発酵かごとは?ザルで代用できる?カンパーニュで比較実験

商品紹介

こんにちは!オフィシャルクリエイターのけいちょんです。

気温が下がってきてお家でのパン作りが捗る季節。この季節はハードパンや折り込みパンに挑戦したいと思っている方も多いのではないでしょうか。
そんなハード系パンを焼くときに一度は気になる道具が「発酵かご 」

カンパーニュなどを焼くときに、粉を振ったかごに生地を入れて発酵させているあの姿、見たことはあるけど「自宅では必要?」「ザルでも代用できそう?」と気になった方も多いのではないでしょうか。
今回は私の人気レシピ「基本のイーストカンパーニュ」を例に、発酵かごを使うメリットと、金属製ザル、プラスチック製ザルを使った場合の違いを実際に焼き比べて検証してみました。
驚きの結果をぜひご覧いただき、カンパーニュ作りのヒントにお役立てください。

▼検証レシピ

発酵かごとは?

発酵かご(バヌトン)

発酵かごは、カンパーニュなどハード系パンの二次発酵に使うとうなどで編まれた専用のかごのことで「バヌトン」とも呼ばれます。代表的なオーバル型・丸型を始め、様々な形があります。

この発酵かごはハードパンならではの高加水な柔らかい生地を支えて均一に発酵させることができる道具です。

粉を振ることで表面に独特の美しいスジ模様が残るのも特徴で、使われている籐が余分な水分を吸い、クラスト※にハリを与え、ハード系パンの仕上がりをワンランク上げてくれる頼もしい存在といえる道具です。(※クラスト=パンの外皮の部分)

▼富澤商店で購入できる発酵カゴ

ザル2種と発酵カゴで焼比べ

左から金属ザル、プラスチックザル、発酵カゴ

ザルでの代用はできるのか?金属製ザル・プラスチック製ザル・発酵かごで実際に焼き比べをしました。

冷蔵庫発酵で比較

左から金属ザル、プラスチックザル、発酵カゴ

レシピの3倍量で仕込んだ生地を3分割し、レシピ通りに冷蔵庫発酵を行いました。その際に手持ちの金属製ザル・プラスチック製ザル・発酵かごを使用し、レシピ通り不織布を敷いて生地を入れ食品用のキャップ式カバーを(シャワーキャップ様のもの)を被せました。
それぞれカゴのサイズは大きく違わないようにし、生地量は均等です。
写真はどれも左から金属製ザル・プラスチック製ザル・発酵カゴの順に配置しています。

発酵完了(クープ入れ前)の様子

左から金属製ザル、プラスチックザル、発酵カゴ使用

どれも発酵自体は問題なく進んだように見えますが、金属製ザルは表面がやや乾き気味でした。プラスチック製カゴで発酵した生地はベタつきがあり不織布を剥がすときに他のものに比べてくっついており、表面には水分が浮いた状態でした。発酵カゴはレシピ通りしっかりと発酵完了していました。

焼き上がり、クープの状態

左から金属製ザル、プラスチックザル、発酵カゴ使用

クープはどれも開きましたが、金属製ザルは発酵カゴに比べ開きが少なく、クープの端がすぐに割れてしまいました。これは二次発酵中に生地表面が乾燥してしまったためと考えられます。
プラスチック製ザルはクープが他の2つに比べて入れにくく、明らかに生地表面が柔らかい状態(水分が多い状態)でした。そのためクープがうまく入っていなかったのか、くっついてしまったのか、半分はあまり開きませんでした。
発酵かごはクープが入れやすく、生地に程よく張りがありいい状態でした。写真で比較するとクープの開きも他の2つに比べるとかなり大きく開いたことがわかります。

焼き色と内層

左から金属製ザル、プラスチックザル、発酵カゴ使用

一見、どれもよく焼けているように見えますが金属製ザルで発酵させた生地は他のものよりも3分早くオーブンから取り出しました。というのも、スチームを切った頃から焼き色がつくのが早く、残り3分の時点で色づきが十分でこのまま焼くと焦げる可能性があったためです。内層を見る限り、発酵自体は悪くありませんでした。香りも香ばしいより少し蒸れたような香りを感じます。
おそらくクープの状態同様にザルの表面が網目状で生地が乾きやすく、乾燥してしまったことで色づきが早かったと考えられます。

それに反してプラスチック製ザルは色づきが一番悪かったです。おそらく生地表面の水分量が多かったこと、それにより生地自体が緩くなり、発酵が他のものより早く進んだためだと考えられます。内層は過発酵には見えませんが、他の2つに比べ良くも悪くも柔らかい焼き上がりになりました。また、やや酸味を感じました。

発酵かごを使用したものは、色づきやクラストの香ばしさも程よく、くパリッと焼き上がりました。写真では分かりませんが、表面はしっかりパリッと焼けているのに押すとふんわり感も感じられます。
特に金属製ザルと比較すると、クラストが薄めで食べやすいです。

冷蔵庫発酵の場合の比較まとめ

金属製ザル

生地が乾燥したことにより焼き色がつきやすくなり、短めに焼いたことでしっかりと焼き切れず、クラムがややねっちりとした食感に。また、香ばしさよりもやや蒸れたような香りが残る印象でした。

プラスチック製ザル

冷蔵庫発酵中に水分調整がうまく行われず生地が柔らかくなり発酵が進みすぎた可能性があります。
その結果、クープが入りにくく半分はうまく開きませんでした。焼成後も生地が切りにくく、風味は少し酸味を感じる仕上がりになりました。また、他のものよりも焼き色が薄く見た目も淡い印象に。

発酵かご

適正に発酵し、理想的なカンパーニュらしい姿に焼き上がりました。食感はカシュッと軽いハードパンらしさがあり、麦の香ばしい香りも抜群です。
薄めのクラストは、特にトーストするとサクッと歯切れ良く軽くて食べやすいです。

常温発酵での比較

左から発酵カゴ、金属製ザル

同じレシピを常温で1時間半発酵した場合も比べてみました。
発酵の便宜上、発酵カゴと金属ザル2種類での比較です。発酵完了までの時間は差がなく、どちらもスムーズに進みました。

発酵完了(クープ入れ前)の様子

発酵かごは粉を振った生地が綺麗に丸く安定して発酵し、カゴから生地を出す時もスムーズに取り出すことができ綺麗な模様がついていました。

金属製ザルは発酵具合こそほぼ同じでしたが、生地を取り出す際にザルにくっついてしまいました。
その影響で表面の張りが失われ、クープがうまく開きませんでした。ザルの編み目模様が残っており、発酵カゴと比較するとどこか垢抜けない印象になりました。

焼成後の比較

左から発酵カゴ、金属製ザル

発酵具合はほぼ同じでしたが、クープが開かなかった金属製ザルの方は内層も詰まって仕上がりました。一方、発酵カゴを使用した方は内層も気泡が満遍なく入り軽い仕上がりになりました。

今回の焼き比べから見えた「発酵かごを使うメリット」

ザルでも二次発酵自体は可能で、条件をそろえれば美味しいカンパーニュを焼くことができます。

ただ、冷蔵庫発酵では発酵中の水分調整が難しく、常温では生地がくっつきやすいなど安定した仕上がりにするには工夫が必要になります。また、それに伴い生地を扱うテクニックや発酵の見極めも必要だと感じました。

一方発酵かごは、余分な水分を自然に吸ってクラストにパリッとしたハリを出すことができ、クープも綺麗にひらきやすいと感じます。また、ハードパンらしい見た目と食感を自然に引き出してくれるのが大きな魅力です。もちろん、発酵かごがあれば必ずクープが開くということではなく、発酵の見極めや生地の扱い方は重要なポイントであることは違いません。

もし理想的なカンパーニュを目指すなら、発酵かごがあると心強い存在だど今回の焼き比べ検証で再確認しました。ひとつ持っておくだけで、仕上がりも作業のしやすさもぐんとアップします。

私のおすすめはオーバル型。生地表面を張らせやすく、クープも一本で開きやすいこと、保管や発酵の際に場所を取らないところが気に入っています。初心者の方でも導入しやすく、パン作りも楽しめるポイントだと思います!

今までクープがうまく開かずに悩んでいた方、ハード系パンをより本格的に楽しみたい方は、ぜひ一度発酵かごの力を体感してみてください。クラストのパリッと感も、麦の香りも、きっとワンランク上のカンパーニュに仕上がりますよ。

コラム執筆:けいちょんさん

けいちょんさん
けいちょんさん

イーストだけでなく数種類の自家製酵母を使い、完全独学ながらお家で作れる「簡単だけど本当に美味しい家族が喜ぶパン」を日々研究中です。

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