本格ボンボンショコラに挑戦!型抜きショコラの作り方と失敗しないコツ

お菓子作り

こんにちは! お菓子教室主催の熊谷裕子です。

今回はちょっと本格ショコラに挑戦したい!という方におすすめ、型を使ったボンボンショコラについて詳しくご紹介します。ちょっと頑張れば、お家でもショコラティエみたいな艶やかとろーりショコラが作れます!

合わせて前回のコラム「美しいボンボンショコラを作るには?決め手となるテンパリングの基本」もご覧ください。

型抜きショコラとは?

型抜き(ボンボン)ショコラ・ムーラージュ  いつかこんな本格ショコラにトライしたい!

型抜き(ボンボン)ショコラ・ムーラージュとは、ここでは専用の型を使って中にフィリングを閉じ込めたボンボンショコラのことを指します。
型にチョコレートを流して固めるだけでも型抜きショコラですが、フィリングが入ることでさらにワンランクアップの本格チョコレートになります。

型にテンパリングしたチョコレートを流し込んでケースを作り、フィリングを詰めてからまたチョコレートで蓋をして作ります。フィリングはガナッシュやプラリネペースト、フルーツジュレ、ナッツなど幅広く、それを1種のみ、または組み合わせることで無限にバリエーションが広がります。

フィリングに合わせて外側のチョコレートの種類(ビター、ミルク、ホワイトなど)を替えたり、市販されているさまざまな形状のチョコレート型を選んだりとデザインも自由自在。プロレベルになると専用の着色でカラフルに仕上げたりとまさに「セピア色の宝石」です。

型で作るので、ガナッシュをカットしてチョコレートをコーティングするタイプや、ガナッシュを丸めてチョコレートでコーティングするトリュフに比べて形がそろって美しく仕上がり、やわらかなフィリングも閉じ込めることが可能なので、より高度で本格的なボンボンショコラになります。

ただしやはり難易度はちょっと高めになるので、まずはシンプルな形のものから、フィリングも1種、テンパリングもしっかりマスターして、と基本形からトライするのがおすすめです。

型抜きショコラ作りに必要な道具は?

ボンボンショコラ作りに必要な器具たち

ショコラ専用の型は、ポリスチレン製、ポリカーボネート製などのしっかりと固いタイプのショコラ専用型を使います。シリコン製のものはやわらかく、フィリングを詰めるショコラには向きません。

スクレイパーまたは三角へらなどは、余分なチョコレートをすり切ったり、型をたたいて振動を与えたりする際に使います。

その他テンパリングに必要なボウルやゴムベラ、温度計、クッキングシートなども用意してください。

型抜きショコラの作り方【動画解説付き】

まずは基本の型抜きショコラの作り方の流れを押さえましょう。どの作業もテンパリングしたチョコレートの温度が下がって固まってくる前に手際よく作業するのがポイントです。

1.チョコレートのケースを作る

チョコレートをテンパリング(温度調整)※する。
※前回のコラム「美しいボンボンショコラを作るには?決め手となるテンパリングの基本」参照

型の内側にすりこむように薄くチョコレートを塗る。こうしておくことで出来上がりが艶やかで気泡(穴)のない表面になる。

型にチョコレートを流し込む。
型のふちまで埋まる程度の量を流し、台に軽く叩きつけて気泡をぬく。

型を逆さにしてサイドを軽く叩き、振動を与えて内側の余分なチョコレートを落とす。余分をよく落とすことでケースが薄くなります。

下を向けたままふちをスケッパーやスクレイパーですり切りにし、さらに表に戻して完全に余分なチョコレートをすり切る。

ケースの完成。
そのままチョコレートを固める。
この際、温度変化の少ない15度程度の温度で固めるのがおすすめですが、家庭ではそうした環境を取ることが難しいので「冷蔵庫で固めること」がおすすめです。この後の固める作業は全て同様です。

▼チョコレートのケース作りの流れを動画でご紹介

型の全てを一度に作ろうとせず、数列から作りましょう。

2.フィリングを詰める

ガナッシュなどのフィリングをふちの2~3mm下まで平らに詰める。一晩冷蔵庫に入れて冷やし、しっかり中までフィリングを固める。

3.チョコレートで蓋をする

テンパリングしたチョコレートをフィリングを覆うように絞る。台に軽く叩きつけて気泡をぬく。

そのままふちをスケッパーやスクレイパーで余分なチョコレートをそぎ取り、ふちすり切りにする。そのままチョコレートを冷蔵庫で固める。

板をあてて型を逆さにし、軽く台に叩きつけてからそっと型抜きする。完成!

▼チョコレートで蓋をする流れを動画でご紹介

▼詳しいレシピはこちらのレシピから

デコレーションとバリエーション

基本形がきれいに作れるようになったら、金箔や金箔スプレーでデコレーションしたり、ガナッシュを2層に仕上げたりするのもおすすめです。

フィリングを2層にする場合は、1層目を流して一度冷やし固めてから、2層目を流すようにしましょう。

型抜きショコラの作り方のポイントは?

テンパリングを確実に

艶やかなショコラづくりにはテンパリングが大事

まずは何をおいてもテンパリングを確実にすることです。きちんとテストをしてから作りましょう。テンパリングがうまくできているとチョコレートは収縮し、型を逆さにして軽くたたくだけでポロポロと出てきます。テンパリングができていないと逆さにしても叩いても型から出ず、思わぬ苦労をしてしまいます。また型から出した後にもブルーム(白く表面に浮き出てくる)が出てしまうことも。艶やかでスムーズに型抜きできるために、しっかりとテンパリングはマスターしましょう。

手際のよい作業が大事 ~ 慣れないうちは少しずつ ~

テンパリングしたチョコレートはすぐに結晶化が進み、みるみる固まってきます。特に型に薄くついたチョコレートはすぐに固まってくるので、ケースづくりの時に手際よくしないときれいにふちがすり切れなかったり、厚みのあるケースになってしまいます。初心者さんは型の全部をいっぺんにケースづくりするのは少しハードルが高いといえます。
上記のプロセスのように最初は2~3列ずつ、または半面ずつからトライするのがおすすめ。そのあと型の逆側でまたケースを作り…と、「少しずつから挑戦」しましょう。蓋をするときも同様です。

まずは半面でケースづくり。
型の向きを変えて残りのケースを作る。

ガナッシュの温度と量

中に詰めるフィリングのガナッシュは、出来立てはまだ温かいため、そのまま流すとチョコレートのケースが溶けてしまいます。必ず冷ましてから流しましょう。
30度程度に冷ましてからケースに注入しますが、あまり温度が下がると濃度がつき過ぎ、空洞が出来やすくなったり平らに流し入れるのが難しくなるので、冷やしすぎないようにします。

「冷めているけれど、さらりとしている」状態になるよう、温度と濃度を調整しましょう。
また、流し入れる量が多すぎると、蓋をする際にあふれてしまうため、ふちより2~3mm下を目安に流し入れてください。

蓋をするときはフィリングを完全に固めてから  

蓋をするときにフィリングが液状だったり表面しか固まっていなかったりすると、チョコレートで蓋をするときにあふれてしまうことも。しっかり半日から一晩かけて、ガナッシュを固めましょう。

その上で蓋をする作業をとる際は、冷蔵庫から出してすぐは型自体が冷たく、蓋のチョコレートをすり切る前に固まってしまうので、必ず型を室温に戻しましょう(場合によってはさっとドライヤーで室温に戻すこともあります)。テンパリングしたチョコレートで蓋をするので、もちろん手早く手際よく作業することも大切です。

型抜きショコラ 失敗と対策Q&A

型から外れない

裏返して軽く叩いても全部、または一部出てこないときは、テンパリングが正確にできていなかったのが原因です。きちんとテンパリングされたチョコレートは冷えると収縮し、型からはがれやすい状態になるはずです。テンパリングのプロセスを確認し、必ずテストをしましょう。また作業中にドライヤーで温めなおしたときにも、熱風を当てすぎるとテンパリングが壊れることも。

それでも出ない!どうしよう!とにかく出さなきゃ!というときは、もう一晩冷蔵庫でおいてみる。
それでもだめなら(本当はショコラには良くないのですが)冷凍庫で冷やしてみてください。

ブルーム(白い筋状のもの)が出た

やはりテンパリングが正確でないとブルームが出ることも。特に最後に温度を上げすぎるとブルームが出やすくなります。また、型抜きしたショコラを冷蔵庫にむき出しで入れたり、湿気の多い場所に放置したりすると、水滴が付着し、ブルームの原因になることがあります。ブルームは時間が経ってから出てくることもあります。

蓋をしたらガナッシュがはみ出た

ガナッシュを詰めたらチョコレートでシーリングをし、しっかりと「蓋」をしてガナッシュを密閉させますが、ガナッシュの量が多いと何度蓋をしてもガナッシュがはみ出てきてしまいます。ガナッシュを絞るときはなるべく平らに、ふちの下2~3mmまでに。

チョコレートのケースが厚い

チョコレートのケースが厚いと、ガナッシュがあまり入らない、噛んだとき固く感じる、ガナッシュが先に溶けてしまい、あとまでチョコレートのケースが口の中に残る・・・ということに。

チョコレートはテンパリングをこわさない程度になるべく温度を上げてさらりとした状態にし、手際よい作業を。のんびりな作業だとチョコレートが固まってきて、ケースが厚くなります。初心者さんは最初は2~3列ずつ、または半面ずつからトライするのがおすすめ。

蓋部分がデコボコに

ガナッシュを冷やし固め、チョコレートで蓋したとき、型が冷たいとチョコレートが見る間に固まってきて、きれいにすり切れず、デコボコに。30分ほど室温に戻してから蓋をします。

作ったボンボンショコラの保存と食べごろは

においがつかないよう、密閉容器に重ねないで並べて入れ、さらに密閉袋に入れて保管します。
理想的には温度変化のない環境で温度15度くらい、湿度50%以下で保存するのがよいですが、家庭では難しいので野菜入れの奥などがおすすめ
チルド室や氷温室は温度が低すぎ、室温に出したときにチョコレートの表面に水滴がつきやすくなります。家庭で作って保存するなら、10日程度で食べきるのがおすすめです。

ケース・蓋用にテンパリングした際に残ったチョコレートは使える?

少量でテンパリングすると、温度を上げすぎてしまったり、すぐに固まり始めて何度も温め直す必要が出たりと、かえって加減が難しく、作業性が悪くなりがちです。
ある程度多めの量でテンパリングし、余ったチョコレートは、前回のコラム「美しいボンボンショコラを作るには?決め手となるテンパリングの基本」を参照して保存しておけば、次回のテンパリングや、ほかのチョコレート菓子作りにも活用できます。

お家でも本格ボンボンショコラに挑戦してみよう

いかがでしたか?型抜きショコラはちょっぴり難易度高めですが、ワンランクアップなボンボンショコラをお家で作れたら素敵ですよね。ちょっと頑張ってぜひおいしい本格ボンボンショコラを完成してみてください。

▼合わせてチェック!

テンパリングの手法にはさまざまな考え方があります。
本コラムの内容は熊谷先生の個人的な見解の一つとして参考にしていただき、ご自身に合った方法を選んでいただければと思います。(富澤商店スタッフ)

コラム執筆:熊谷裕子(くまがいゆうこ)先生

熊谷裕子(くまがいゆうこ)先生
熊谷裕子(くまがい ゆうこ)

葉山「サンルイ島」横浜「レジオン」世田谷「ル・パティシェ・タカギ」を経て、神奈川・中央林間でお菓子教室「クレーヴスイーツキッチン」主催。 文京区 にて「アトリエルカド」 も開講。著作に「デコレーションテクニック」「チョコレート菓子のテクニック」など多数。

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