こんにちは、洋菓子講師の舘野です。今回のコラムのテーマは「コンポート」です。
日本の果物はそのまま食べて美味しいように作られていますが、少量の砂糖と水で煮る「コンポート」にすると、果物の水分が適度に抜けて甘さに置き換わり、果物の味わいがくっきり感じられるようになります。
桃や洋梨で馴染みのあるコンポートですが、今の季節につくるなら「いちご」がおすすめです。
冬から春にかけて段々といちごの値段が落ち着き、小ぶりで値ごろないちごが手に入りやすくなります。ジャムにする方も多いかもしれませんが、今年はコンポート作りも楽しんでみませんか?
基本のいちごのコンポートの作り方とそのアレンジ、いちごミルクなど展開の楽しみ方を紹介します。
コンポートとは?ジャムとはどう違う
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まずはじめに、コンポートってなんでしょう?
コンポートはジャムと同様に旬の果物を長く楽しむために生まれた保存食ですが、ジャムとコンポートにはいくつかの違いがあります。
ジャムとは
ジャムは果物を刻んで砂糖と一緒に煮込み、果実が崩れるまで煮詰めます。ペクチンを加えたり糖を多めに加えたりすることで濃度をつけ、保存性を高めるために煮詰められています。
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コンポートとは
コンポートは果物を丸ごとまたは大きめにカットして砂糖やシロップで煮ます。軽く煮る程度なので、果実の形状は比較的残っています。
ジャムは果物を甘く煮た凝縮した味わい、
コンポートはそれよりも果物そのものの風味や食感を活かしたフレッシュな仕上がりが魅力です。
どんな果物がコンポートに向いている?
冬から春にかけてはいちごや柑橘、夏から秋にかけては桃、いちじく、ぶどう、りんごや洋梨など、基本的にはどんな果物も向いています。小さな果実はまるごと、大きなものは角切りや櫛切りにしてから煮ることもできます。
基本のいちごのコンポートの作り方
今回は生のいちごを使ったコンポートのレシピを紹介します。あまりカチッと決まったレシピではないので、作って、味見して、お砂糖やレモンの量は好みや用途に合わせて加減してください。
ジャムよりも使うお砂糖の量が少ないので、様子を見ながら数日で食べ切るのがおすすめです。
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1.いちごを軽く洗う(濡れたままでよい)ヘタの部分を包丁で切り落とし、小鍋に入れる。
2.レモン果汁、グラニュー糖を加えて和え、そのまま30分以上置く(砂糖が溶けてツヤが出る。砂糖が果物に馴染んでいることで、短時間で煮上げられる。)
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3.水を加える。鍋に蓋をして(またはアルミホイルをかぶせて)、中火にかける。沸いたら少し火を弱め(弱めの中火)時々ゆすりながら2分ほどそのまま煮る。シロップが赤っぽく色づけば火を止める。
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- 清潔な瓶などに入れ冷蔵庫で冷やす。
- 水分が少なめのレシピです。蒸発しやすいので蓋かアルミホイルは必ず使用してください。
- 使用したいちごは1個12gほどでした。大きないちごの場合は丸ごとではなく2〜3等分にカットしてください。
- レモン果汁は水に置き換えることもできますが、レモンの酸味によっていちごの味わいがハッキリと感じられます。
作った当日はいちごの中に水分が残っているので、みずみずしい果実と少しとろみのあるシロップが楽しめます。翌日以降はいちごの水分がシロップの方に移り、凝縮したいちご&サラサラとしたシロップに変化します。
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フレッシュなレモンに近い自然な酸味です。
てん菜糖はスッキリとした甘みで果物の美味しさを活かします。
コンポートのアレンジアイデアをご紹介
コンポートのアレンジも紹介します。好みに合わせて楽しんでください。
他のベリーと合わせて彩りを
いちごの一部をラズベリーやブルーベリーなど他の冷凍ベリーに置き換えると、見た目にもかわいらしく、奥行きのある色々なベリーの味わいが楽しめます。
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1.基本のいちごのコンポートの作り方と同様ですが、冷凍のフルーツは煮崩れやすいので、コンポートが出来上がってから最後に加えます。
2.加えたらすぐに火を止め、蓋をして予熱で2分ほど置いたらすぐに瓶などに移します。
3.冷凍ベリーは水分が出やすいので、仕上がり直後はシロップが少なく感じるかもしれませんが、次第にシロップのかさが増えてちょうどよくなります。
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洋酒を入れて華やかな味わいに
コンポートの仕上げに洋酒を少量加えると香りが出て、パティスリーのケーキを想起させるような華やかな仕上がりになります。
ベリー類はチェリーのお酒「キルシュ」との相性が抜群です。基本のいちごのコンポートにもおすすめですが、ラズベリーを加えるコンポートもおすすめです。
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ミックスベリーのコンポートと同様に作り、ラズベリーと一緒にキルシュも加えます。
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チェリーの華やかな香りにうっとりします。
おすすめの食べかた
コンポートはそのままで立派なデザートですが、いくつかおすすめの食べ方を紹介します。
コンポートのシロップは甘さ控えめなので、粉砂糖やはちみつなどと合わせて好みの甘さに調節してください。
パンケーキやワッフルに添えて
わたしのとっておきの食べ方はパンケーキのシロップ代わりにたっぷり添えて食べること。
生クリームも一緒にあれば、パンケーキの専門店さながらの満足感です。ワッフルやクレープなどにもぴったりです。
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ふわふわ&しっとりで素材のおいしさが引き立ちました。
甘く香ばしく、トッピングにおすすめです。
食パンやヨーグルトにたっぷりのせて
ジャムでも定番の食べ方ですが、コンポートはジャムよりも果実感があることが魅力。主に果実部をすくってたっぷりのせていただきましょう。グラノーラとも好相性です。
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色々なドリンクの割材として
果実部を使って残ったシロップは牛乳と割ればいちごミルクに。暖かい季節にはソーダ水や、大人の方はスパークリングワインなどで割っても最高においしいです。果実も少し潰して入れる飲み方もおすすめです。
閉じ込めた美味しさが日常を彩る
今、我が家の冷蔵庫には今回ご紹介したコンポートの瓶が並んでいます。さて、どんな風に食べようかと、とてもわくわくしています。焼き菓子のトッピングにも使いたいなと思っていますので、おいしいアレンジが見つかったらまたご紹介します。
▼合わせてチェック
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コラム執筆:舘野真里さん
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製菓学校を卒業後、食品メーカーでの企画開発を経て、富澤商店×クオカスタジオをはじめ各地で洋菓子講師・レシピ開発をしています。