こんにちは。富澤商店オンラインショップでレシピ著者をしているちょりママです。
今月はずっと前から知ってはいる。使ったこともあるのに、使い分けができてない「粉糖」について深堀していきます。
粉糖にもいろいろな種類があって、ちょっとした違いにも理由があります。その疑問、いっしょにスッキリさせてみませんか?
さあ、真っ白な世界を旅してみましょう~!
粉糖とは?

粉糖とは、グラニュー糖や白ざら糖など、純度の高い砂糖を細かく粉砕したものです。
市販品には固まりを防ぐため、少量のコーンスターチ(または他のでんぷん)を加えているタイプもあります。
「粉(パウダー)になった砂糖(シュガー)」ということから「パウダーシュガー」とも呼ばれています。

グラニュー糖や上白糖の代わりに生地に加えてみたり、仕上げに振ってみたり。
粉糖を振るだけでおいしさの見た目もアップしますよね。
4種類の粉糖について、水で溶いた違い
富澤商店で取り扱っている4種類の粉糖について調べてみました。
さらに、各種粉糖50gを水10gで溶いてその違いを比較してみました。
① 粉砂糖

「粉糖」と謳っているものには他の原材料が入っていることがあります。こちらはグラニュー糖の他、粉末水飴が入ってます。
固まりにくくさせるための知恵でしょうね。時間が経って固まってしまった場合は、茶こしを通すとサラサラのパウダー状に戻ります。水で溶かしてみると、水分とよく混ざり合います。しばらく経つと表面が固まってきました。
②純粉糖

「純」というだけあり、グラニュー糖100%で作られている粉糖です。
繊細なマカロンなどを作るとき、不純物を入れたくないときに使用するのがおすすめです。
「マカロンの表面がひび割れてしまう…」というお悩みを解決する糸口になるかもしれません。
粉糖よりも固まりやすいのを感じます。粉糖同様に固まった場合は茶こしで通すと問題なく使用できます。
水に溶かしてみると、水分とよく混ざり合います。
しばらく経つと表面が固まってきましたが、粉砂糖よりもゆるさを感じました。
③溶けない粉砂糖

振りかけた後に食材に馴染まないように作られたトッピング用粉糖です。溶けない粉砂糖は「泣かない粉砂糖」とも呼ばれることがありますが、「馴染まない=泣かない」。そんな風に言い換えた人は天才かなと思います。
グラニュー糖、でんぷん、に加えて粉末状の食用精製加工油脂が入っています。
この粉末状の油脂が配合されていることにより、果物や生クリームの上からかけても水分に馴染むことがなく、そのまま残ってくれる。要するに「水分に溶けない粉糖」ということです。
テクスチャ―は粉砂糖や純粉糖より、サラサラ感が強いです。実際に水を加えてみると全く馴染みませんでした。むしろ水を弾いてしまい、唯一馴染んだところは粉糖と合わさって小さな塊になりました。
水分と馴染まないので、グラニュー糖や上白糖の代わりとして溶けない粉砂糖を使ったクッキー作りはできないということが分かりました。
一点注意なのは、水分には溶けませんが、「熱には溶ける」ので、焼き立ての生地などにかけると溶けてしまいます。溶けない粉砂糖でのお化粧は、生地が冷めてからにしましょう。
➃プードル・デコール

何やらおしゃれな名前でどう使っていいのか分からないという方も多いことでしょう。(私もその一人です)
プードル・デコールはジャンルでいえば「溶けない粉砂糖」と同じです。
仕上げに使用するトッピング用粉糖で、乳白色でナチュラルな白さです。溶けない粉砂糖よりも粒子が細かいのが特徴で、プロが使用するトッピング用粉糖としても人気です。
水を加えてみると溶けない粉砂糖同様、全く馴染みません。溶けない粉砂糖との違いは、溶けない粉砂糖よりは水でまとまった箇所が少しありました。粒子が細かいゆえの馴染みでしょうか。
溶けない粉砂糖同様、熱には溶けるので振りかけるタイミングは生地が冷めてから使いましょう。
グレイズで仕上がりを比較 ~粉砂糖と純粉糖~

水で溶ける「粉砂糖」と「純粉糖」を、ドーナツのコーティング『グレイズ』で違いを比較してみました。
【グレイズの配合】 各種粉糖50gと水10g
▼結果
粉砂糖(左):5分ほど経つと表面が乾く
純粉糖(右):5分ほと経つと表面が乾く・粉砂糖よりもパリッと感がある
▼余談:牛乳で溶いたグレイズはどうなるのか?

余談ですが、粉糖を水と牛乳で溶いた場合も比較してみました。
粉糖+牛乳(右)は、水で溶いた時と乾く時間は変わりませんが、やや白っぽくなります。
写真では伝えにくい部分ですが、個人的には牛乳で溶いた方がコーティングがやや薄づきに仕上がる印象です。
アイシングで仕上がりを比較 ~粉砂糖と純粉糖~

次に「粉砂糖」と「純粉糖」を、クッキーの『アイシング』で違いを比較してみました。
【アイシングの配合】 各種粉糖60gと水10g、レモン汁少々
▼結果
粉砂糖(左):5分ほど経つと表面が乾く
純粉糖(右):5分ほと経つと表面が乾く・粉糖よりもゆるい為ダレやすい。
純粉糖のアイシングは何故ダレやすいのか?
前記の粉糖4種についてでご紹介したように、粉砂糖には「でんぷん」が配合されています。
身近なもので分かり易いものですと、「片栗粉」はお料理の際にとろみ付けに使いますよね。
でんぷんは水と混ざると、とろみをつけたり、粘度を上げたりする働きがあります。
そのため、粉糖でアイシングを作ると、でんぷんが余分な水分を吸ってくれるので、自然と固めの質感を保ちやすいのです。
一方、純粉糖は砂糖だけで出来ているため、とろみをつける要素がありません。
そのため、水分と純粉糖の量のバランスによってはゆるい仕上がりになってしまいます。
純粉糖でアイシングを作る場合は水分を減らすか、純粉糖の割合を多くすると良さそうです。
トッピングで仕上がりを比較 ~溶けない粉砂糖とプードルデコール~

最後に、「溶けない粉砂糖」と「プードル・デコール」を使って、ドーナツの『トッピング』で違いを比較してみました。各種粉糖は適量振っています。
▼結果
溶けない粉糖(左):凹凸部分に溜まりやすい・その分白さが際立つ
プードルデコール(右):薄くつきやすい・粉糖の存在をほどよくしてくれる
プードル・デコールの粒子がより細かいことは、結果からも分かりますね。
この点については、好みや使う素材によって選ぶと良さそうです。
用途に合わせた粉糖を使いこなして
生地に入れることが多い方は、粉砂糖か純粉糖を。
トッピング用で使うことが多い方は、溶けない粉砂糖かプードル・デコールを。
どちらも持ち合わせておけば、作りたい!と思った時のお菓子が作れそうですね。
みなさんの富澤商店ライフのお役に立てるとうれしいです。
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コラム執筆:ちょりママさん

フードコーディネーター・調理師・食生活/食育アドバイザー。「子どもも大人も一緒のごはん」をコンセプトに簡単レシピを発信。
企業レシピ・メニュー開発、書籍出版のほか、フードスタイリング、食育活動も多数。






