生クリーム・ホイップクリームの違いとは?|泡立て・デコレーションで徹底比較

お菓子作り

こんにちは。TOMIZスタッフの大寺です。

もうすぐクリスマス!ご家族のためにデコレーションケーキ作りを計画されている方も多いのでは?今回はデコレーションケーキには欠かせない「生クリーム」「ホイップクリーム」の違い、また生クリームの乳脂肪分による違いをご紹介していきます。違いや特徴を知って、ぜひご自身にあったクリームを見つけてくださいね。

生クリームとホイップクリームの違いとは?

「生クリーム」とは、牛乳に含まれている乳脂肪を遠心分離によって濃縮したもの。遠心分離のかけ方によってさまざまな濃度のクリームを調整することができるため、一言で「生クリーム」と言ってもいくつかのバリエーションがあります。

日本の規定では「クリーム」と表示できるのは「乳脂肪分18%以上のもの」と決められています。植物性脂肪や乳化剤、安定剤などの添加物は一切加えずに作られているため、乳脂肪の独特の風味やコクが味わえます。

▼パッケージには「種類別:クリーム(乳成分を含む)」と記載があります

また「ホイップクリーム」とは、一般に乳脂肪に添加物を加えたものについてその呼び名が使用されています。こちらも「生クリーム」に乳脂肪によるバリエーションがあるように、脂肪の混合により3つの違いがあります。

・乳脂肪のみのもの

天然のクリームに、「乳化剤」や「安定剤」を加えたもの。分離しにくく使いやすい特徴があります。

・植物性油脂のみのもの

乳脂肪すべてをヤシ油、パーム油などの植物性油脂に置き換えたもの。軽くさっぱりとしていて、乳脂肪のみのクリームに比べて白く仕上がるのが特徴です。

・乳脂肪と植物性油脂を組み合わせたもの

乳脂肪の一部をヤシ油、パーム油などの植物性油脂に置き換えたもの。「コンパウンドクリーム」と呼ばれ、乳脂肪と植物性油脂のよい特徴を掛け合わせたものです。

▼パッケージには「名称:乳等を主要原料とする食品」と記載があります

いずれも「クリーム」に分類される製品よりも扱いやすく、やや安価で、安定性が高いのが特徴です。

生クリーム2種とホイップクリームで違いを実験!

3種類のクリームで「泡立て」「デコレーション(ナッペ)」「デコレーション(絞り)」の違いを実験してみます。今回は「乳脂肪45%の生クリーム」「乳脂肪36%の生クリーム」「ホイップクリーム(コンパウンドクリーム)」を選んでみました。いずれもTOMIZオンラインショップで取り扱いのある製品です。

中沢 フレッシュクリーム45% / 200ml

コクとまろやかな舌ざわりが楽しめる、乳脂肪45%の無添加のクリームです。

中沢 フレッシュクリーム36% / 200ml

コクと軽さのバランスに優れた、乳脂肪36%の無添加のクリームです。

中沢 ナイスホイップE / 1000ml

乳脂肪と植物性脂肪を合わせ、ほんのりバニラの香りを付けたすっきりと口溶けの良いコンパウンドホイップです。

どの製品もデコレーションケーキ作りに使うことができますが、それぞれ特徴があります。
「泡立て」「ナッペ」「絞り」で実験した結果をご紹介していきますね。

「泡立て」で3種類のクリームの違いを実験!

それではさっそく、それぞれのクリーム製品で違いを見てみましょう。

乳脂肪45%の生クリームを泡立ててみる

もっとも短時間で泡立ったのがこちらの45%乳脂肪のクリーム。
200mlで泡立ててみて、デコレーションに使用できる固さまで泡立てるのに1分かかりました。今回はハンドミキサーを使用していますが、手作業で泡立てを行う場合はこのクリームがおすすめです。

乳脂肪36%の生クリームを泡立ててみる

45%乳脂肪分のクリームに比べて、36%乳脂肪のクリームはずいぶん時間がかかる印象です。
200mlで泡立ててみて、デコレーションに使用できる固さまで泡立てるのに約4分かかりました。手作業で泡立てを行う方にはこちらのクリームは避けていただくのがおすすめです。

ホイップクリーム(コンパウンドクリーム)を泡立ててみる

乳脂肪分だけでなく植物性油脂、乳化剤や安定剤の入ったクリーム。
45%乳脂肪分のクリームよりは少し時間がかかるけれど、36%のクリームよりも早く泡立ち、使いやすい印象です。200mlのクリームを泡立てるのに約2分かかりました。

▼動画でもチェック!クリームによる泡立ての違い

「デコレーション(ナッペ)」で3種類のクリームの違いを実験!

デコレーションケーキ作りには欠かせない作業である「ナッペ」。スポンジケーキに、パレットナイフで生クリームを塗り広げる作業を「ナッペ」と言います。この作業では違いは出るのでしょうか?

乳脂肪45%の生クリームでナッペしてみる

見た目に黄色みがかって、パレットナイフで何度も触っているとすぐに表面がザラついてくる印象。デコレーションの作業に慣れた方にはおすすめですが、初めてのデコレーションの場合少し難しく感じられるかもしれません。

乳脂肪36%の生クリームでナッペしてみる

45%乳脂肪分のクリームに比べて黄色みはやや抑えめ。乳脂肪が低い分、触ってもすぐにはボソつかないので扱いやすく感じますが、こちらもパレットナイフで何度も繰り返し触っていると次第に表面がザラついてきます。

ホイップクリーム(コンパウンドクリーム)でナッペしてみる

もっとも白さが際立つのがホイップクリーム。
表面もザラつきにくく、パレットナイフで何度も触ってもなめらかです。デコレーションに慣れていない方は、ここからスタートしていただくのがおすすめです。

▼動画でもチェック!クリームによるナッペの違い

「デコレーション(絞り)」で3種類のクリームの違いを実験!

スポンジケーキがきれいにナッペできたら、次は絞り袋と口金を使った「絞り」の作業。ここでもクリームの違いが出てきます。順に見てみましょう。

乳脂肪45%の生クリームで絞ってみる

45%乳脂肪のクリームは固さがあり、絞りのエッジがきれいに出ます。くっきりとした印象の絞りになっているのがおわかりでしょうか?長時間絞り袋に入れたクリームを手で触り続けるとボソボソになってきますが、良い状態で保てればきれいなデコレーションができますよ。

乳脂肪36%の生クリームで絞ってみる

36%乳脂肪のクリームは、45%クリームに比べて少しエッジがゆるい印象。ある程度触り続けていてもクリームがボソつきにくいという特徴はありますが、時間の経過とともに崩れやすく、あまり絞りには向かない印象です。

ホイップクリーム(コンパウンドクリーム)で絞ってみる

ホイップクリームは乳脂肪のクリームに比べてやはり扱いやすく、エッジも綺麗に出ています。長時間触っていてもボソつきにくいだけでなく、色の白さが際立っています。

▼動画でもチェック!クリームによる絞りの違い

クリームの種類による使い分けのポイントまとめ

クリームの種類によってそれぞれ特徴があるのをお分かりいただけたでしょうか?
「乳脂肪45%の生クリーム」「乳脂肪36%の生クリーム」「ホイップクリーム(コンパウンドクリーム)」のいずれを使用してもデコレーションはできますが、それぞれ個性があるのでぜひご自身に合ったクリームを選んでいただければと思います。

左から、36%乳脂肪のクリーム、45%乳脂肪のクリーム、ホイップクリームの違いです。

乳脂肪45%の生クリームの特徴まとめとおすすめの使い方

・乳そのものの濃い風味とまろやかな口当たりが楽しめる
・黄色みがかったこっくりとしたクリーム
・泡立ちが早く、触りすぎると固まりボソついてくる

★ハンドミキサーを使わずに短時間で泡立てたい方へおすすめ
★ケーキデコレーションに慣れている方へおすすめ
★添加物を避けたい方におすすめ(36%と共通)

乳脂肪36%の生クリームの特徴まとめとおすすめの使い方

・乳そのものの風味もありつつ軽やかさが楽しめる
・やや黄色みがかったクリーム
・泡立ちに時間がかかりにくい、ボソつきにくいが長時間触りすぎるのはNG

★ハンドミキサーで泡立てたい方へおすすめ
★添加物を避けたいが、デコレーションに慣れない方へおすすめ
★長時間形を保ちにくく水分が出てきやすいので、短時間で食べてしまえるときにおすすめ

ホイップクリームの特徴まとめとおすすめの使い方

・ほんのりしたバニラの香りが楽しめる
・美しさ際立つ白いクリーム
・泡立ちがよく、ボソつきにくいためナッペや絞りのデコレーションに慣れてない方でも扱いやすい

★デコレーションに慣れていない、練習したい方へおすすめ
★白く美しいデコレーションを目指す方におすすめ
★乳脂肪と植物性脂肪の「いいとこどり」で楽しみたい方におすすめ

もっとクリームを使いこなすには?

最後に、スタジオでもよくご案内する、もっとクリームを使いこなすヒントをいくつかお伝えしたいと思います。

乳脂肪分はブレンドでお好みに調整してもOK

乳脂肪の異なるクリームをブレンドすることで、2種類のクリームの良さを併せ持ったクリームに調整することができるんです。45%と36%のクリームを半々でブレンドすることで、しっかりと泡立ちながらもボソつきにくいクリームに。

ホイップクリームは使いやすいけれど乳製品そのものの味わいを楽しみたい!という方には、こちらの使い方がおすすめです。

ガナッシュ(生チョコ)を作るときは36%がベスト!

クリスマスが終われば、次のイベントはバレンタイン。生チョコやトリュフでよく使う、刻んだチョコレートに沸かした生クリームを混ぜて作る「ガナッシュクリーム」を作るときには、ぜひ36%の生クリームを使用してください。
ツヤのある、きれいな状態のクリームが作れますよ。

ホイップクリームは用途に合わせて選んで

今回ご紹介したのは「乳脂肪」と「植物性油脂」の混合、コンパウンドタイプでした。もっとも扱いやすさとおいしさのバランスの取れたものですが、一般のスーパーでは植物性脂肪のみのものしか手に入らない場合も。ただ植物性油脂のみのものはぐっと価格がお手頃になり賞味期限も長いので、お使いになるシーンに合わせて活用していただくのがおすすめです。

用途やお好みに合わせてクリームを選びましょう

「乳脂肪45%の生クリーム」「乳脂肪36%の生クリーム」「ホイップクリーム(コンパウンドクリーム)」の違い、使い分けのヒントをご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?

クリスマスのデコレーションケーキ作り、ぜひお使いになるクリームがご自身に合ったものになるよう、今回のコラムを参考に選んでみてくださいね!

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