スキムミルク・バターミルクパウダーの違いとは?|食パンで徹底比較!

パン作り

こんにちは。TOMIZレシピ著者をしているちょりママです。
今月はスキムミルクとバターミルクパウダーについて深堀していきます。
どちらもパン作りやお菓子作りをされたことのある方なら、実際使っていると思います。
実のところ私はバターミルクパウダーを知ったのはここ数年の話。
パンにいれてもいいのね~くらいの感じでした。
しかし、今回の検証をしてみて「なるほど!そんな違いあったか!」と大きな収穫を得ました。
さて、みなさんも粉乳を探る旅に行きましょう~!

スキムミルクとバターミルクパウダー、違いはなに?


まずは足固めをしなくてはなりませんね。
どちらも白い粉末。「ミルク」と名がつくことから原料は牛乳であることはわかります。

そのそも粉乳とはなんでしょうか。
牛乳を濃縮して乾燥させてものを粉状にしたものを粉乳と呼びます。
粉乳の一種に脱脂粉乳、全脂粉乳、バターミルクパウダーがあります。
ちなみに、脱脂粉乳はスキムミルクと同じものです。

「スキムミルク」とは?

スキムミルク(脱脂粉乳)は牛乳から乳脂肪を取り除いて乾燥させたもの。
さらさらとしたパウダー状で、人によってはざらっとしている感触を受けるかもしれません。水分にも溶けやすく、コーヒーに入れる方もいらっしゃるかもしれませんね。全脂粉乳(全粉乳)は牛乳を丸ごと乾燥させたもの。こちらのほうがよりミルクさを感じるのではないでしょうか。

「バターミルクパウダー」とは?

バターミルクパウダーはどちらかといえば軽くほろっとふわっとした感触です。
色はスキムミルクほど白くなく、むしろクリーム色と思う方がいるかもしれません。
バターミルクパウダーはバターを作る工程で発生する「バターミルク」という液体を乾燥させたもの。
スキムミルクは牛乳がベースで、バターミルクパウダーはバターがベースだということが分かりました。
バターミルクパウダーが黄色みを感じるのも納得です。そもそも名前にバターが入っていましたね!

牛乳や粉乳をパン生地に加える理由とは?


パン生地に加えるためにスキムミルクを買ったという方が多いのではないでしょうか。
はたまた、仕込み水分を牛乳へ置き換えたりしている方もいるかと思います。
牛乳や粉乳をパン生地に使用するとどんな効果があるのでしょうか。

牛乳や粉乳はイーストが分解できない「乳糖」が含まれています。
乳糖はパン生地にミルキー風味や香ばしい焼き色、栄養価も高めます。また、パンのおいしさを少しでも長く保つ効果もあります。何気なく使っていたけれど、率先して加えたい材料だったのです。

牛乳と粉乳、どちらも同じような効果がありますが、牛乳に比べてスキムミルクのほうが安かったり、乳糖が多いため焼き色アップにもなったり、乾燥しているため保存性が高くストックもしやすくなります。

「スキムミルクVSバターミルクパウダーVSゼロ」で食パン検証


スキムミルク、バターミルクパウダーの素材、そして効果が分かったところで、次なるステップは実食したらどうなのか!?
理論が分かっても、結局は食べることに意味あるわけですし!

スキムミルク、バターミルクパウダー、両者なしの3パターンをホームベーカリーで作ってみました。
材料は強力粉(ゆめちから)、砂糖、塩、バター、ドライイースト、塩、水で、スキムミルクやバターミルクパウダーは追加します。
香り(クラスト:外側)、食感(クラム:内側)、食味の三点、さらにトーストしたときの食味も検証します。

トップバッターはスキムミルクから。


香り
クラストは香ばしい風味をしっかりと感じる。クラムは食欲そそるよい香り。
食感
クラストはカリッと。クラムは弾力とふんわり感がある。
食味
ミルク感がある。思ったよりもさっぱりとしている。

トースターで5分焼いてみました。


焼かずに食べるよりも違いが歴然!
スキムミルク入りの食パンはカリッと感はありつつも、中はふんわりとして甘みを感じました。これは牛乳の甘みでしょうかね。

二番手はバターミルクパウダーです。


香り
クラスト、クラム同様に良い。スキムミルクと大きく差があるか微妙だが、おいしい香りが強く感じるかも。
食感
クラスト、クラムともにスキムミルクと大きく差がない。スキムミルクよりもやわらかさが少しアップしているように感じる。
食味
しっとりとふんわり感を兼ね揃えていて、リッチな味わいがある。

スキムミルクと同様の焼き時間でトースト。


こちらもカリッと香ばしさが増し、中はしっとりさも感じられました。
パンのおいしい風味がアップしたのもコクがあるバターミルクパウダーのおかげでしょうか。

最後は両者なしです!


風味足りないかな?と思いきや、これはこれでシンプルにおいしいです。
シンプルに材料のひとつひとつが味わえる。そういう意味では、逆にこのシンプルさがお好きな方もいるだろうなと思います。我が家の子どもたちはこのTHE食パンという味で好きだと言っていました。

香り
クラストは普通によい香り。クラムはイーストの香りを一番感じる。
食感
クラストは大きく違いはなし。クラムは三者の中で一番弾力を感じる。
食味
バターの風味を感じる。

同じく5分トースト。


慣れ親しんだ味。そう申しましょうか。シンプルゆえに小麦のおいしさを味わえました。
粉の食べ比べをするなら、スキムミルク、バターミルクパウダーなしがよいのではないかと思います。
トーストするとより弾力が増して甘みを感じました。トーストすると美味しさが増すのは、三者とも同じですね。

総評!食べ方によって変えるのがおすすめ


選ぶもので楽しみがどこまでも増えるパン作り。
粉を選ぶもよし、トッピングを選ぶもよし。砂糖や塩ですら違うものをすると食味が変わってきます。
今回は粉乳に絞って検証してみましたが、こんなにも奥深く、食味が広がることを実感しました。

スキムミルク入りの食パンは、バランスのとれた味なので、日々の食卓に馴染みやすく飽きのこない味に感じました。
バターミルクパウダー入りの食パンは、パンの味を楽しみたい。生食でいただきたいという機会によりおいしさを感じられると思います。
両者なしのシンプルな食パンは、サンドイッチやトッピングトーストにおすすめ。そのまま食べてもおいしいけれど、ワンアクション加えることでおいしさをより感じられると思います。

みなさんも三者の違いをぜひご自宅で楽しんでみてくださいね。

みなさんのTOMIZライフのお役に立てるとうれしいです。

TOMIZちょりママレシピも合わせてどうぞよろしくお願いします!

コラム執筆:ちょりママさん

料理家 西山京子(ちょりママ)
公式Webサイト
この著者のレシピ一覧
フードコーディネーター・調理師・食生活/食育アドバイザー。「子どもも大人も一緒のごはん」をコンセプトに簡単レシピを発信。
企業レシピ・メニュー開発、書籍出版のほか、フードスタイリング、食育活動も多数。