽しくなります。用意するのはひと手間ですが、ご紹介するトッピングは冷凍も可能なので、多めに作ってストックを増やしていくと、いつの日か具沢山豆花が出来上がりますよ。
①シロップ
②ピーナツの甘煮
台湾の豆花店ではとてもポピュラーで私も大好きな具材です。薄皮をむいたり、一晩水に浸けたりと時間がかかるので気持ちに余裕のある時に作るのがおすすめ。シロップ代わりに煮汁をかけても美味しいですよ。
<作り方>
1.鍋にお湯を沸かし、生落花生90gを2〜3分煮て、氷水に取り出す。薄皮をむき、水を張ったボールなどに入れる。冷蔵庫で一晩置き、落花生をふっくら戻す。
2.翌日、鍋に落花生を取り出し、かぶるくらいまで水を張る。中火で沸かした後、弱火に落とし、大きめの落花生が柔らかくなるまで、蓋をして90分ほど煮る。途中、落花生が出てきたら水を足す。煮上がりはひたひたの水量がよい。
3.きび砂糖40gを加え軽く煮たら出来上がり。冷蔵庫で冷やす。
③白きくらげのシロップ煮
白きくらげを召し上がったことはありますか?味や香りの主張は少なく、つるつるコリコリとした食感が魅力です。シロップ煮は中華圏ではデザートとして人気です。
<作り方>
1.白きくらげ10gをたっぷりの水に浸けて戻す。冷蔵庫の中に入れ数時間〜一晩でふっくら戻る。
2.水で洗い、石づきを包丁で取り除き、小さめのひと口サイズに裂く(小さめの方が豆花と一緒に食べやすい)
3.鍋に入れ、かぶるくらいまで水を張る。中火で沸かした後、弱火に落とし、白きくらげがふっくらとするまで、蓋をして30分ほど煮る。途中、白きくらげが出てきたら水を足す。煮上がりはひたひたの水量がよい。
4.きび砂糖60gを加え軽く煮たら出来上がり。好みでくこの実を適量入れる。冷蔵庫で冷やす。
④芋圓
以前コラムで紹介した「QQボール」を油で揚げずに茹でて作るのが芋圓。もちもちしたお芋味のお団子です。丸めた生地を沸騰したお湯で5分ほど、柔らかくなるまで茹でるだけ。茹でた後に冷蔵庫にいれると硬くなるので、丸めた生地を冷凍保存し、食べる分だけ茹でましょう。
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色々な組み合わせが楽しめる豆花、組み合わせ例
シロップをかけるシンプル豆花以外に、色々なトッピングを組み合わせた豆花をご紹介します。
定番豆花
シロップ+小豆+ピーナツの甘煮+白きくらげのシロップ煮
台湾の豆花屋さんの定番豆花のイメージです。小豆はあんこではなく粒がパラパラとして甘さが控えめのものがトッピングにおすすめです。
お芋豆花
フルーツ豆花
シロップ+小豆+フルーツのコンポート
季節のフルーツをコンポートにして、生のまま添えるとさっぱりと頂けます。
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終わりに
台湾のスイーツや食事は穏やかな味わいのものが多く、豆花もシンプルな材料でできるとても優しい味わいのデザートです。
豆花が冷蔵庫にあると、手軽なデザートがいつでも食べられるな、と安心した幸せな気持ちになります。おやつにたっぷりよそって、食後にほんの少しだけ...季節の果物があるからサッと煮てのせようかな、おかずに作ったさつま芋のレモン煮や煮豆を入れようかな、などとても自由に楽しめます。ぜひ一度、ご自宅で手作りして楽しんでみてくださいね。
コラム執筆:舘野真里さん
製菓学校を卒業後、食品メーカーでの企画開発を経て、富澤商店×クオカスタジオをはじめ各地で洋菓子講師・レシピ開発をしています。