こんにちは。富澤商店にてレシピ著者をしておりますマスダアイミです。
皆さんは米飴を使ったことはありますか?米飴はお米の甘さをぎゅっと集めた飴で、優しい甘味が特徴の古くから日本で親しまれてきた甘味料です。材料はお米と麦芽のみ。実は手作りもできます。
我が家では冷蔵庫に米飴を常備していて、用途によって砂糖を使ったり米飴を使ったりと使い分けています。
今回は米飴が出来るまでの仕組みや、麦芽飴とはどう違うか?等の疑問に触れながら、
実際に米飴を手作りする際に注意すべきポイントを詳しくお伝えしていきます。
米飴とは

米飴とは、お米のでんぷんを大麦麦芽の酵素で糖化させて作る穀物由来の甘味料です。
こうやって書くといまいちピンと来ないと思います…!
普段食べているお米を想像してみてください。炊いたご飯をよーく噛んでいると…甘くなってきた!という経験はないでしょうか?
これは米飴作りの原理と同じで、ご飯を噛んでいると唾液中にある酵素がお米のでんぷんに働き、実際にお米を甘く感じるように変化させています。
大麦麦芽の酵素には、同じようにお米のでんぷんを分解して甘くさせる効果があるので、米飴はお米由来の甘味がぎゅっと詰まった甘味料ということです。
砂糖とは違う優しい甘味で砂糖と比べると約3割程度の甘味度。コクのある甘さが特徴です。
和菓子作りや赤ちゃんの離乳食として使われる他、マクロビオティックや砂糖の代用として使いたい方に重宝されています。
麦芽飴との違いは?
麦芽飴は、米飴と同じように大麦麦芽を使って作られる甘味料です。
麦芽の酵素を使い、でんぷんを糖化させて作ります。
米飴と何が違うの?というと大体同じなのですが、使っている材料の違いで区別されます。
麦芽飴はお米でなくとも芋のでんぷんを糖化させる事でも作られます。お米でも良いし、芋でもOK。
それに対して米飴は名前の通り「米」のみを使って作られる甘味料。
麦芽を使うことは同じで、米を使うかそれ以外のでんぷん質を使うかの違いで区別されます。
米飴を使うメリット
米飴は砂糖に比べて甘さが穏やかな為、お料理に使うと素材本来の味を生かしつつほんのりとした甘味を足すことが出来ます。
粘度があるため肉料理のソース等にも使いやすく、照りも出るので甘辛の味付け…まさに照り焼きソース等を作るのにおすすめです。よく絡むソースになります。

その他お米由来の甘味料なこともあり、和食の味付けにぴったり合います。
私は子どもの離乳食に活躍させていました。離乳食は基本的にあまり味付けはせず素材の味を生かすことが前提とされていますが、野菜のペーストなどはどうしても食べづらそう…
そんな時に米飴を少し加えて調味してあげると、素材の味は活かしつつ甘味が加わるので赤ちゃんも食べやすい味になりとても便利でした。
米飴は糖の性質が麦芽糖由来の為、血糖値の上昇が砂糖に比べると緩やかで、お米由来の栄養素も摂れるのもメリットです。
実際に米飴を作ってみよう!ポイント解説

米飴は手作りも出来ます。もち米と麦芽があれば作れるので実際に作ってみましょう。
酵素のことを考えた温度管理がポイントです。
もち米とモルトパウダーを使用します。
米飴の作り方
① もち米を浸漬させる

もち米をおかゆにする所から米飴作りは始まります。まずもち米を洗い水に浸して火が通りやすい状態にします。30分程水に浸しておきます。
② おかゆを炊く

もち米の水を切り、鍋に移します。初めに測った米の重量の5倍量の水を入れ、火にかけます。(中火)
煮立ってきたら弱火に落とし20~30分程炊きます。
③ 60℃まで冷ます

柔らかいおかゆが炊けたら、60℃程度までおかゆの温度が冷めるのを待ちます。ここで熱々の状態でモルトパウダーをを入れない事がポイント。熱すぎると麦芽の酵素が失活して甘くならない原因となります。
④ 麦芽を入れて混ぜる

60℃程度までおかゆの温度が下がったらモルトパウダーを入れていきます。ここで入れるモルトパウダーの量は多少増やしても大丈夫。モルトパウダーを増やすと出来上がりの米飴の色がより茶色くなり、甘さも増えますが、少しクセのある仕上がりになります。
⑤ 保温する

モルトパウダーをしっかりと混ぜると、どろどろとしていたおかゆのテクスチャーがさらさらの液状になっていくのが分かります。酵素がはたらいている証拠です。
ここからは保温を続けて時間を置くことでおかゆのでんぷんを麦芽の酵素が糖化していきます。
60℃近辺を保てるように保温していきます。
保温方法は様々な方法があり、熱を逃がしにくい鍋を使っているのであれば毛布などでくるみ、時々温度チェックして冷めているようであれば加熱しなおす…のような方法や、飯器の保温モードを使い保温も出来ます。
おかゆが60℃程度を保つように蓋を開けて布巾をかけて保温するなどしましょう。
ヨーグルトメーカーや低温調理器の場合
また、ヨーグルトメーカーや低温調理器をお持ちの方はそれらを使うのがおすすめです。
低温調理器使用の場合はおかゆをジップロック等の頑丈な保存袋に入れて保温してあげると良いです。
私はヨーグルトメーカーを使って作ることが多いです。

この保温工程がとても大事で、ここで高温にしすぎない・低温にしすぎない事がとても大事です。
この場合の高温とは、70℃以上・低温は40℃程度にする事にあたります。
酵素をしっかりとはたらかせるには最適な温度帯があり、今回のようにでんぷんを糖化させる場合は60℃近辺で保つ必要があります。
70℃以上にすると酵素がだんだん失活していきます。70℃になったから即失活!にはならないのですが、高温で保温を続けることで酵素が失活してしまい、甘くならない原因になります。
40℃近辺にするとでんぷんを糖化させる酵素がよくはたらく温度帯から外れている為、効果的に糖化が行われず、酸っぱくなる・雑菌汚染のリスクが出てきます。
同じ保温して作る麹の甘酒等と比べると、米飴作りは雑菌汚染のリスクが上がるので注意です。
40℃近辺は様々な菌が活発になりやすい温度…と思ってもらうと良いと思います。
⑥ 濾して、加熱する

8時間程度保温して、液が甘くなったら濾していきます。
晒や食品使用可の不織布等に糖化させたおかゆを入れて絞ります。
液体と、搾りかすに分ける事が出来たら、米飴にしていくのは液体の方です。
液を鍋に入れ、煮詰めていきます。

30~40分加熱して、とろみがついてきたら火を止めます。鍋底に線が書けるようになったら完成の目安。
⑦容器に移して出来上がり

清潔な保存容器に移して出来上がりです!
冷蔵庫で1か月程度、冷凍で3か月程度持ちます。
米飴の絞りかすの使い道

搾りかすは、私は焼き菓子等を作るときに一緒に混ぜ込んだり、肉そぼろ等を作るときに一緒に炒め混ぜて使ったりしています。
砂糖を米飴に置き換えるには
砂糖に置き換えて使うようであれば、大体砂糖の1.5倍~1.8倍量程を目安に置き換えてあげるのがおすすめです。砂糖と米飴はテクスチャーが違うので、はちみつやメープルシロップを使ったレシピ等の方が置き換えはしやすい印象があります。
お菓子やパン作りに使用する場合は、砂糖を全量米飴に置き換えると甘さが控え目に仕上がる傾向がある為、砂糖の半量を米飴に置き換えるなど、砂糖も併用した置き換え使用をおすすめします。
米飴の使い方

米飴が出来たらよく作るのが生姜を入れた冷やし飴・飴湯です。
コップに少しの生姜を入れ、そこに米飴、夏なら炭酸水・冬なら湯を入れてよく混ぜます。


【冷やし飴・飴湯の分量】
・米飴 ・・・30~50g
・生姜(しぼり汁の方が飲みやすい)・・・1~2g
・水・炭酸水・湯のいずれか ・・・約80ml
冷やし飴といえば関西の夏の風物詩。米飴があれば簡単に作れます。
冬はお湯で溶かした飴湯にしてほっこりといただきます。

他にも卵焼きの甘味として入れたり、大学芋の味付けに使ったり。
発酵あんこも米飴を入れて調味してあげると甘さがより深くなります。
主食のお米で作る甘味を日々に取り入れて
日本人はお米を主食とする民族なので、お米で出来た飴はすっと身体に馴染みやすいのかなと思っています。甘味は砂糖だけでなく、米飴を含め様々な甘味料があるので
上手く使い分けて毎日の食生活を充実させていけたら楽しいですよね。
米飴、是非作ってみてください!
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