こんにちは。洋菓子講師の舘野です。今回のコラムのテーマは「カヌレ型」です。近年人気のカヌレ 、みなさん焼いたことはありますか?
カヌレは実に多様な型があり、富澤商店でもたくさん取り扱っています。今回は4種類のカヌレ型で実際に焼き比べをし、型離れ、型の扱い易さ、カヌレの味わい、見た目などを比べました。カヌレに挑戦してみたい方や、ステップアップしたい方のヒントになればと思いますので、ぜひ読んでみてください。
ちなみにわたしはカヌレ初心者で、焼いたのはほぼ初めてです(遠い昔に製菓学校の授業で焼いて以来です。)なんとなく「失敗しそう」「専用型のハードルが高い」という思い込みが強く、購入して食べる専門でした。でも、今回の焼き比べを通して「カヌレ作りは難しくない!」と実感しましたので、カヌレ初心者の方もぜひ挑戦してみてくださいね。
カヌレってどんなお菓子?などカヌレについての詳しい説明はぜひこちらのコラムをご覧ください。
比較検証する4種の型について
型の名称 | 材質 | サイズ |
千代田金属 カヌレ12個型 | ブリキメッキ鋼板(内側にシリコンコート) | 直径45×高さ45mm |
銅カヌレ型 小 | 銅(内側に錫メッキ) | 直径45×高さ45mm |
アルミカヌレカップ | アルミ箔 | 直径48×高さ40mm |
CHEF MADE カヌレ天板6個取 | スチール(内側にシリコンコート) | 直径55×高さ50mm |
型の材質はそれぞれ異なっており、大きさは④のCHEF MADE型だけ他の3種類よりも少し大きめです。
サイズの直径は型の上部内寸を測りました。
登場する型をご紹介します。
カヌレの焼き比べ
早速、4種類の型でカヌレを焼き比べてみます。こちらのレシピで作成しました。
項目を分けてそれぞれ結果を紹介します。
型離れ
型にはポマード状のバターを刷毛で1度うすく塗布しました。千代田金属型、銅カヌレ型、CHEF MADE型はするりと良好な型離れでした。
アルミカヌレカップのみ、バターを2度多めに塗布しました。焼成後、やや引っ掛かかる箇所がありましたが、竹串でサポートすれば外れました。他の型と同じようにバターを1度うすく塗ったものは型から外れませんでした。
見た目
大きさが近い千代田金属型、銅カヌレ型、アルミカヌレカップは生地量40g、 CHEF MADE型は生地量60gで作りました。
千田金属型は型の底径が小さいためかスッとスタイリッシュな仕上がりです。
銅カヌレ型は安定感のある王道の形です。
アルミカヌレカップは型のひだが緩やかなこともありコロンと可愛らしい印象です。
CHEF MADE型はひとまわり大きいので存在感があります。
味わい・食感
同じ焼成条件(焼成温度・焼き時間)で焼き、2時間後に試食しました。
今回は型にバターを塗布したので「カリッ」とした食感は焼いて数時間限定ですが、どの型も外側はカリッと、内側はもちっと美味しく焼けていました。比較した際の違いを紹介します。
千代田金属型は外側のカリッと感を他よりも強く感じました。内側はもっちりとわずかに弾力を感じます。スッと縦長の形状なので火の通りが良いことに起因していそうです。
銅カヌレ型も外側と内側のコントラストをはっきり感じました。千代田型と比較すると内側はややソフトに感じました。
アルミカヌレカップはバターを多めに塗布したことで外側にややカラメルのようなサクサクとした香ばしさがあります。内側はいちばん弾力を感じました。
CHEF MADE型は他の3種に比べて大きいので相対的に内側の部分が多く、一番ソフトに感じました。かといって、外側のカリッと感が弱いわけではありません。
*結果は型の違いだけではなく焼成条件にも起因します。異なる材質の型を使って同じ条件で焼いた場合の結果として参考にしてください。焼成条件を変えることで結果は変わります。
型の扱い易さ
千代田金属型は比較的小ぶりで溝のデザインもしっかり作られているので、焼成後は丁寧に洗い、水滴の残りがないように乾かす必要があります。
銅カヌレ型も同様です。尚且つ、購入後の初回は空焼きをする必要があります。
アルミカヌレカップは使い捨てとすると洗浄の手間がないのでとても手軽です。
CHEF MADE型は1個のサイズが大きい分、洗い易く拭き易いので少し気軽に感じました。型自体も重量感がなく扱いやすいです。
それぞれの型のおすすめポイント
千代田金属型 ~ 美しいカヌレを焼きたい方に ~
さすがの千代田金属型!美しい焼き色とスタイリッシュな美しいフォルムです。
12個取の型なのでお安いわけではないですが、他の材質のカヌレ型と比較すると購入しやすい部類に入るのかなと思います。型自体にも重みがあり、しっかりと熱を保持し良いカヌレが焼けます。
商品のクチコミ欄を見ても満足のコメントがほとんど。
クチコミ欄にあった言葉で共感したのが「ビギナーの方ほど良い型で作ると失敗なし!」というもの。きっと色々なレシピでカヌレを極めたくなるはずです。
▼合わせてチェック
千代田金属 カヌレ12個型 / 1個
本コラムに登場の千代田金属のカヌレ型はアウトレット品の販売もございます。
※アウトレット品の詳細と在庫状況は商品ページからご確認の上、ご購入ください。
銅カヌレ型 ~ 本格的なカヌレを焼きたい方に ~
まさしく王道の仕上がりです。銅は熱伝導が良く熱の保持力も高い為、カヌレの独特な食感を出すのに最適の材質で、フランスでの伝統的な製法で使われているのも銅の型です。そして「蜜蝋」はシリコンコートをした型には使用できないので、外側のカリッと感が長持ちする蜜蝋を塗った王道カヌレを焼いてみたい方にはぜひおすすめです。
蜜蝋を使ってみたい方にはフルール型もおすすめです。
アルミカヌレカップ ~ まずは試してみたい方に ~
アルミカップでカヌレが焼けるのかな?と思ったのですが…美味しく焼けました。カヌレの溝はアルミのプリーツで表現されているので王道の見た目とは少し異なりますが、十分「カヌレ」のルックスです。
事前にバターを2度塗りすること、型外しを丁寧に行うことが必須ではありますが、お手頃価格でカヌレが焼けるのはうれしい限りです。
CHEFMADE型 ~ 気楽にカヌレを楽しみたい方に ~
1個のサイズが大きめなのでバターが塗りやすく型の洗浄もスムーズ。型の大きさ・重さも適度なので扱いがとにかく楽だなと気負わず楽しく焼けました。とはいえ仕上がりは他と比べて遜色なく美しく美味しく焼けています。少し大きめ(1.5倍)なので、内側部分の食感がお好きな方にもおすすめです。
小さめのサイズもあり、こちらですと千代田金属型などよりも一回り小さめのサイズです。
カヌレのラッピングはこちらの特集ページを参考にしてください。富澤商店で取り扱っているカヌレ型の大きさの比較画像もありますので、参考になると思います。
型を選ぶ事から「カヌレ作り」を楽しむ
焼き比べをして、そしてコラムにまとめながら「私ならどの型を買うかな〜」と迷っていました。千代田金属のカヌレ型を持っている友人が焼いてくれたカヌレがとても美味しかったので、私も購入して自分なりのレシピを極めたいなと思いつつ、蜜蝋にもチャレンジしたいのでフルール型もいいかな、ここは思い切って銅型?など迷う時間も楽しいけれど…そろそろ決めたいと思います。
どの型にもオススメできるポイントがありましたので、このコラムが皆さんのカヌレ型選びの参考になれば幸いです。
▼合わせてチェック!
コラム執筆:舘野真里さん
製菓学校を卒業後、食品メーカーでの企画開発を経て、富澤商店×クオカスタジオをはじめ各地で洋菓子講師・レシピ開発をしています。