こんにちは。TOMIZレシピ著者をしているちょりママです。
今月は徹底検証シリーズ。「白い砂糖とスポンジケーキ」について深堀していきます。
ホールケーキ、ロールケーキ、ベースとなるスポンジはなくてはならない存在です。今や冷凍スポンジケーキもおいしくてお世話になる方も多いと思います。
また、お菓子を作るときに欠かせない「砂糖」。白い砂糖といってもいろいろあり、その違いと適性を見極めるのが難しいものです。今回の検証で私が見えたもの。それは「使い方」と「好み」にあると分かりました。
さて、みなさんも白い砂糖におけるスポンジケーキの適性を探る旅に行きましょう~!
原料について知る
そもそものお話。砂糖は原材料によって何種類かに分類されています。
主に流通している砂糖では、甘藷糖と呼ばれる「さとうきび」を原料としたもの。「てんさい(砂糖大根)」を原料としたものでビート糖とも呼ばれています。これら二つの主成分はショ糖です。
砂糖そのものを深堀していくとスポンジケーキにたどり着けないので、原材料の砂糖についてはそのあたりまでにとどめておきましょう。
今回は三つの白い砂糖に重点に置きました。
左から上白糖、グラニュー糖(てんさい100%)、微粒子グラニュー糖です。
上白糖
日本で最も一般的な白い砂糖です。お菓子にというよりは料理に使う方が多いと思います。
製造の途中でビスコと呼ばれる転化糖液(ブドウ糖と加糖の混合物)が添加されます。甘みが強く、しっとりした手触りで水分に溶けやすいのが特徴です。
グラニュー糖(てん菜100%)
お菓子を作る家、甘い飲み物を飲む家には欠かせないであろうグラニュー糖。
結晶が大きく水分が少ない「ざらめ糖」の一種で結晶の小さいものを指します。今回はてんさいを100%で作られるものを使用しましたが、さとうきびが入ったものもあります。高純度であるため、甘みが軽く、くせがありません。
ちなみに角砂糖はグラニュー糖にシロップを加えて型抜きしたものです。
微粒子グラニュー糖
こちらはさとうきび、てんさいがブレンドされたグラニュー糖です。
バターや卵になじみがよいように微粒子となったもので、ここ数年とても人気の高い製菓用砂糖です。今ではこれ一本!という方もいるのではないでしょうか。
基本のスポンジケーキを焼いてみよう
スポンジケーキのレシピはたくさんありますが、私がお菓子作りを頻繁にするようになってから使っているレシピを紹介します。
バターを使わずに牛乳とこめ油で作ります。デコ型は15cmをご用意ください。
材料
- 分量:15cmデコ型1個分
- 薄力粉:60g
- グラニュー糖:60g
- 卵(M):2個(約110g)
- A
∟牛乳 15g
∟油 15g
∟バニラエッセンス 2~3滴
下準備
- 薄力粉はふるう。
- 卵は室温に戻す。
- Aを湯せんにかけて混ぜる。
- オーブンを160℃に予熱する。
- 型の底にバター(分量外)をぬり、敷き紙を敷く。 (又は型の底にバター(分量外)をぬり、薄力粉(分量外)を薄くまぶす)
- 卵をボウルに入れて軽く溶いてからグラニュー糖を入れる。湯せんにかけて泡だて器で混ぜる。生地が人肌に温まったら湯せんから外す。(Aを温めておく)
- 垂らしたときに文字が書けるほど(リュバン状)まで泡立てる。
※爪楊枝を立てても倒れないくらいの固さ。 - ふるった薄力粉を加え、ボウルを回しながら底からすくい上げるように、粉っぽさがなくなるまで(ツヤがでるまで)大きく混ぜる。
- Aをゴムベラにつたわせながら回しかけ、底からすくい上げるように大きく混ぜる。
※混ぜる回数は少なくするように。 - 下準備した型に流し入れて、上から2回程度叩きつけて余分な空気を抜く。
- 160℃のオーブンで約30分焼く。
- オーブンから取り出して型を上から落として熱を逃す。型から取り出し、天面を下にしてケーキクーラー(網)の上で冷ます。
- 冷めたら側面に敷き紙をやさしくはがし、底の敷き紙をやさしくはがす。
白い砂糖、三者の違いは?
レシピは同じで砂糖を変えたものを3つ作ってみました。
ホームベーカリーと違い、個体差はでますが、問題は食感です!定番のグラニュー糖からいってみましょう。
食感 ふわふわ感が強い 外観 一番高さが出た 工程 泡立ての感触は一般的 食味 ふわふわの食感が際立ってやさしい甘みを感じた とにかくふわふわで高さが一番ありました。
このまま食べたくなる。そう思った私もいました。お次は上白糖のスポンジケーキ。
食感 しっとり感がある 外観 適正な高さだった 工程 泡立ての感触に若干の重みを感じた 食味 甘さを一番感じた 料理や和菓子なら上白糖使うわ!という一般的な見解に反した上白糖のスポンジケーキ。
時に、スポンジケーキは上白糖ではできないのか?という疑問を持つこともありますよね。最後は近年の圧倒的な人気を誇る微粒子グラニュー糖です。
食感 しっとり感と適度な重みがある 外観 スポンジケーキ本来のサイズ 工程 泡立ちが一番良く、リュバン状になるまでが一番早かった。 食味 バランスが良かった 食感、外観、工程のスマートさ、とてもバランスの良さを感じました。
スポンジケーキで使うならどれ?
スポンジケーキは、本来デコレーションの土台であり、生地の食感はしっとりさ、適度な重みがあると、トッピングとのバランスがよくなります。
シフォンケーキやロールケーキのように生地を食べるものとは少し違い、スポンジのおいしさはケーキ全体のおいしさに含まれますが、あくまで縁の下の力持ち的存在であるのがベストですよね。私が思うところの見解ではありますが、
スポンジケーキはしっとりさがほしい!甘さを強く感じるよりも、控えめさが欲しい。
そんな主観からスポンジケーキは「微粒子グラニュー糖」がおすすめということになりました。ホイップの量が少ない、スポンジの周りはクリームでナッペしない。
そんな時があれば、てんさい100%のグラニュー糖もありだと思います。
また、いも栗かぼちゃなど、重みのあるトッピングであれば、スポンジに重みがあってもよいと思うので、上白糖という選択肢もあると思いました。いかがでしたでしょうか。
白い砂糖といっても一緒くたにできないことが分かりました。
ご自宅で食べ比べするもよし、これを参考に砂糖を変えてスポンジケーキを楽しむもよし。みなさんもぜひご自宅で楽しんでみてくださいね。みなさんのTOMIZライフのお役に立てるとうれしいです。
TOMIZちょりママレシピも合わせてどうぞよろしくお願いします!コラム執筆:ちょりママさん
料理家 西山京子(ちょりママ)
公式Webサイト
この著者のレシピ一覧
フードコーディネーター・調理師・食生活/食育アドバイザー。「子どもも大人も一緒のごはん」をコンセプトに簡単レシピを発信。
企業レシピ・メニュー開発、書籍出版のほか、フードスタイリング、食育活動も多数。