普段のパン作りに、ホームベーカリーを使っている人の夏の悩みといえば過発酵。
特に、夜にセットして朝に焼きあがる「タイマー予約」でよく起こりがちです。
「過発酵」の起こる原因がわかれば、どうすればいいか対策ができます。
これで、もう夏のパン作りも怖くありませんよ。
「過発酵」ってなに?
そもそもパンの「発酵」とは、イースト菌が糖分をエサに分解してアルコール発酵を行い、その際に発生する炭酸ガスによりパン生地が膨らむことです。
「過発酵」とは、そのパンの「発酵」がすすみすぎてしまった状態のことを指します。発酵時間が長すぎたり、パン生地の温度が高くなりすぎると起こります。
過発酵になってしまった
パンの特徴
- 見た目
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腰が折れてしまう、陥没してしまう
生地が伸びすぎてしまりがなくなり、形を保つ力が弱くなるので、つぶれやすくなってしまいます。
- 味
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甘みが少ない
生地の中の糖分が分解され少なくなってしまいパン自体の甘みがなくなり、焼き色がつきにくくなります。
- 香り
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アルコール臭・イースト臭が強い
イーストが活発に働きすぎた結果、アルコール臭と酸味のある独特のイースト臭が残ってしまいがち。
- 食感
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穴が大きくスカスカ
クラム(内層)内の気泡が粗く、ざらつき、パサパサした食感になります。
まずは試してみよう
過発酵にさせない対策
一度、過発酵状態になってしまうとリカバリーは難しいです。
いかにして過発酵にならないようにするかの対策をすることが大切です。温度が上がると発酵が進んでしまうので、とにかく冷やすことが重要なポイントです。なお、夏の時期はタイマー予約はしないほうがいいでしょう。
ホームベーカリーを使用して
パンを作る場合の過発酵対策
- 01
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水を冷やしておく
水(もしくは牛乳)の温度に気をつけましょう。室温が25℃以上の場合、水(もしくは牛乳)の温度は5℃位を目安に冷やしておきましょう。
- 02
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材料を冷やしておく
粉や副材などの材料をあらかじめ冷やしておきましょう。適度に冷える冷蔵庫の野菜室を利用するのがおすすめです。
- 03
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ホームベーカリーを涼しいところに置く
窓際やオーブン、コンロのそばなどを避け、できるだけ涼しいところに置くようにしましょう。外気によってホームベーカリーそのものが熱を帯びてしまうと、過発酵になりやすくなってしまいます。
- 04
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水の量を減らす
普段の水の量から、5ml~10mlほど少なくします。夏は湿度により粉の水分量が高くなりがちです。ゆるい生地は過発酵になりやすいので、水の量を調整しましょう。
番外編
手ごねパンを作る場合の過発酵対策
- 01
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生地温度に注意する
こね上げた時のパン生地の温度は26~28℃ぐらいを目安にしましょう。
- 02
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「フィンガーチェック」で発酵状態を見極める
フィンガーチェックとは、パン生地の中心に指を第一関節ぐらいまで差し込み、できた穴の状態を確認することです。
1次発酵時と2次発酵時で確認方法が異なるので、注意してください。
- 1次発酵
- 2次発酵
分量外の強力粉を適量ふりかけ、指にも粉をつけ生地の中心に指を入れて確認します。
生地の状態 | 対策 |
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発酵不足 | |
生地の中心に指を入れて抜いたときに刺した穴が極端に縮まる状態 | もうしばらく1次発酵を延長する |
適度な発酵 | |
生地の中心に指を入れて抜いた時に刺した穴がそのまま残る状態 | |
過発酵 | |
生地の中心に指を入れて抜いた時に刺したところではないところに気泡ができたり、生地全体がしぼんでしまう状態 | 発酵が進みすぎてるため、急いでその後の作業に進める。2次発酵で過発酵にならないように気を付ける |
1次発酵時のように指で穴を空けずに、成形後の生地の側面を指の腹でそっと押し適時の状態を確認します。
生地の状態 | 対策 |
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発酵不足 | |
指に粉をつけて生地を弱い力で押すと弾力が強く押した個所が跳ね返ってくる | 2次発酵を延長する |
適度な発酵 | |
指に粉をつけて生地を弱い力で押すと押したところがそのまま指のあとがついて戻ってこない状態 | |
過発酵 | |
指に粉をつけて生地を弱い力で押すと押したところがそのまま指のあとがついて戻ってこない状態で生地が横にだれて膨らんでいる状態 | 生地の弾力がなくなっているため、優しい力加減で作業をするように気を付ける |