2種類の米粉パン徹底比較|ミズホチカラと山梨県産米粉

パン作り

こんにちは。富澤商店オフィシャルクリエイターのマスダアイミです。
「お家のオーブンから幸せを」をテーマに、白神こだま酵母や米粉、国産小麦など自分や家族が安心できる食材を使ったレシピ提案を行っています。

今回は、最近とても人気の「米粉」について調べてみたので、ご紹介したいと思います!
Instagramやお教室でも、米粉についての質問やコメントをたくさんいただくようになりました。
きっとまだ「米粉ってどう使うの、どう違うの?」と思っている方も多いのではないでしょうか?

2種類の米粉を徹底比較!グルテンフリーのパン焼き比べ

「米粉だけでパンを作るのは難しい」・・・以前は小麦粉を混ぜたり、グルテンの粉を足して米粉パンを作るのが主流でしたが、今の製粉技術は凄い!グルテンを添加せずしっかり膨らむ米粉が開発され、グルテンフリーの米粉パンがより身近になってきました。

今回は2つのパン用米粉、「ミズホチカラ」と「山梨県産米 パン用米粉」の焼き比べを行いました。

 米粉パンは基本的に、粉に対して入れるお水の量が多いため、バッター液のような生地になります。

型に流し入れて焼くものと、最近は手成形ができる米粉パンとして「サイリウム(オオバコの種皮末)」を入れるものが二大主流な印象です。

そこで今回、型に流し入れて焼くタイプ、サイリウム入りの成形タイプの2パターンで検証してみました。

検証1.パウンド型で焼く食パンで比較

比較するために、同じレシピで同じ加水量、発酵時間で焼いていきます。

使用したレシピは「白神こだま酵母でつくる米粉のふわもち食パン」です。もともとミズホチカラ使用のレシピですが、山梨県産米粉でも全く同配合で焼いていきます。

粉の見た目では区別しづらいのですが・・水を入れた際に明らかな変化が!

検証結果:ミズホチカラは粘度のある緩めの生地になる

非常にとろとろとした流動性のある生地です。数センチ高い所から生地を落とすとリボン状に落ち、少し跡が残るくらいの固さ。

検証結果:山梨県産米粉は給水力が高く固めの生地になる

水を入れた瞬間、粉がぐいぐいと水を吸っていくのが分かります。数センチ高い所から生地を落とすと、ゴムベラからぼたっと落ちる生地感です。ミズホチカラと比べると固い生地なのが分かります。

このように、焼く前から生地感に違いがあります。

型に流し入れて発酵させていきます。発酵での生地の育ち具合には特に差は見られませんでした。2つとも同時間で、型に対して同じくらい膨らみました。

焼き上がりは差が顕著に現れました!

左側がミズホチカラ、右側が山梨県産米粉です。

ミズホチカラのパンの方がよく膨らんだのが分かります。非常に流動性のある生地でしたので、焼成時にもよく伸びたのだと思います。

山梨県産米粉は少し固めの生地でしたので比べると膨らみづらかったようです。柔らかいゴムと、固いゴム。どっちがよく伸びるか?と考えると分かりやすいかもしれません。

パンのクラム、食感にも違いがありました。

検証結果:ミズホチカラはきめが細かく、しっとり吸いつくような食感

ふわふわで絹のような見た目と食感です。

検証結果:山梨県産米粉は気泡が大きく、歯切れの良い食感

しっとりの中に歯切れの良さがあります。気泡も大きいので軽さがあります。

私はどちらのタイプも食感としては好きです。食べたい食感によって区別できたら楽しいですね。

検証2.サイリウム使用の成形パンで比較

こちらの使用レシピは「白神こだま酵母でつくる基本の米粉プチパン」より。同一環境で作っていきます。

まず、驚くべきはサイリウムの効果です。

液状の生地にサイリウムを振りかけると・・・

見る見るうちにまとまって、ひとまとめにすることができます。
吸水性が非常に高いのが分かります。手で成形するのが難しいと言われていた米粉パンも、小麦パン同様に様々な成形が楽しめるようになります。

こちらも食パンと同様に、ミズホチカラの生地より山梨県産米粉の方がしっかりめの生地になりますがそこまで大きな差は見受けられません。少しミズホチカラの方が粘度のある生地になっています。

成形して発酵させていきます。発酵にかかる時間はさほど差はありませんでした。

焼き上がりの比較です。左側がミズホチカラ、右側が山梨県産米粉です。

どちらもふんわり膨らみましたが、山梨県産米粉の方が少し腰高に焼けています。
ミズホチカラは少し粘度のある生地だったため、発酵の際に多少横に広がったようです。
山梨県産米粉は吸水が良く生地が締まる分、形を保ちやすいのかと思います。

カットするとどちらも同じ内層に見えますが、食べ比べてみるとミズホチカラのパンはしっとり、モチモチ感を強く感じました。山梨県産米粉はしっとりの中に歯切れの良さがあります。

まとめ

比較して感じたことは、どちらもパンを作るのに使いやすく美味しく焼ける粉だということです。

水を吸う量がそれぞれ違うので、今回は同条件で焼いてみましたが、粉によって与える水の量を調整してあげることでどちらも魅力を最大限に活かせるかと思います。

面白いのが食感の違いです。ミズホチカラはどちらかというとモチモチ感が強く、山梨県産米粉は歯切れの良さを持っている点です。

作りたいパンによって粉を変えられる可能性を感じました。今回の実験結果を生かして美味しさを諦めないグルテンフリーのパンレシピを今後も提案できたらと思います。

コラム執筆:マスダアイミ先生

湘南・茅ヶ崎にてパン教室「OVEN 暮らしのパン教室」主宰。
『お家のオーブンから幸せを』をモットーに、国産小麦や手に入れやすい範囲でのこだわり素材を使い、作りやすいのに美味しい!と思えるパン作りを提案しています。天然酵母を使ったレシピを中心としてパンや酵母菓子など、白神こだま酵母の良さを伝えながら多くのレシピ提案を行っています。